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歩行者はね死亡例も 増える自転車事故

5/18(金) 7:00配信

茨城新聞クロスアイ

自転車が歩行者に衝突し、歩行者にけがを負わせる事故が目立つ。自転車は子どもから高齢者まで気軽に使える乗り物だが、保険に加入せず事故後に高額な賠償金を負うケースもある。自治体や警察などは自転車の適切な整備や交通ルールの順守、自転車保険の加入を呼び掛けている。

■暗い歩道

4月8日夜、坂東市借宿の県道で、歩道を自転車で走っていた県立高校3年の男子生徒(17)が、男性(69)と衝突した。男性は頭の骨を折るなどして意識不明の重体となり、5月1日に死亡した。

境署によると、男子生徒はスポーツ用の自転車に乗っていたが、自転車本体にライトが装着されておらず、懐中電灯で前を照らしながら走行していた可能性が高い。現場は田畑に囲まれ、街灯もほとんどない。近くに住む女性(49)は「夜はとても暗い。ライトがなければほとんど見えないのでは」と話す。

県警交通総務課によると、県内で昨年1年間に自転車が絡んだ事故は1303件。このうち自転車と歩行者の事故は17件で、歩行者17人が重軽傷を負った。原因別で見ると、自転車側の「安全不確認」や「一時不停止」が多いという。

■増加傾向

研究者らで構成する啓発団体「自転車の安全利用促進委員会」(事務局・東京)のまとめによると、全国で2000年に起きた自転車と歩行者による事故は約1800件だったが、10年には約2300件と1・28倍に増えた。

同委員会によると、特に中高生の自転車事故の頻度が他の年代と比べて高い傾向にあるといい、理由として、交通安全への考えが浅く、「車両を運転している」という意識が低いことなどを挙げている。

一方、県内の各警察署は各学校で交通安全教室を開催。スタントマンが事故の場面を再現して見せるなどの方法で、自転車運転の危険性を伝えている。

同委員会の担当者は「特に新入生は入学直後の4月中は自転車の運転に気を張っているものの、気が緩む5、6月に事故が多い」と注意を呼び掛ける。

15年に施行された改正道交法により、スマホなどの「ながら運転」や信号無視といった違反を3年以内に2回以上した場合、講習を義務付ける「自転車運転者講習制度」が始まった。

■高額賠償

「自転車保険」に加入せず自転車で事故を起こした場合、高額な損害賠償を請求されるケースがあることから、自治体や警察などは同保険の加入を呼び掛けている。

同保険は、自転車の走行中に他人にけがを負わせた場合や、自分がけがをした場合に治療費などを補う。警察庁のまとめでは、全国で17年に事故で歩行者を死傷させた自転車運転者のうち、保険に加入していたのは約6割にとどまった。

自転車事故の損害賠償を巡っては、08年9月、自転車の小学生が60代の女性に衝突して重い後遺症を負わせた事故があり、神戸地裁が13年7月、小学生の保護者に対し約9500万円の賠償を命じる判決を言い渡した。こうした状況を受け、埼玉県は4月から同保険の加入を義務化したほか、京都、大阪など5府県でも既に義務化。本県は義務化されていないが、ホームページなどで加入を促している。(小原瑛平、吉原宗康)

茨城新聞社