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居眠り運転根絶期待 6月、事業者に睡眠確認義務化

5/18(金) 7:16配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 睡眠不足の場合には乗務できません―。国土交通省は貨物自動車運送事業法などに基づく規則を改正し、6月からトラックやバス、タクシー事業者に対し、運転手の睡眠が足りているかどうかの確認を義務付け、不足している場合には乗務を禁止する。静岡県内の事業者からは「居眠り運転が原因の事故の防止につながる」と期待する声の一方、「睡眠不足の判断基準があいまい」として効果に懐疑的な見方も出ている。

 「睡眠不足ではないですか」-。静岡市清水区の港トラック運送本社営業所で17日午前、押見浩之所長は出勤してきた約50人の運転手に声を掛けた。運転手は「大丈夫です」などと返答。押見所長は顔色なども確認した上で記録簿にチェックを入れ、この日の点呼を終えた。

 国交省は貨物自動車運送事業法と道路運送法に基づく規則を改正し、事業者が運転手を乗務させてはならない理由に「睡眠不足」を追加する。乗務前の点呼で運転手に睡眠状況の報告を求め、記録簿に記入することを義務付ける。違反した場合には警告や運行停止などの行政処分を出す。

 同社は6月1日の施行に先立ち、5月から点呼時に睡眠状況の確認を始めた。「日々の対話を通して、睡眠を取らなければという意識が生まれる」と押見所長。「質問を利用してコミュニケーションをうまく図れば、事故の未然防止につながるだろう」と期待する。

 一方、効果を疑問視する声も。睡眠時間が足りているかどうかは個人差があり、乗務を禁じる具体的な時間の基準が定められていないためだ。県トラック協会によると業界内には「明確な基準がないため判断に困る」「働くために出勤する運転手が正直に申告するだろうか」といった意見があるという。

 国交省静岡運輸支局の担当者は「睡眠時間はあくまでも運転手の自己申告。運行管理者は普段から様子を観察し、総合的に睡眠不足でないか判断してほしい」と呼び掛けている。



 ■高い死亡事故リスク-休憩・仮眠重要

 交通事故総合分析センター(東京都)によると、居眠り運転が原因とされる死亡事故は2014年以降、全国で年100件前後のペースで発生している。16年の場合、死亡事故につながった確率は5・8%で、そのほかの事故原因に比べ8倍に膨らむ。

 居眠り運転による悲惨な事故は後を絶たない。広島県の山陽自動車道で16年3月、トラックが渋滞の車列に突っ込み2人が死亡する事故が発生。運転手は事故前に一睡もせず36時間乗務を続けていた。県内でも15年8月、浜松市西区の国道1号で大型トラックがオートバイに追突するなどして6人が死傷した。

 日本自動車連盟(JAF)静岡支部は「長時間のドライブは最低でも2時間に1回は休憩を」と呼び掛ける。運転中に眠くなった場合の対策としてガムをかむ、糖分を多く含む飲み物を飲む、車内の空気を入れ替える―などを挙げ「思い切って20分程度の仮眠を取るのも大切」としている。

 国土交通省が17年に実施したアンケートでは、バス運転手の25%が睡眠時間を5時間未満と回答。睡眠時間を十分に確保できていない実態が浮かんだ。

静岡新聞社