ここから本文です

押し寄せる日本記者団を現地はどう見る?=大谷「翔タイム」取材の裏側

5/18(金) 17:11配信

時事通信

異例の「大谷ルール」

 日米で話題の大谷翔平の姿をファンに伝えようと、エンゼルスの試合には連日、数十人の記者たちが詰めかけている。南カリフォルニアで圧倒的人気を誇るドジャースの陰に隠れがちで、近年は優勝から遠ざかっているエンゼルスとしては異例のにぎわいぶり。もともと狭いと言われる本拠地エンゼルスタジアムの二つの記者席は毎試合満席になる。米メディアで10年間働いてきた日本人ジャーナリストが、そんな喧騒(けんそう)の中で繰り広げられる大谷取材の裏側と、アメリカ人の目から見た日本メディアの姿を紹介する。

 多くのメジャーリーグ記者は、試合開始4時間ほど前に球場に到着する。
 日本のプロ野球と違い、メジャーではクラブハウス(日本でいうロッカールーム)がメディアに開放される。エンゼルスタジアムでは、ナイターのある日は午後3時すぎから4時半まで開いていて、取材許可証を持つ記者は選手たちに自由に話を聞くことができる。 試合前の過ごし方は選手によってさまざま。スマホやパソコンでメールやゲームをしたり、チームメートとトランプに興じたりしてくつろぐ選手もいれば、別部屋でトレーニングをしたり食事をしたりする選手もいる。
 このクラブハウスでの時間が、記者にとっては1対1か少人数でじっくりと話を聞けるチャンスなのだ。エンゼルスで現役最高の呼び声も高いマイク・トラウトなども気軽にインタビューに応じてくれる。

 ただし、大谷には特別ルールが敷かれていて、記者はクラブハウスで話しかけることができない。というのも、大谷だけを追いかける20人以上もの日本人記者がいるため、個別でのインタビューをこなしていたらきりがないのだ。その代わり、大谷が出場した試合後には記者会見や囲み取材が行われる。また、インタビューをしない日本の記者がクラブハウスに居座らないようにとチームが注意を促している。

 オレンジ・カウンティ・レジスター紙のエンゼルス番記者ジェフ・フレッチャーは、話題のスターに個別取材ができない現状に、「仕方のないこと」と理解を示す一方、やりづらさを感じることもあると言う。私もそうだが、米国のスポーツライターはアスリートの人間性に踏み込んだ記事を書きたい思いが強い。
 「その日の試合に関すること以外を彼に質問する機会がない。シーズンが進んだら、(騒ぎが落ち着いて)変わるかもしれないけど」

 ちなみに、エンゼルスを毎日取材している文字媒体の米メディアは、私が勤めていたレジスターとロサンゼルス・タイムズ紙、MLB.comの3社だけである。敵チームの番記者を含めても、日本人記者の数には到底及ばない。
 急激に縮小する米新聞業界に身を置いてきた者として、「日本の宝」とはいえ1人のアスリートを追うために各社が記者を海外派遣できる日本メディアを正直うらやましく思う。アメリカでは起こりえない現象だ。

 試合前にはベンチでソーシア監督を取り囲んでの取材も行われ、主にアメリカ人記者が、好調・不調な選手についてやけがをした選手の状態などについて質問をする。
 注目の大谷はここでも毎回のように話題に上がる。二刀流をやり続ける限り、いつ試合に出るのか、どのように調整しているのかは米記者の間でも関心の的なのだ。

1/2ページ

最終更新:5/18(金) 18:02
時事通信