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日大はなぜ失敗したか。東大、早慶、関学…大学不祥事対応に見る成功例と失敗例

5/26(土) 17:12配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

大学の不祥事というカテゴリーに入れていい。

日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックルである。これほど大きな社会問題となれば、一体育会系クラブ部(課外活動)の対応だけでは済まされない。大学のトップ、経営陣が、悪質タックルを大きな不祥事として受け止めて、真相究明、説明責任、再発防止などの難題に取り組まなければならない。

東大、慶應、早稲田……大学の不祥事への対応は?

しかし、日本大にはその姿勢が見られない。今回起こした事件そのものももちろん問題だが、その後の大学側の対応についても大きな非難が集まった。5月23日に内田正人前アメフト部監督、5月25日に大塚吉兵衛学長が会見を開いたが、遅きに失しただけでなく、内容もさらに批判を集めることになってしまった。

大学にはさまざまな学生、教職員がいる。とくに大学進学率が5割を超えた今日、大学数は増えた。学生や職員の数も増えれば、学生や職員が犯罪や不祥事に関わる確率は高くなる。

具体的に言えば、傷害、殺人、強姦などから、入試不正、問題漏洩、研究費不正授受、収賄、論文捏造など大学ならではのものまで多様な犯罪が実際起きている。さらにセクハラ、アカハラなどの大学組織の上下関係に由来するようなハラスメントの話も珍しくはない。

このような不祥事に対して、大学はどのように対応してきただろうか。私はこれまで大学の不祥事に関わる会見を取材してきた。過去の不祥事対応のケースを振り返りながら、日本大アメフト問題を機に大学の危機管理について考えてみたい。

総長が謝罪に出てこなかった早稲田

今回の対戦相手で被害者を出した関西学院大だが、いまから15年前、学生が大変な事件を引き起こしている。

2003年8月、4年生が広島平和公園の折り鶴を放火し、器物損壊容疑で逮捕された。関西学院大の対応は早かった。学生の逮捕当日には会見を開き、副学長がこう謝罪している。

「怒りや悲しみを新たにする時期に、言語道断というしかない。心からおわびします」

また、翌日には学長が広島市長を訪問し、謝罪している。

私は大学を20年以上取材してきたが、学生や教職員の不祥事に対して、大学トップが公の場で謝罪するようになったのは、この事件が大きなきっかけとなったのではないかと考えている。

関西学院大学長の対応について、当時早稲田大のある職員が私にこう話したのが印象的だった。

「早稲田なら、謝罪のために総長は表に出てこない」

この職員は折り鶴放火事件の少し前、早稲田大で起こった大きな事件が頭をよぎったからだろう。

2003年5月、早稲田大のサークル「スーパーフリー」の学生が女子学生数人を強姦した。サークルの首謀者(在学生)は逮捕され、今回の日本大アメフト事件と同じぐらい、連日、テレビや新聞でも報じられた。

早稲田大は会見を開き、副総長3人が謝罪した。しかし、白井克彦総長は欠席。早稲田大近くのある女子大学職員が怒ってこう話していた。

「総長が謝罪すべきだろう。以前、スーパーフリーの学生がナンパしにきて、早稲田に文句を言ったが対応してくれなかった。この責任は重い」

当時、私は会見に出席したが、副総長たちの対応から、いやいや矢面に立たされている感がにじみ出ていた。被害者の女性に対する謝罪、再発防止の提示など十分ではなく、当事者意識が薄いとしか思えなかった。

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最終更新:5/26(土) 22:25
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