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【くらしナビ】隠れ高血糖予防 蒸し大豆に期待

5/18(金) 10:54配信

産経新聞

 ■健診で見落とされがち…心筋梗塞・脳卒中リスクも

 健康診断で血糖値が正常範囲内でも、糖尿病患者にみられるようなリスクが潜んでいる場合があるという。通常の健診では空腹時の血糖値で異常かどうかが判定され、食後の高血糖を見逃してしまうからだ。そんな“隠れ高血糖”をどう予防すればいいのか。(財川典男)

 「食後約2時間の血糖値が1デシリットル当たり140ミリグラムを超えたら隠れ高血糖。まだ糖尿病ではないが、立派な予備軍だ」

 こう指摘するのは、生活習慣病に詳しい池谷医院(東京都あきる野市)院長の池谷敏郎さん。

 隠れ高血糖の多くは時間がたてば正常値に戻るため、健診だけでは見落としてしまうという。血糖値が高くなると、活性酸素によって血管が傷つき、動脈硬化などが進むと考えられる。ちなみに空腹時では同126ミリグラム未満なら正常の範囲内とされる。

 池谷さんによると、食後に高血糖になる人は、血糖値が一気に上昇し、急降下しやすい。こうした“乱高下”を繰り返すと血管が老化し、糖尿病患者に匹敵するスピードで動脈硬化が進むというデータもある。「心筋梗塞や脳卒中のリスクは糖尿病と同じくらい高い。放っておくと高血圧や脂質異常などの負のスパイラルにも陥る」と警鐘を鳴らす。

 食後高血糖を抑えるには、最初に食物繊維が豊富な食品を食べると効果的。小腸での糖質の吸収が遅くなり、血糖値は時間をかけて緩やかに上昇・降下するためだ。

 ◆野菜から食べる

 池谷さんは「まず野菜から食べる『ベジファースト』も知られているが、市販の蒸し大豆を先に食べる『大豆ファースト』の効果も高い。蒸し大豆は野菜より少量で同等の効果が期待でき、満腹感が続くので間食も防げる」と話す。大豆は食物繊維を多く含むが、蒸すことで栄養素を逃さずに食べやすくなる。

 食品メーカーのフジッコ(神戸市中央区)が昨年末に健康な30~50代の男女10人(男性6人、女性4人)を対象に行った実験では、蒸し大豆が食後の血糖値上昇を野菜と同様に抑制することが分かったという。

 同社によると、塩おにぎり2個だけ▽野菜サラダ100グラムを食べた後に塩おにぎり2個▽蒸し大豆26グラム(野菜サラダ100グラムと同量の食物繊維を含む)を食べた後に塩おにぎり2個-という食事を朝食のタイミングで1日おきにとってもらい、それぞれ食前と食後の血糖値を比較した。

 その結果、野菜や蒸し大豆を先に食べたときに比べ、塩おにぎり2個だけだと食後15分で血糖値の急上昇がみられた。また、蒸し大豆のほうが野菜よりも満腹感が持続したとのアンケート結果も出た。

 ◆市場規模2倍に

 同社マーケティング推進室長の紀井孝之さんは「サラダやスープに入れるなど手軽に食べられる『蒸し大豆』の市場規模は、2年で2倍に成長した」と話す。

 栄養学に詳しい早稲田大学先進理工学部教授の柴田重信さんは「一般的に朝食はタンパク質が不足し、夕食はカロリーが高くなりがち。朝食、夕食の前にタンパク質が豊富で低カロリーな蒸し大豆を食べるとよい」とアドバイスする。

 社員の健康管理に蒸し大豆を役立てようという動きもある。ゲーム大手のスクウェア・エニックス(東京都新宿区)は、社員食堂ですべてのメニューに蒸し大豆の小鉢1つを必ず付けて食べてもらい、食前と食後の血糖値を測定する試みを14日から2週間にわたり開催中。総務部の玉井里枝さんは「平均年齢が30代半ばと若く、健康に対する社員の意識向上のために始めた」という。参加した社員の一人は「野菜よりも少量なので食べやすく、これなら手軽に長続きしそう」と話した。

最終更新:5/18(金) 10:54
産経新聞