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[コラム]不可逆的な合意は可能だろうか

5/18(金) 13:13配信

ハンギョレ新聞

 来月12日の北朝鮮と米国の「シンガポール首脳会談」を控え、両側の水面下の神経戦と角突きが水面上に浮上した。北朝鮮は「朝鮮中央通信」報道とキム・ゲグァン外務省第1副相の談話形式で「これ以上は譲歩できない」というメッセージを米国に送った。

 無視してはならないが、さほど驚くことでもなさそうだ。これまで順調だったことの方がむしろおかしかった。おそらく、朝米首脳会談取消の話が今後も何度か出てくる可能性が高い。首脳会談の場所と時期を決める事前協議が、一種のウォーミングアップだとすれば、非核化および相応措置をめぐる議題交渉は本ゲームであるためだ。

 本格的な議題議論に突入すれば、北朝鮮の立場からは体制の安全保障と制裁緩和・解除のような大きい牌をめぐり生存を賭けた勝負を行わなければならない。もう北朝鮮が“慎ましい猫”であればという期待は捨てた方が良さそうだ。北朝鮮が会談場所をシンガポールにすることで譲歩しただけでも破格だった。

 北朝鮮の“マスコミプレー”(メディア利用)が、何も北朝鮮特有の戦術というわけでもない。米国も韓米自由貿易協定や米中首脳会談などに先立ち、メディア利用を通じて相手を圧迫する戦略をよく駆使した。また、同盟である韓米間交渉でも、一方的な譲歩はない。韓米首脳会談などを控えて、会談直前まで実務者が廊下に座り込み最後まで談判を行うケースが多い。

 迂余曲折はあるだろうが、シンガポール会談は実施される可能性が高い。南・北・米・中の4国首脳指導者の政治的推進力は以前とは違う。密度の差はあるだろうが、宣言であれ何であれ、いかなる形式でも結果は出てくるだろう。

 多くの専門家は、朝米首脳会談後の査察や検証のような履行過程で座礁するだろうと憂慮している。一部の心配は傾聴に値する。一部の憂慮は“反トランプおよび反北朝鮮情緒”と結びついおり、言いがかりで邪魔をするようにも見える。

 個人的には、履行に伴う技術的な複雑さよりも、米国内の政治地形にともなうリスクがさらに大きく見える。11月の米上・下院中間選挙は、ドナルド・トランプ大統領の朝米会談推進の大きな原動力という点では機会だが、首脳会談の結果が過度に政治争点化されかねないという側面では懸念要因だ。トランプ大統領が民主党の“成果中傷”攻勢に対抗する過程で、過度に国内の論理だけに偏った解釈で防御に出る場合、合意文の趣旨は毀損され、北朝鮮が反発するおそれもある。

 一歩進んで、民主党が中間選挙で下院を掌握すれば、“逆ジュネーブ合意”現象が発生する可能性がある。朝米が1994年10月にジュネーブ合意を結んだが、その翌月の11月中間選挙で40年ぶりに多数党になった共和党の反対で予算確保が難しくなり、北朝鮮に対する重油供給が大幅に遅れた。カーネギー国際平和財団のダグラス・パル研究副会長は、数年前に筆者とのインタビューで「米議会の法律制定なしで、どのように重油を供給するかについての条項がジュネーブ合意にはなかった」として「玉に瑕が全体を台無しにした」と指摘している。

 国家別政治体制と選挙周期の違いに由来する履行の信頼性問題は永遠の宿題だ。選挙を通じた米国の政権交替方式に当惑した中国は、数十年にわたる試行錯誤をたどりながら、適当な妥協をする方式で適応しているとワシントンのある中国専門家は耳打ちした。韓国でも盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府時期に米国と合意した戦時作戦統制権の返還が延期され、2007年の北朝鮮との「10・4宣言」も無用の長物になった。

 北朝鮮に「完全で検証可能で不可逆的な」非核化を要求することは理にかなっている。ところが、選挙による民主主義体制で「完全で不可逆的な」非核化相応措置の約束は可能だろうか。もしかしたら、それが北朝鮮が中国に目を向ける理由なのかもしれない。話題だけ投げてみる。

イ・ヨンイン・ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:5/18(金) 13:13
ハンギョレ新聞