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<旧優生保護法国賠訴訟>「毎日苦しかった」宮城女性が20年間孤独な闘い

5/18(金) 9:53配信

河北新報

 「毎日が苦しかった」。旧優生保護法下で不妊手術を強制されたとして、仙台地裁に17日提訴した宮城県の飯塚淳子さん=70代、仮名=は記者会見で何度も目頭を押さえた。被害を訴えた約20年間は光が見えず、くじけそうにもなった。「飯塚さんのおかげで他の被害者も訴え出られるようになった。飯塚さん自身の提訴は感慨深い」。共に闘い続けた代理人弁護士も声を詰まらせた。

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 長く、孤独な日々だった。旧法が差別的規定のない母体保護法に改定された翌年の1997年、県に記録の開示を求めた。回答は「不存在」。2015年には日弁連に人権救済を申し立てたが、国は「当時は合法」と突っぱね続けた。他に訴え出る被害者も現れなかった。

 17年7月、手術記録が見つかった宮城県の60代女性が被害を公表した。女性は今年1月、旧法を巡る全国初の国家賠償請求訴訟を地裁に起こしたが、記録のない飯塚さんは訴訟への参加を見送った。県が2月、記録がなくても条件を満たせば手術の事実を認める方針を示したことで、ようやく提訴に踏み切ることができた。

 旧法下の強制不妊・避妊手術は全国で約1万6500人が受けたとされる。宮城県内では1406人の手術があったとみられるが、個人を識別できる県の現存記録は17日現在で929人分にとどまる。

 「人生を奪っておいて『書類がないから認められない』では困る。手術の傷など、何かの形で記録のない大勢の人を救済してほしい」。飯塚さんが訴えた。

 手術に関する記録の宮城県への開示請求は仙台、東京各地裁で提訴した3人を含め、これまで計9件。公的記録がないと分かった場合、被害者の手術事実の立証、救済が大きな焦点となる。

 飯塚さんを長年支える新里宏二弁護団長は「記録のない人の救済をどうするかを訴訟の中で国に突き付けていく。記録なしでも提訴に結び付け、被害者が声を上げ続けることが国を早期解決へと動かすはずだ」と話した。

最終更新:5/18(金) 16:46
河北新報