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「最大の難問に最良の解決策」大使館移転は和平に寄与?

5/17(木) 18:35配信

FNN PRIME

前イスラエル駐在アメリカ大使が大使館移転を評価?!

「アメリカ大使館のエルサレムへの移転は紛争解決に寄与する」
CNNのニュースサイトにあった投稿のこんな見出しが目をひいた。

(写真)また乱暴な決断を・・・

筆者はダニエル・シャピロ前イスラエル駐在米大使。
オバマ大統領の任命で2011年から17年まで中東外交の要の大使を務めた人物なので、トランプ大統領の政策には批判的であっても賛成するわけがない筈だ。

それも反トランプ急先鋒のCNNのサイトへの寄稿なので「まさか」と思ったが、その内容はこうだ。

「最大の難問に最良の解決策」

1948年の国連によるパレスチナ分割以来イスラエルとパレスチナの2カ国の共存が国際的にも認められ、エルサレムについても両国の支配下におくものとされた。この原則に沿って両国の領域を決める和平交渉が何回も開かれたが、最後にエルサレムの帰趨をめぐって決裂してきた。

そこで、トランプ大統領はまずエルサレム問題の解決に手をつけたもので、エルサレムに米国大使館を移転させて正式にイスラエルの首都と認定したわけだが、同時にパレスチナも新国家樹立の暁には、現在パレスチナ人が数多く居住する東エルサレムに首都を置く案をパレスチナ側に示している。

パレスチナ自治政府のアッバス議長はこの案を拒否しているが、その一方でイスラエルはエルサレムを首都とする既成事実を着々と積み重ねてゆくので、同議長も現実を受け入れざるを得なくなるとシャピロ氏は考えてこう結論づけている。

「紛争は無数の理由で解決とは程遠い状況であることは間違いないが、遅ればせながらの(米国)大使館のエルサレムへの移転は、これまで最大の難問と思われていた問題が逆に最良の解決策をもたらすのではないかと私は楽観視している」

放置されてきた和平交渉に希望

シャピロ氏が駐イスラエル大使の期間中、オバマ大統領はイスラエルの占領地での入植活動を非難する国連安保理決議案に拒否権を行使せず採択されたことに代表されるように、米国とイスラエルはかつてなく冷たい関係にあった。
その結果、米国が仲介を図った和平交渉はまったく前進しないまま放置されたような形になっていた。

その中で苦労したであろうシャピロ氏にとって、大使館のエルサレム移転という乱暴にも思えるトランプ大統領の決断はこう着状態を打開する希望を持たせるものだったのかもしれない。

トランプ大統領の新中東和平構想については、1月18日にアップしたこのコラムの「中東和平への道が開けた?アッバス体制が崩壊の危機」を参照してもらいたいが、ここ数ヶ月中にはパレスチナ側に正式に提示されると言われる。

米大使館移転をめぐっては、ガザ地区からイスラエルへ侵入しようとするハマスとイスラエル軍との衝突で死傷者が多数出ているようで遺憾に絶えないが、そうであればこそ、その先に最終的な和平の希望があると信じたい。

(執筆:ジャーナリスト 木村太郎)

木村太郎

最終更新:5/17(木) 18:35
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