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社説[日大反則タックル]第三者で真相の究明を

5/25(金) 7:25配信

沖縄タイムス

 日本大アメリカンフットボール部の守備の選手が、相手チーム関西学院大の司令塔のクオーターバック(QB)の選手を、悪質なタックルで負傷させた問題が社会問題化している。

 なぜ危険で重大な反則行為がなされたのか、指導者からの指示があったのかなどについて、日大の選手と内田正人前監督、井上奨コーチが相次いで会見した。真実は一つであるはずなのに、選手と前監督らの認識の隔たりは大きく、事実関係の食い違いも浮かび上がった。

 選手は問題のタックルについて、前監督やコーチの指示があったと告白した。前監督が「相手のQBを1プレー目でつぶせば(試合に)出してやる」と言っているとコーチから伝えられたとし、「つぶせ」という言葉を「けがをさせろ」という意味で受け取る以外にはなかったという。

 これに対し、前監督は「私からの指示ではない」と関与を否定。コーチは「QBをつぶしてこい」と言ったことは認めたが、「けがをさせることを目的としては言ってない。思い切り行かせるために言った」と、発言は選手を発奮させることにあったと釈明した。

 自責の念にさいなまれ真実を懸命に語ろうとした選手に対し、前監督やコーチからは、指示の意図を正確に把握していなかった選手に未熟さがあり、それが反則行為につながったと捉えられるような発言もあった。選手に責任転嫁せず、指示を浸透させられなかった指導者の資質こそ問われなければならない。

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 24日発売の「週刊文春」によると、内田前監督は試合直後のマスコミの取材に、選手の反則について「よくやったと思いますよ。法律的にはよくないかもしれないけど」などと、容認する発言をしていた。さらに「『内田がやれって言った』でいい」という音声も録音されている。

 23日の会見で前監督は発言を認め、選手を批判から守るため自身を悪者にしたと説明した。矛盾する内容で、本当は監督の指示だったとの疑いは深まる一方だ。

 有望と認めながらも選手を練習から突然はずし、試合前になって「QBつぶし」を条件に、プレッシャーをかけて起用している点などから、「ゆがんだ指導」がまかり通っていた実態もうかがえる。

 選手は今後、アメフットを「やるつもりはない」と決断した。ゆがんだ指導で、若者をそこまで追い込んだ責任を痛感しなければならない。

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 社会問題化した責任は、前監督やコーチにあることは疑いない。日大だけによる真相解明は期待できそうにない。主張の隔たりを埋めるためにも、第三者機関を立ち上げ、解明する必要がある。チームは今回の問題が、スポーツの一線を越えてしまったことを深刻に受け止めるべきだ。

 後手に回ってきた大学側の対応にも非難が集まる。内田前監督が大学の常務理事であることも、対応のまずさの背景にあると指摘されている。理事会の責任も認められれば、私学助成をする文部科学省も指導する必要がある。

最終更新:5/25(金) 7:25
沖縄タイムス