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「自分で風を起こし、その風に乗れ」アパホテル“逆境をチャンス”に変える力とは?――代表取締役専務・元谷拓氏インタビュー

5/17(木) 11:01配信

リクナビNEXTジャーナル

「逆境こそチャンス」を実践する方法

不利な境遇から出発したアパホテルは、もちろん順風満帆ではありませんでした。それまでの「常識」とはかなり違う戦略をとったことで注目を浴びましたが、批判的な観点からの注目があったことも事実です。また、企業として成長するにつれて、困難で不条理な事態に直面することも多々ありました。しかし、あるひとつのことを常に心がけていたことで、様々な困難も切り抜けられました。
それは、課題や逆境があった時に、「ダメだ」「どうしよう」ではなく、「どうやったらできるだろう」をいつも心がけるようにすることです。
「逆境こそチャンス」という言葉は、いまや成功哲学を少し勉強した方ならご存知だと思うのですが、それは脳科学の側面から見た時にも、真実なのです。
脳とは、思ったことやイメージしたことへの答えを出すようにできています。ですから、逆境に直面した時に「どうしよう」「わからない」「もうダメだ」…と思うと、思考はそれを証明する方向に働き始めるのです。ということは、逆に「どうしたらできるだろう」「実現できるはずだ」と考えると、脳はその答えを出すために努力し始めます。
アパホテルで取り組んだ例でいうと、2つのことが挙げられますね。どちらも、逆境をチャンスに変えて、大ヒットにつながった例です。
ひとつは、アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉のポカリスエットプール。ここは別のホテルから買い取った物件でしたので、元々屋外プールがありました。しかし、プールというのは使わなくても管理するだけで費用が膨大にかかり、プールの運営だけで赤字になる状態でした。そこで私は「どうしたら黒字にできるか?」を考え続けました。社員に聞いても皆できないと言う。では外に求めようと、私が企画したやり方が大塚製薬さんのポカリスエットとのコラボレーションです。
海に近いという立地。そして、毎年幕張で開催されるライブのスポンサーがポカリスエットであることに気が付き、ホテルのプールをポカリスエットブランド一色にすることで、差別化とブランドアップにつながると思いました。ご担当者にプレゼンした結果、資金を出していただき、現在の、プールの底に巨大なポカリスエットのロゴ、ユニフォームやパラソルなど…全てがさわやかな青と白で統一されたポカリスエットプールが出来上がり、ホテルのプールがブランドアップされ、集客力が向上し赤字だったプールを黒字に変えることができました。
もうひとつの例は、最近特に評価が高い300万食を達成したアパ社長カレーです。アパグループでは、直営レストランも経営しております。ところが、同じブランドのレストランのはずなのに、各店舗のシェフによって、作るカレーの味がバラバラだったのです。それを統一する目的で、私が2011年4月にプロデュースしたのが、業務用のアパ社長カレーです。美味しいものを安定して作れるようになったので、これはPRも兼ねてホテルのフロントで売ったらどうだろうか…と個別パッケージ化したのがアパ社長カレーの始まりです。大手ビジネス誌のホテルカレー番付で「パッケージ・ネーミング共に強烈なインパクト。評価が1か5に分かれるが、5の獲得数では最多だった。」とのコメントや、アパ社長カレーアンケートでは99.3%の人が美味しいと回答されるなど好評です。また、アパ社長カレーは日本赤十字社等に寄付するなど様々な形で役立っております。
会社では、社長であれ従業員であれ、日々様々な困難に直面します。その時に、「難しい」と感じることは普通のことです。しかし、そこでとどまるのではなく、逆境はチャンスと捉え「いかに可能にするか」「どうやったらできるか」に思考をシフトチェンジする。すぐに答えは出ないこともあると思いますが、「可能性」に意識を向けるだけで、他のことをしている時も、潜在意識では脳がその「可能性」への答えを探し続けています。よく、掃除や睡眠前など、仕事とは全く関係ない時に思わぬアイディアが生まれてくる…といいますが、その通りだと思います。信じて探し続ければ、必ず答えは見つかります。
絶対にあきらめない。逆境こそが新しいものを生み出すチャンス…そんな姿勢を、アパグループの成長と共に、間近で学ぶことができました。
代表がつくられた「アパ的座右の銘」で私が好きな言葉があります。
「自分で風を起こし、その風に乗れ」
変化の著しい現代。これからの社会を担う皆さんは、ますます新しい課題やイレギュラーな出来事に出会うことが多いかも知れません。この「可能性」を探し続ける姿勢を持って、積極果敢に挑戦し、行動し、変化を楽しみながら、新しい時代を切り拓いて人や社会に貢献してほしいと願っています。
文・倉島麻帆 写真・山中研吾

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