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日大アメフト騒動の一因 日本スポーツ界にはびこる“軍隊の掟”

5/18(金) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 特殊な「事件」とは言えないようだ。

 社会問題にまで発展している日大アメフト部員による関学大QBへの悪質なタックル。あの映像をテレビで見て、身の毛がよだつ思いをした人は少なくないだろう。

 無防備なQBに対する背後からのタックルは、日大の内田正人監督の指示で行ったとの報道もある。全治3週間のケガを負わせた日大の選手は、すでに退部を決意しているそうだが、監督の命令で危険なタックルに及んだのであれば、彼もまた「被害者」のひとりかもしれない。

 早大スポーツCSR研究会の松野弘会長は「今回の事件は、日大のアメフト部だけの問題ではなく、根性論でやってきた日本のスポーツ界が長年抱えている構造的な問題といえる」と、こう続ける。

「学校の部活動は近年、選手の自主性を尊重する指導者も増えてきているが、指導者の指示には絶対服従という厳しい上下関係が根強く残っている。監督やコーチの言うことを聞かなければ試合に使ってくれないのなら、選手は自分の意思にかかわらず指導者の言いなりにならざるを得ない。その関係性は軍隊と同じです。軍隊はたとえ上官の指示が間違っていても、軍律で兵士を動かします」

■「ヤツのタマとってこいや!」

 乱闘劇が珍しくなかった昭和のプロ野球も、監督やコーチから危険なプレーを命じられた時代があった。自軍の4番や好調な打者がチャンスで死球を受けると、報復として敵の4番にぶつけることはよくあった。

 気性の激しいことで知られる監督などは「ヤツのタマとってこいや!」と自軍の投手に頭部死球を命じたこともあったという。「頭部を狙って150キロの速球を投げることは、まさに殺人行為だが、監督の命令に背けば出場機会を失うから、目をつむって打者の背中に当てた」というOBもいる。

 一方で、こんなスポーツ界で育った学生が企業から歓迎されている事実もある。前出の松野氏が言う。

「スポーツの強い大学の体育会に所属している学生は就職先がすぐ決まる。運動部でしっかり教育されているので、上司の言うことには反論せず、会社としては使いやすいからでしょう。日大のアメフト選手の事件にしても、試合に出たい、監督に使ってもらいたいという気持ちは理解できるものの、仮に監督の指示でも、危険なタックルをすれば相手は大ケガするかも知れないということは容易に想像できる。その思考をやめてしまうのが、スポーツにおける絶対服従の関係なのです」

 スポーツ庁の鈴木大地長官は、「危険なプレーを容認するわけにいかない」と言ったが、このような事件が起こる土壌があることを認識し、スポーツ界に対し、しっかりと対策を取るべきだ。