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後進に大きな影響を与えたアリス・クーパーの『キラー』

5/18(金) 18:02配信

OKMusic

今の時代、アリス・クーパーとかグラムロックに興味がある人がいるのかどうかは分からないが、70年代前半には確かにグラムロックのムーブメントは存在した。ほんの数年ではあるけれど…。T・レックスやデビッド・ボウイのようなビッグネームをはじめ、ゲイリー・グリッター、ニューヨーク・ドールズ、モット・ザ・フープル、ロキシー・ミュージックら、当時の若者たち(特に中高生女子)は夢中になっていたものだ。

そんな中でアリス・クーパーは無駄に派手だった。おっさんのくせに芸名は女性の名前だし、ニシキヘビを首に巻いて登場してみたり、LP盤を包むナイロン袋の代わりに紙パンティを使ったりするなど、スキャンダルっぽさを売りにする商売の匂いをプンプンさせていた。だから、硬派のロックファンはアリス・クーパーなど聴かなかった。でも、それは残念なことであり、聴かない者は確実に損をしている。彼が71年から73年にワーナーからリリースした『キラー』『スクールズ・アウト』『ビリオン・ダラー・ベイビーズ』の3枚はどれもロック史上に残る名盤だ。今回は彼の名前が世界に知れ渡った4枚目となる名作『キラー』(全米21位、全英27位)を取り上げる。

決してジャンルではないグラムロック

70年代初頭、マーク・ボラン、デビッド・ボウイ、ニューヨーク・ドールズ、ゲイリー・グリッターなど、派手なメイクを施し、未来的なファッションに身を包むアーティストたちが続々と登場する。なぜか彼らはバイセクシュアルな雰囲気を漂わせ、グラマラスであったことから、いつしかグラムロックとかグリッターロックと呼ばれるようになる。ただし、それはこれまであったハードロックやフォークロックなどのような、音楽的なジャンルではない。あくまでもアーティストの外見から決められた呼び方である。音楽性はアーティストによってまったく異なっており、共通項があるとすれば知的退廃感のような雰囲気だけである。

70年代初頭と言えば、ロックが生まれて15年ほどが経過し、その喧騒も落ち着きを見せ始めていた。高度成長の社会から自然を大切にするようなライフスタイルへと移り変わり、ポピュラー音楽の世界でもサイケデリックロックやハードロックなどのスーパースター的存在から、キャロル・キング、ジェームス・テイラーなどに代表されるどこにでもいる一般人的存在のシンガーソングライター・サウンドが迎えられるようになった頃である。

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最終更新:5/18(金) 18:02
OKMusic