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20歳の女性DJが、戦場となった故郷のラジオで伝えたこと

5/18(金) 6:03配信

BuzzFeed Japan

偶然聞いた、カーラジオから流れる声の主を探して

ドスキー監督はある日、国境近くでタクシーの運転手がかけていたカーラジオを耳にした。張りのある明るい声の若い女性が「おはようコバニ」という番組で「戦士たちのために」という曲をかけ、ISと戦うクルド人民兵を励まそうとしていた。
これはだれかと運転手に尋ねると、地元の小さなラジオ局でDJとして活動するディロバンという女性だという。監督は有刺鉄線をくぐり、地雷原を通り抜けてシリア側に密入国した。

その日のうちにラジオ局を探し出し、ディロバンに会いに行った。「出会ったその日に彼女の声を録音した。美しく知的で勇敢な女性に出会った。まさに一目惚れだった」。彼女を被写体に、ドキュメンタリーをつくることを決めた。

ディロバンはシリア第二の都市アレッポにある名門のアレッポ大学で社会学を学び、将来は教師になることを夢見ていた。

だが、アレッポは内戦で都市機能が崩壊して勉学もままならない状況となり、故郷のコバニに戻った。父と兄は義勇兵としてコバニを守るために戦っていた。コバニで何が起きているのかをつかんでみんなに伝えようと、仲間たちと機材を集め、FMラジオ局「FM94.3コバニの声」を始めた。

「コバニのみなさん。おはようコバニのディロバン・キコです」

ディロバンは毎朝、この声で番組を始める。肉親を亡くした人々の声を伝え、戦闘や爆発の状況を報告し、歌を放送する。

ディロバンは戦乱で友人を失いながらも、前を向いて生きる。
母親に気になる男の子のフェースブックを見せる。
休日に友人と林の中をオートバイに乗って楽しむ。
スマホでセルフィーを撮る。
やがて、生涯の伴侶を見つける。

カメラはその日々をつぶさに収める。

“あなたは まだいない
でも あなたのために語りましょう
ラジオ・コバニの話を
いつか生まれる子に伝えたい“

ディロバンがまだ見ぬ未来の我が子に宛てて書いた長い手紙の朗読を所々に挟みながら、ドスキー監督が体当たりで取材を続けた、コバニの日々が紹介されてゆく。

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最終更新:5/18(金) 9:39
BuzzFeed Japan