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引き取って2日、猫の「水丸さん」がお腹にのってきた

5/18(金) 15:02配信

sippo

 ドラッグストアの駐車場で保護猫の「水丸さん」を受け取ったあと、なるべく急いで家に帰り、バッグを開けた。自分から出てくるのを待ってみたが、うずくまって全然出てこない……。

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 興奮で我を忘れた水丸さんに、指を食いちぎられる、という無駄におそろしい妄想をしながら、おそるおそる水丸さんの脇を抱えてバッグから出した。が、全くの無抵抗。へっぴり腰のまま、ベッドの下に隠れてしまった。

 一瞬だったが、見ることのできたその姿は、バッグのサイズからは想像できないくらい大きかった。

 「最初の篭城は覚悟せよ」と何かで読んでいたので、私はのぞき見たい気持ちをグッとこらえて、トイレとお水とご飯をそばに置いて、その日は寝ることにした。

 まるで彼氏を初めて家に連れて来た女の子のように、またもや部屋のテイストが心配になりながら。

 長いと1週間飲まず食わずで顔を出さない猫もいると聞いていたが、水丸さんが気持ちの整理に要した日数はたったの2日。

 夜、出てきたと思ったら、ベッドの上で本を読んでいた私のそばに近づいてきて、おなかの上に乗り、そのまま座ってしまった。

 真正面から黒々とした目で直視され、うれし恥ずかし初対面。なんだか私のほうがモジモジしてしまった。

 同時に、水丸さんが9年も暮らしたという以前の飼い主さんや、自分の子供との突然の別れを想像して、ものすごく切ない気持ちにもなった。

 あの日、みずからバッグに入ったという水丸さん。覚悟なのか、あきらめなのか、何を思っていたんだろう。

 切り替えの早い水丸さんはその後、ご飯をよく食べ、お水もゴクゴク飲み、そばにピタッと寄ってよく眠り、なでると大きな音でゴロゴロと喉を鳴らしてくれた。

 あれから2年半。正直大変なこともあるし、水丸さんは結局、病気にもなってしまったけど、言葉の通じない彼女と向き合うことが自分をどれだけ成長させ、いやしてくれているだろう。本当に彼女が来てくれて良かったと、毎日思う。

(松田珠希/モデル)

sippo(朝日新聞社)

最終更新:5/18(金) 15:02
sippo