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通話録音機8割保管状態 “撃退”効果で920台購入も…周知不足など原因

5/18(金) 10:43配信

長崎新聞

 高齢者世帯の固定電話に取り付けることで、特殊詐欺の被害防止が期待されている通話録音機。長崎県は昨年、920台を購入し、要請があった17市町に配布したが、このうち約8割が住民に配られず、市町に保管されたままであることが各自治体への取材で分かった。住民への周知不足や貸与手続きに時間を要していることなどが理由。県内でも依然として被害が続く中、“宝の持ち腐れ”になりかねない状態だ。
 県警によると、昨年の県内特殊詐欺認知件数(未遂含む)は111件で、被害額は計約2億5400万円だった。
 録音機は電話の相手に対し、「詐欺防止のため会話が録音されます」などとメッセージを流す。これにより、犯人が自分の声や犯行手口が記録されるのを警戒して電話を切る“撃退”効果が期待されている。実際、県警が3年前から貸し出している機器の設置世帯では、「被害ゼロ」だった。
 県はこうした実績を踏まえて事業費約850万円をかけて920台を購入。昨年12月上旬までに17市町に配ったが、取材では実際に家庭へ届いたのは、このうち計約180台にとどまっている。
 県から80台を受け取った五島市。1月から広報誌やケーブルテレビ、老人会での出前講座などを通して希望者を募ったが、貸し出したのは3台だけ。同市は、家族や友人の会話まで録音されることへの懸念や、自分は被害に遭わないとの過信が背景にあるとみる。子の世代が設置を勧めても断る人もいるという。市は今後も募集を続ける予定だが、担当者は「想定したより、なかなか注文が伸びない」と頭を抱える。
 壱岐市は210台中約20台。「警察の機器のレンタル期間が終わった人に、市の貸し出し情報を伝えるなど警察署とも連携して普及させたい」として対応を急ぐ。このほか、「台数が少なく希望者が殺到するかもしれないので周知は特にしていない」(大村市)、「対象者や貸出期間を定めた要項を作っているが、その作業に時間がかかっている」(松浦市)などの声も聞かれた。一方、東彼東彼杵町は民生委員が必要と思われる世帯に呼び掛け、17市町では唯一、全40台を配布。他にも希望者がいるという。
 貸し出しは無料。県は「防犯効果が高く、使われないままなのは良くない。各市町に聞き取りをして活用状況を調べたい」としている。

最終更新:5/18(金) 11:53
長崎新聞