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「1社で成功を目指す時代は終わった」 特化型サービス強化へ、他社と連携進める富士通

5/18(金) 9:41配信

ITmedia エンタープライズ

 「1社で成功を目指す時代は終わった。富士通は多くの素晴らしいパートナーに恵まれている」――富士通の田中達也社長は、富士通フォーラム2018(5月17~18日開催)の基調講演でこう話し、他社や外部機関と協力して製品やソリューションを生み出す方向性を強調した。

川崎フロンターレが優勝した際に掲げた桶を持つ田中氏

 基調講演の冒頭で、同氏は、同社のサッカー部として創業した川崎フロンターレが2017年にJ1リーグで優勝したことを取り上げ、「人のつながりを革新の推進力とする」同社の姿勢を紹介。同社のデジタル技術を活用して人や企業をつなげる「つながるサービス」を提供し、その土台として、全世界規模で大学や企業と協力して研究開発を進めることで、専門領域に特化したサービスや製品を創出する考えを示した。

 他社と協業して進める新たなソリューションとして、田中氏は壇上で2つの例を紹介した。1つ目は、Microsoftと協業して進める、働き方改革に向けた取り組みだ。2017年12月、富士通は、AI(人工知能)技術「Zinrai(ジンライ)」を「Microsoft Azure」のAIプラットフォームや「Office 365」と組み合わせて、新たな働き方改革向けソリューションを開発すると発表した。基調講演では、Microsoftのサティア・ナデラCEOから同社に向けた激励のビデオメッセージを公開し、2社の連携を強調した。

 2つ目は、同社が5月15日に発表した「デジタルアニーラ」だ。同製品は、量子のふるまいをデジタル回路で再現し、コンピュータ内部で素子同士が自由に信号をやりとりできる仕組みを作ることで、「がんの放射線治療最適化」「創薬に向けた原子の組み合わせ」など、汎用コンピュータでは計算に膨大な時間がかかる「組み合わせ最適化問題」の解決に特化したサービスだ。

 デジタルアニーラの例は、まさに田中氏が示した方向性を体現しているといえる。開発と製品化に当たっては、量子コンピュータ向けソフトウェアやミドルウェアを手掛けるカナダのベンチャー企業、1Qbitが協力し、トロント大学がプロトタイプ開発に関わった。同大学は2018年3月、富士通との共同研究室「Fujitsu Co-Creation Research Laboratory」を開設。デジタルアニーラを同大学の研究に幅広く活用するなど、協力体制を維持する考えだ。

 基調講演の後半では、同社のグローバルマーケティンググループを率いる山田厳英氏が田中氏からマイクを引き継ぎ、同社の手のひら静脈認証システム「PalmSecure(パームセキュア)」を決済システムに導入した韓国のLOTTE Card(ロッテカード)や、IoTスマート歯ブラシ「G・U・M PLAY(ガム・プレイ)」と歯科医院向けクラウドサービスを連携させ、先進予防歯科サービスを展開するサンスターなど、複数の導入事例を紹介した。