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外国人客で賑わう新宿ゴールデン街、案内役を買って出た店主の思い マスターはバンドマン

5/28(月) 7:43配信

MusicVoice

 文化人が夜な夜な訪れ議論に花を咲かせた東京・歌舞伎町の新宿ゴールデン街は今、外国人観光客で賑わいを見せている。海外から日本に訪れる観光客が増加しているなかで、ディープな東京が楽しめるとして人気だ。そんな“横丁”にあって「If you have a problem, Ask me !! I love English & you !!!」(問題がある時は気軽に訪ねてくれ。私は英語とあなたが好きだ)という貼り紙をしている店がある。山下剛史さん(47)がマスターを務めるバー「ACE’S(エイシス)」だ。その言葉には、ブルースの本場・米国メンフィスなどでの体験が影響しているといい「外国人に恩返ししたい」という思いが込められている。それはなぜか。【取材・撮影=木村陽仁】

【動画】「Blues No More!!!」の新曲「B.N.M 2018」

留学先で身をもって知った差別問題

 山下さんがマスターを務める「ACE’S(エイシス)」は11年前にオープンした。当時はお世辞にも盛況と言える状態ではなかったが、客足は年々増え、外国人観光客によるゴールデン街ブームもあって今では連日、活気に満ちている。一番多い出身地はオーストラリア、次いで米国、カナダ。ヨーロッパからの渡航者も多い。もちろん日本人もいる。そんな多国籍ムードのなかで会話を取り持つのが、映画や音楽だ。「異国の人同士が話せるネタになれば」との思いでそれらを流している。

 「たまに私が作った音楽も流してますよ。外国人に受け入れられるか、反応を見てます(笑)」

 山下さんは、マスターの傍ら「Blues No More!!!」というバンドを組み、音楽活動をしている。その音楽性はブルースだ。なぜブルースなのか。その出会いは店をオープンする以前にさかのぼる。

 青年期は役者を目指していたという山下さん。高校時代に家庭教師の影響で音楽に目覚めた。大学進学後、訪れた留学先の米・コロラドでバンドを組み、ザ・ローリング・ストーンズやブルース・ブラザースをコピー。バーやフェスなどで演奏、その様子が地元紙で取り上げられるなど注目を浴びた。役者の夢を抱えたままの活動だったが、その頃からアメリカ音楽のルーツやブルースに興味を抱くようになった。そんなところに事件が起きた。人種差別で暴漢に襲撃を受けた。

 「初めてアメリカで差別を受けて、日本では感じられないほどの屈辱を受けました。暴漢はのちの裁判で、襲撃した理由を『日本人だからやった』と証言していて、極論を言えば僕らは日本人であることは変えられないから逃れようがなかった。その事件で良くも悪くも人種問題を改めて認識させられました。日本にいれば日本人ということを意識して過ごしていないし、語らなくても共通認識のなかで済むこともある。でも、アメリカは多民族国家だからそういう認識が低い。それを凄く理解しました。良くも悪くも日本人なんだと」

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最終更新:5/28(月) 10:34
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