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(朝鮮日報日本語版) 原油供給・人材派遣急増、中国で対北制裁緩和の動き

5/18(金) 10:30配信

朝鮮日報日本語版

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が短期間に中国を2回訪問したことを受け、中国から北朝鮮向けの原油供給が増加し、また中朝国境付近では北朝鮮からやって来た女性労働者の増加で供給過剰状態になるなど、北朝鮮に対する制裁が緩み始めているようだ。米政府系放送局の、ラジオ自由アジア(RFA)が16日に報じた。非核化に向けた手続きがまだ始まってもいない段階で、中国から対北制裁に大きな穴が開くとの懸念が現実となり始めた。

 丹東のある消息筋はRFAのインタビューで「最近、北朝鮮に送られる原油の量が1日平均でタンクローリー80台分に達しているそうだ。八三油類貯蔵所の関係者から直接聞いた」と話した。この住民によると、タンクローリーは1台で60トンなので、80台なら4800トン分になる計算だという。これだけの量が北朝鮮に毎日供給されれば、国連が定めた北朝鮮向け年間原油供給量の上限となる400万バレル(約64万トン、1日平均1753トン)を大きく上回るというのがRFAの見方だ。

 丹東の北30キロに位置する八三油類貯蔵所は、黒竜江省の大慶油田から運ばれた原油を保管する施設で、北朝鮮につながるパイプラインもここからスタートする。パイプラインは鴨緑江の地下を通過し北朝鮮の烽火化学工場につながっている。丹東のある住民も「八三油類貯蔵所に油を積んで入ってくる原油輸送列車は(金正恩氏が最初に訪中した)4月初めから1日2-3両に増えた。これまで1日1両ほどだったから、それが2-3倍に増えたことになる」と証言している。

 日本の北朝鮮専門メディア「アジアプレス」の関係者も「4月中旬から北朝鮮でガソリン価格が少しずつ下がり始め、5月8日からはガソリンも軽油も前の月に比べて35%も安くなった」と伝えている。北朝鮮向けの原油供給が増えていることが分かる。

 RFAによると、北朝鮮に対する制裁項目の一つである労働力の派遣も最近大幅に増えているようだ。丹東と丹東港近くの東港には今年4月に北朝鮮から女性作業員が相次いで派遣されているという。その数が急激に増えたため、丹東では100人以上、東港では60人以上が今では仕事が得られない状態だ。現在、北朝鮮が中国に労働者を新たに派遣できる合法的な手立てはない。国連安保理が昨年、海外に派遣された北朝鮮労働者のビザ更新と労働者の新規派遣をいずれも禁止したからだ。

 中国政府はこれまでも対北制裁が緩和されることへの懸念が指摘されるたびに「国連安保理次元での制裁は揺らぐことなく行う」との立場を表明してきた。しかし丹東のある水産関係者は「金正恩氏と習近平・国家主席の2回の首脳会談や、北朝鮮の友好参観団による大々的な経済視察に習主席との面会など、中朝間では政府高官による動きが相次いでいるが、公務員たちにとってこれらは当然過去とは違ったシグナルだ」と語る。この関係者はさらに「今年の初めは北朝鮮産の水産物密輸などに対する取り締まりが非常に厳しかったが、最近はそれも相当緩くなったので、海上を通じた密輸が増加している」とも明らかにした。

 北朝鮮が中国向け石炭輸出再開に向けた準備を始める動きも捕捉された。ロイター通信は先日、中国の石炭輸入会社関係者の話として「金正恩氏訪中に続いて米朝首脳会談の日程が決まったことで、北朝鮮の石炭輸出関係者から販売の申し出が入っている」と伝えた。