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わざと坂道にして掘っている地下鉄トンネル、なぜ? それが省エネになるワケ

5/17(木) 17:10配信

乗りものニュース

駅を浅く、駅間を深くして「省エネ」に

乗りものニュース

 地下鉄のトンネルは、平坦ではありません。ふだん乗っているぶんには気づかないかもしれませんが、ひと駅ごとにアップダウンをくり返すような路線もあります。

【写真】デカっ! トンネルを掘るシールドマシンの「先端」

 その大きな理由のひとつは、地形の問題です。地形の起伏に沿ってトンネルを掘っているため、トンネルも上り下りをくり返します。また、様々な地下埋設物を避けるために起伏が生じるケースも。先に建設された地下鉄はもちろんのこと、たとえば建物や高架道路の基礎、水道管やガス管といったライフラインなど、地下には様々なものが埋まっています。比較的新しく建設された路線ほど深い場所を通っているのは、おもにはこれらを避けるためです。

 一方、東京メトロによると、こうした制約のなか、電車運行の「省エネ」を目的のひとつとして「すり鉢状の勾配」を付けている区間もあるそうです。駅を浅いところに設け、駅間をより深くすることで、電車が駅を出ると下り坂になり加速がつき、次の駅に近づくと上り坂になって停まりやすくなるというもの。勾配が電車の運行を補助し、少ない力で走れるといいます。

「すり鉢状の勾配」どんな駅間に?

 駅間にすり鉢状の勾配をつける構造は、たとえば有楽町線の新富町~辰巳間などに採用されています。月島駅と豊洲駅のあいだ約1.5kmの区間では、月島駅を出ると35パーミルの下り坂(1000m進むと35m下がる)となり、豊洲駅に近づくにつれ今度は35パーミルの上り坂になります。新富町~月島間、豊洲~辰巳間でもほぼ同様の構造です。日本地下鉄協会によると、こうした構造は川の下をくぐる区間などで見られるといい、有楽町線の新富町から辰巳までの各駅間でも川や運河の下をくぐっています。

「(東京メトロ線では)有楽町線以降に建設された路線(半蔵門線の一部や南北線、副都心線)で、駅間にすり鉢状の勾配をつける構造を設計に盛り込んでいます。とはいえ全区間をこの構造にできるわけではありません。安全性を確保したうえで、可能な範囲で採用されています」(東京メトロ 広報部)

 駅間にすり鉢状の勾配をつける構造は、半蔵門線の神保町~住吉間などでも採用されていますが、東京メトロ最新の路線である副都心線は、地形の起伏や、既存の地下鉄などの関係から、そのような構造にはなっていないそうです。

 ちなみに、地上の高架線などで駅間にすり鉢状の勾配をつければ、駅をわざわざ高い位置に造ることにもなりかねません。東京メトロは、「地上の路線でもできないことはないと思いますが、やはり地下鉄ならではの構造でしょう」と話します。

乗りものニュース編集部