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絶滅危惧ウナギ、貿易規制が濃厚に 水産庁が危機感

5/24(木) 18:23配信

みなと新聞

 ニホンウナギのワシントン条約(CITES)付属書掲載が濃厚となっている。ニホンウナギの国際取引では、日本は台湾との稚魚のシラス貿易が禁止となっている中、漁獲実態のない香港からの輸入が問題となっており、台湾産も香港経由で日本に輸入されているといわれる。今後仮に付属書掲載となれば、密漁されたシラスウナギの輸出入は難しくなり、国内のウナギ養殖に大きな影響を与えそうだ。

 ワシントン条約は野生動植物を過度な国際取引から保護することを目的とした国際条約。付属書は絶滅度合いに応じて3段階あり、今回ウナギは付属書IIに掲載される可能性が高まった。付属書IIには既にジンベイザメ、ワニ、オオカミなどが掲載されている。

 22日、東京都内であった日本と台湾のウナギ関係者が開いた貿易会議で、水産庁の清水孝之内水面漁業振興室課長補佐は条約掲載について、「非常に厳しい状況と言わざるを得ない」との認識を示すとともに、掲載後の取引について「考える時期に来ている」との見方を示した。

 ワシントン条約締約国会議は来年5月23日からある。来月7月には動物委員会、10月に常設委員会があり、付属書掲載の提案期限は本会議開催150日前の12月24日。清水課長補佐は「常設委でウナギに関する勧告が示される」と予想し、ニホンウナギの付属書掲載で問題を2点を挙げた。

 第1点は欧州連合(EU)の動きだ。既に欧州種ウナギは2009年に付属書IIに掲載され、国際取引が規制されている。前回の16年の締約国会議でEUは欧州種以外のウナギの国際取引調査を求めた。清水課長補佐は「EUは付属書掲載以降も中国に欧州種ウナギが密輸されているとみている」とし、「欧州種が他のウナギに化けるのを防ぐために全てのウナギの種に規制をかけるべきと考えている」と説明した。

 2点目に挙げたのが今期のニホンウナギシラスの不漁だ。ニホンウナギの採捕量は資源悪化で200トンを超える最盛期の20分の1以下まで落ちている。水産庁がまとめた今期シラスの国内池入量(養殖池に投入した稚魚の量)は14トンで、5トン前後の輸入を除くと採捕量は9トン前後と10トンに満たない。清水課長補佐は「シラスの獲れ方が悪かったということでニホンウナギは当然規制すべきというのがEUの考え」と述べた。

 香港問題で水産庁の清水課長補佐は、付属書に掲載された場合、原産地証明書を発行できない香港からの輸入はなくなるとし、「付属書に掲載された後、どのようにして取引をしていくかを考える時期にきている」との考えも示した。

[みなと新聞2018年5月24日付の記事を再構成]

最終更新:5/24(木) 18:23
みなと新聞