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板野友美、初バンドツアー完走 ダンス封印で歌い届けた歴代曲:レポート

5/17(木) 20:40配信

MusicVoice

 板野友美が12日、東京・マイナビBLITZ赤坂で、全国ツアー『板野友美 LIVE TOUR 2018 ~Just as I am~』の最終公演をおこなった。自身初の生バンドを従えてのライブツアー。グルーヴ感たっぷりのサウンドのなかで板野はライブパフォーマンスの可能性を広げていた。その模様を以下にレポートする。(約4000字)【取材=木村陽仁】

■「愛にピアス」で幕開け

 場内は、観客でびっしりと埋まっていた。開演時刻が過ぎ、程なくして明かりが落とされると、バンドメンバーの大古晴菜(Key)、橋本賢(G)、伊藤千明(B)、エノマサフミ(Dr)が登場する。所定の位置に着くと、イントロダクションを告げるように音を奏でる。その音をバックに板野が登場する。割れんばかりの歓声を浴びる板野は、うつむいたまま息をひそめ右手をマイクスタンドにかける。ギターがファンキーなサウンドを弾き始めると、それを合図に板野はマイクを両手でかぶせ、天を仰ぎ、右足でリズムをとり、静かに歌い出した。「愛にピアス」。ロックサウンドを基調としたナンバーでツアーファイナルは幕を開けた。

 ソロデビュー7年にして初の生バンドでのツアー。EDMが多い板野の楽曲は、彼らの生演奏によって深みは増し、音像は立体的になっていた。ファンキーでグルーヴィー。重厚でいて軽快。そんなサウンドのなかで観客のボルテージは序盤からフルスロットル。板野も最初こそ緊張の色をのぞいたが、その旋律の上で高低差、緩急を使い分け歌い、楽曲の世界観を広げていく。マイクスタンドからマイクを外し、アグレッシブに、そして優しく歌い上げる。ダンスパフォーマンスも彼女の魅力の一つだが、ここにいるのはボーカリスト・板野友美だった。

 「東京、盛り上がっていきましょう!」と手を挙げて披露したのは「OMG」。大古がクールなシンセ音を奏でる。やはり生バンドならではのグルーヴが、曲に別の表情をもたせていく。そして「皆さん! こんばんは! ようこそ! ツアーファイナルでございます。ソロデビューしてからずっとやりたかったバンド。一丸となってグルーヴを体感して帰ってほしい」と呼びかけると「懐かしい曲を」と言って「ふいに」を届ける。

 4曲目「Stay by my side」からは歌を聴かせるためか、バラードが続いた。今回のツアーは、アレンジは加えずに原曲を再現することが演奏する上でのテーマだったようだ。CDやデータ化された楽曲も素晴らしいが、生バンドで奏でられるそれらサウンドは、音が生きるように活き活きとしていた。ファンキーなギターサウンドに、多彩な音色を重ねていくキーボード。音を支えるベースもファンキーだ。そして、グルーヴィーなリズムを刻むドラムは高揚感を煽り立てる。曲の世界観に合わせてギターはアコギに持ち替える。

 6曲目の「HIDE & SEEK」は、異なる表情を見せていた。これもEDMを基調としたダンスミュージックだが、不穏なシンセの音が流れると重厚なギターとベースが加わっていく。自身初主演映画『のぞきめ』の主題歌にもなった同曲。怪談とミステリーが合わさった映画の世界観を投影されたMV。その世界観を見事なまでに生バンドで表現して見せた。板野も、遠くを見つめたり、鋭い視線をやる。原曲にも出てくるオルガンの音色はキーボードによって再現されるがより濃厚だ。板野の白い衣装はライトによってピンクに染め上げられていく。

■軌跡を辿るセトリ、Deep In Liesも

 曲も終盤を迎えたところで、板野はマイクスタンドを残し、ステージを後にする。残されたバンドは、そこでハードロックサウンドやEDMを駆使して「You Should Try HARDer」のインストを奏でていく。けたたましいサウンド。一転、深海を思わせるような静寂の音。かと思えばEDMサウンド。それを繰り返していき高揚感を高めていく。大古がこぶしを突き上げ煽ると、観客も返す。インストを終えると衣装チェンジをした板野が戻ってくる。

 そうして紡がれた7曲目「10年後の君へ」はカスタネットのクラップ音、そしてアコギの音色がカルメンを思わせ、同じバラードでも心底にある情熱さを感じさせた。それは板野の歌声にも表れていた。低音や高音の高低差を巧みに使い、声に表情を付けていく。それによって曲の情景は更なる広がりをみせた。

 9曲目「Deep In Lies」を終えたところで、板野は「笑顔で楽しんでいますか?」と問いかける。大きな歓声に「良かった」と笑みをこぼした板野は「10枚目という節目のシングルを出して、1枚目から10枚目までの全曲を振り返りながら届けています。『Deep In Lies』はライブで歌ったことがなくて、難しいから歌いたくなかった」と茶目っ気たっぷりに明かした。

 さらに「それぞれ楽曲への思いがあると思うので、今回はアレンジせずにCD音源に忠実にやりました。懐かしいなと当時の気持ちを振り返りながら思い出してほしい。楽曲の良さを伝えたかったのでダンスは封印しました。こうして歌ってみると私自身も改めて良い曲だなと感じるので、お気に入りとなる曲を探してほしい」とこのツアーに込めた思いを語った。

■Just as I am、決意表明

 そして「5本の指に入るほどの好きな曲」として届けたのは「白黒」。EDMサウンドと逆再生音が観客の心を導いていく。EDMとロックが融合されることで生み出される熱狂感。板野もスカートの裾をひらひらと舞い上がらせながら回転する。封印するとしていたダンスだったが、ところどころその一端を見せていく。一方の11曲目「little」では、目の前にマイクスタンドを置き、仁王立ちになって両手でマイクを持ち歌い始める。高音が印象的な彼女だがその時に披露した低音や囁くような声はドキッとさせた。そのなかで再びステージを去る。バックバンドによる本日2回目のインストが始まる。

 まずは印象的なEDMサウンドが入り込む。「Girls Do」のイントロだ。メロディラインを、ギター→キーボード→ベース→ドラム→ギター→キーボードという順でリレーしていく。奏でる主役が変われば曲のイメージも変わる。それぞれアグレッシブにプレーしていくなかで、途中で転調する。「COME PARTY!」だ。ここではギターとベースのソロバトルが展開される。大歓声が巻き起こるなかで再び「Girls Do」に戻る。そうして、大興奮のなかでインストが終えると、印象的なイントロが奏でられる。「Dear J」だ。このタイミングで衣装チェンジした板野が戻ってきた。この曲を皮切りに終盤に向けてアッパーなナンバーを続けていく。

 「1%」、「Crush」、「Gimme Gimme Luv」。胸を打つドラム、そしてベース、アドレナリンを開放させるキーボードとギターのサウンド。ハードロックやEDMを織り交ぜ、リミットを切っていく。疾走するサウンドだが、そこは一枚岩ではいかせない。転調や変拍子などを繰り広げていく。板野の歌声にも迫力が漲る。まさに絶頂だった。息を切らせながら「あっという間に楽しい時間は過ぎていくね」と語った板野に向けて歓声が送られる。それをめいっぱい浴び、今回のツアーのコンセプトでもあり、自分らしさを見つめるきっかけとなった「Just as I am」への思いを語る。

 「思い返せば、19歳ときに『Dear J』でソロデビューして、7年が経ち、そして10枚目のシングル『Just as I am』を発売することができました。皆さんのおかげだと思っています。本当に有難うございます。『Just as I am』は自分らしさをコンセプトに作詞にも挑戦しました。作詞をするなかで今の自分と向き合い、これまでのこと、これからのことを考えました。大人になると傷つくのが怖くなったり、いろいろな経験をしたからこそ、失敗を恐れてなかなか挑戦できなかったり、現状に満足してしまったり、昔よりも億劫になっていたと思います。でも、私にはまだまだやりたいこと、夢が沢山あることを気づきました。やっぱり、一度きりの人生だから自分の気持ちにうそをつかず、失敗を恐れずに、誰になんて言われようと、がむしゃらに格好悪くても自分がなりたい自分に向かって走っていきたい…、いや、走っていこうと思いました。そんな思いを新曲『Just as I am』にのせました。その想いがツアーに込められたらいいなと思い、ツアータイトルも『Just as I am』にしました。これからも歌い続けていきたいですし、『Just as I am』は、今後歌い続けていく中で、5年後10年後聴いた時にあの時よりも良い曲に聴こえるなと思えるように頑張りたいと思います。これからも板野友美を宜しくお願い致します」

 そのなかで届けられたその曲は、それまでの彼女とは異なる心の内がのぞく。原曲で印象的なアコギが曲を静かに導き、サビに近づくにつれて音が重なり華やかになっていく。そのなかで板野は静かに歌い上げていくが、迷いを振り払うような決心にも似た自信が歌にも表れていた。その歌声を通して届けられる言葉の数々をしっかりと受け止める観客。音、そして歌の先にある思いが重なり、一体感に包まれていた。

■可能性を広げ

 主を無くしたステージに向かい、「ともちん」コールが鳴り響く。アンコールを求める観客の声だ。その期待に応え再登場する。まず届けたのは、生バンドで演奏することを視野に、もはやこのツアーのために用意したともいえるゴリゴリのロックナンバー「Show time」。そして、爽やかなナンバー「#いいね!」。その曲の間には、トークを通しての観客との交流の時間でもあるグッズコーナーを展開した。板野の親しみやすい人柄が現れるこのツアー人気コーナーとなった。ファンと掛け合いもみせるなど、アットホームな空間だった。

 そしてダブルアンコール。7月28日公開の映画『イマジネーションゲーム』でW主演を務める久本雅美から応援のメッセージ。そのなかで主題歌を担当することが発表され、この日のために用意された映画本編の特別映像とその同名曲をいち早く披露した。そして最後は「For you,For me」。彼女のライブツアーの“トリ”を務める定番の楽曲を、タオルを揺らしながら観客ともに歌い上げた。

 全ての曲を終えた彼女は名残惜しそうにステージに残り、感謝の言葉を届ける。全国5カ所を巡るツアー。何カ所も廻ってきたかのようなバンドの一体感。そして、原曲を忠実にと言っていたが、それでも溢れる生バンドの活き活きとしたサウンドは、板野のボーカル力も更に引き出し、楽曲の良さを際立たせた。EDM、そしてロック。これにダイナミックなダンスパフォーマンスが加わったら…という期待が高まった。そんな新たな可能性を感じさせたツアーファイナルだった。笑顔でステージを後にした彼女はすでに新たな道を歩み始めていた。

■セットリスト

M1.愛にピアス
M2.OMG
M3.ふいに
M4.Stay by my side
M5.月の祈り
M6.HIDE & SEEK
M7.10 年後の君へ
M8.One Last Kiss
M9.Deep In Lies
M10.白黒
M11.little
M12.Dear J
M13.1%
M14.Crush
M15.Gimme Gimme Luv
M16.Just as I am
EN1-1.Show time
EN1-2.#いいね!
EN2-1.イマジネーションゲーム
EN2-2.For you,For me

 ◇

 なお、7月1日に、東京・EX THEATER ROPPONGIで、イベント『板野友美 SUMMER PARTY! ~カムパリ改めサマパリ~』を開催することが決定。前半はトーク、後半はライブの構成となるスペシャルなイベント。7月3日に27歳の誕生日を、さらに7月28日には映画『イマジネーションゲーム』の公開を控える、板野友美の今ここでしか聴けないトークが届けられる。

最終更新:5/17(木) 20:40
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