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世界遺産でけが人相次ぐ 那覇の識名園、安全確保求める声

5/22(火) 7:34配信

琉球新報

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産で、国の特別名勝にも指定されている沖縄県那覇市の識名園で、頭上の岩に頭をぶつけたり、足を滑らせ転倒したりするなど負傷し、4月の1カ月間だけで観光客2人が救急車で搬送されていたことが21日、分かった。識名園では、2016年にも来園者が雨天時に石灰岩の石畳で足を滑らせ、骨折する事故が起きている。園内の作業員や来園者からは「足場が悪く危険な箇所が多い」「車いすでの入園は難しくて危険。バリアフリーにしてほしい」など、安全性の改善を求める声が相次いでいる。

 施設を管理する那覇市によると、負傷した男性は、足場の悪い石畳の階段を上る際、足下に注意が集中したため頭上の岩に頭部を強打し出血した。別の男性は雨天時に石畳の緩い坂道で足を滑らせ、捻挫した。いずれの事故も園内の指定順路で起きている。

 園内に張り巡らされた琉球石灰岩の石畳は18世紀当時の様子を緻密に再現し趣がある一方、表面は凹凸が多い上、雨天時には藻が生えるなど滑りやすいという難点がある。ある男性作業員は「滑って足をくじく人や、つまずいて尻もちをつく人を何人も見てきた」と証言する。また、庭園の中央にある石橋の段差が高いため渡るのを断念する高齢者や、雨が降った後あちこちにできる水たまりで足下が泥まみれになり、滑って転ぶ人も少なくないという。

 作業員として園で7年働いている金城幸男さん(69)は、昨今、近隣アジアからのクルーズ船観光客が増加傾向にあり、特に高齢の来園者が急増していると指摘する。市に対し「取り返しの付かない事態が起こる前に、安全対策を取った方が良い」と要望する。

 市文化財課の担当者は本紙取材に対し、園内に安全管理体制が十分でない場所が一部あることを認めた上で「今後、市のホームページで危険な場所を知らせたり、歩きやすい靴で来園するよう呼び掛けたりするなどの対策を検討したい」と話した。 (当銘千絵)

 【識名園】1799年に造られた琉球王家最大の別邸で、国王一家の保養や外国使臣の接待などに利用された。1800年に尚温冊封のため訪れた正使・趙文揩(ちょう・ぶんかい)、副使・李鼎元(り・ていげん)を招いている。首里城の南にあるので「南苑」とも呼ばれる。沖縄戦で壊滅的な打撃を受け、1995年に復元された。2000年に特別名勝とユネスコの世界遺産に指定された。

琉球新報社

最終更新:5/22(火) 15:59
琉球新報