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米に皮肉、日本語ダジャレ…意外と自由?なロシア大使館ツイッター 専門家「プロパガンダに注意を」

5/17(木) 10:19配信

産経新聞

 しばしば重大発表がなされるトランプ米大統領のツイッターは世界的な注目の的だが、それに負けず劣らず、駐日ロシア大使館(東京都港区)のツイッターも、一国を代表する公的機関らしからぬ“奔放さ”で話題を呼んでいる。一般人に「恥を知れ」と返信したり、米国を皮肉ったり、日本語でダジャレ(?)を言ったり…。こうした親しみやすさのためか、フォロワーも増加。日本でいまだに根強い「怖い国」といった負のイメージ払拭に一役買っている。一方で「裏に意図があることも知っておくべきだ」と警戒する専門家もいる。(外信部 小野田雄一、ツイートは原則的に原文のまま)

■米の主張に真っ向反論

 「米シアトル市にあるロシアの外交施設に米特務機関の関係者が侵入しようとしている。民主主義や国際法遵守を掲げている国のやり方はこれでいいのかしら(考えている顔のスタンプ)」(4月27日)

 このツイートは、英国で今年3月に起きたロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏(66)の暗殺未遂事件に関連し、ロシアの犯行と判断した米国が、制裁として米西部ワシントン州シアトルのロシア領事館を閉鎖させるなどした騒動の際のものだ。

 ロシアは同事件への関与を一貫して否定。“証拠もないまま制裁を科すとは、自由と民主主義を掲げる米国が聞いてあきれる”との皮肉が伝わってくる。

 また、ロシアが支援するシリアのアサド政権が化学兵器で市民らを攻撃したとされる事件をめぐり、米国が4月にシリアの化学兵器施設をミサイル攻撃した際には、「シリアに対して撃たれた103本巡航ミサイルの中、シリア防空軍が利用する40年前ソ連時代の装備で71本を迎撃できた事実がある。そこから判断すれば、米主導の同盟は国際法の遵守だけではなく、武装の品質も不備があるようだ」(4月17日)とツイート。“米軍の兵器は旧ソ連の兵器よりも遅れている”とうそぶいた(一方、米国はシリア側の迎撃の効果を否定している)。

 相対的に欧米側の主張が多く報じられる日本にあって、それらを真っ向から否定するロシア側の主張を直接的かつ手軽に知れることが、ツイッターが注目される理由の一つのようだ。

 ■一般人に「恥を知れ」

 一方、ロシア大使館は過激なツイートでも話題に。3月に行われたロシア大統領選をめぐり、ウクライナ政府が同国内のロシア人の投票権が制限される措置を取ったことについて、ロシア大使館は「おかしい。国際法違反に他ならない」とツイート。それに対して「ウクライナ頑張れ、と思う」とつぶやいた利用者に、同大使館は「あなたのような連中が過去に『ヒトラー頑張れ』と訴えていた。そう言う言い方があのころユダヤ人などの大量虐殺につながったので、恥を知れ」と反発。他の利用者から「大使館が一般人の意見につっかかるのは不適切だ」との批判も上がった。

 このほかにも、「ロシアのスーパーでは『ノビチョク』と名付けられたひまわり油が発売。KGB(※旧ソ連の諜報機関)の紋章付のラベルには『特別な味』と書いてある(泣き笑いの顔のスタンプ)」(4月21日。ノビチョクは、スクリパリ氏に対して使われたとされる旧ソ連が開発した神経剤の名称)などとツイート。事件をちゃかすような書き込みも行っている。

 また、ロシア国内でのスキーの話題には「スキー好き(目がハートの顔のスタンプ)」とダジャレ(?)のツイートも。こうした一種のユーモアも、親しみやすさと捉えられ、人気を呼んでいるとみられる。

 ■背後の意図に注意

 こうした背景の中、2013年8月に登録された同大使館のツイッターのフォロワー数は現在、4万アカウントに迫る勢いだ。

 産経新聞はロシア大使館にツイッター開設の意図などを質問。それに対し、同大使館からは「日本の世論を対象に、国際問題に対するロシアのスタンスを広く伝えることが基本方針だ。偏った報道に対して事実を指摘し、分析を促している。日本の世論にオープンなロシア大使館として人々との対話も重視している」などとの回答があった。

 ただ、ある公安当局関係者は「いくら親しみやすそうでも、書き込み内容は本国の意を受けた外交プロパガンダだ。過度に信頼すべきではない」と指摘する。

 実際に今月、プーチン大統領の4期目の就任式直前、国内でネット規制などに反対する反政権デモが起き、1000人超が当局に拘束された問題について、ロシア大使館は自らツイートをしていない。ある意味で当然とはいえ、自らに都合の悪い情報を伝えたり、意見を表明したりすることはないという一例だ。

 米調査機関ピュー・リサーチ・センターが昨年公表したロシアに対する国民別の好感度調査によると、ロシアについて「好ましくない」と考えている日本人は64%で、「好ましい」(26%)を大きく上回った。

 歴史的な経緯に照らせば自然な結果だが、経済制裁を受けているロシアにとって日本との関係改善は喫緊の課題だ。ロシアに親しみを持つのはよいことだが、現在も人権侵害や言論弾圧などが行われる国でもあり、親しみやすさの裏に隠された意図がある可能性を忘れない方がよさそうだ。

最終更新:5/17(木) 10:19
産経新聞