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会社に壊されない生き方(15)お金をかけずに建てる自然派の「コブハウス」

6/1(金) 15:59配信

THE PAGE

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 多くの人にとって、家は一生に一度の買い物だ。そのために頭金をコツコツと貯め、購入したあとは数十年にわたる住宅ローンの返済が待っている。そのために過重労働に苦しんでいても、会社を辞められないというケースも出てくる。そんな悲惨なことになるくらいなら、マイホームを買わずに、自分の手で建てればいいのではないか? そう考える人もいる。

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自分で作るコブハウスとの出会い

 「住宅ローンのための会社勤めから解放されて、家を気楽に何軒も建てる人たちを増やしたい」。コブハウスの設計や施工サポート、ワークショップ講師の仕事を請け負っている沓名輝政(くつな・てるまさ)さん(46)はそう夢を語った。沓名さん自身、オーバーワークに苦しんだ経験があるだけに、その言葉には実感がこもっていた。

 沓名さんが手がけるコブハウスは、いわば「土のかたまりの家」だ。イギリスやアメリカでは、実際にコブハウスを自分で建てて住み、自然により近いライフスタイルを満喫している人がいるという。

 コブハウスのコブ(Cob)とは、英語で「粘土にワラなどを混ぜた壁土」(ランダムハウス英和大辞典)を意味する。粘土と砂とワラを混ぜ、水でこねた土の団子を石垣の土台の上に積み上げて分厚い壁を作る。コブハウス作りには、特別な資格も、特殊な道具も不要。作り方さえ学べば、建築のプロでなくても自力で作れるという。沓名さんは「自力で作れば、建設費用は500万円以下にできます」と説明する。

 沓名さんは、千葉県鎌ケ谷市在住で、コブハウス作りのほかにも、自給自足のノウハウを紹介するアメリカの隔月刊誌「マザーアースニューズ」の日本語版発行など、複数の個人事業を営んでいる。子どものころは、英語を使って仕事をしたいという夢を持っていた。

 大学で物理学を学んだ後、1996年4月に産業機械を取り扱う国内の商社にエンジニアとして入社した。3年目にはエジプトの火力発電所の仕事で約1年出張。英語を使って仕事をしたいという夢もかなった。

 2005年1月には、外資系のタービン製造メーカーの日本法人に転職。新規事業の事業部長をまかされた。国内の火力発電所や原子力発電所を顧客として獲得し、売上は順調にのびていった。成果が社内で認められれば、ゆくゆくは、日本支社長など上級職へ昇進する可能性も出てきた。目の前に「出世」の道が開けていた。

 「出世」と引き換えになるのは「健康」だった。限られた時間のなかで成果を出すように求められてきた。時間を支配されていた。「日々の仕事に追われていたら、間違いなく体調を崩していたでしょう。お金はたくさんもらえるでしょうが、お金なんていらない、と思うようになりました」

 そう考えて、2008年に一度退職したものの、半年で貯金が尽きたため、外資系電子機器メーカーに再度就職。就業の傍ら創刊した日本語版の「マザーアースニューズ」が軌道に乗り、2012年にそのメーカーを去った。

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最終更新:10/2(火) 15:05
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