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金正恩の新教科書を解剖する(6) 独裁者への忠誠求める「道徳教育」

6/1(金) 10:20配信 有料

アジアプレス・ネットワーク

「社会主義道徳」科目の構成内容は、(1)一般的な礼節や倫理 (2)体制守護 (3)遵法教養
(4)「領導者」の偶像化 の四つに分類できることは前回述べた。解説を続ける。

(2)体制守護
「社会主義道徳」には、「階級闘争と資本主義思想の排撃」という、およそ道徳教育とは関係のない項目が含まれている。道徳を階級闘争の観点から解釈する北朝鮮政権の主張に基づくものだが、これは敵を強調することによって、体制を守る名分を得て、その「道徳性」を合理化するためである。同じ脈絡で、資本主義思想の排撃を道徳教科書に掲げるのも、外部情報の流入による住民の思想的な動揺を防ぐことに目的を置いている。

階級闘争の教養では、「階級の敵」に対する敵愾心を注入し、過激な批判や悪罵を効果的な手段として用いている。「敵を跡形もなくすべて消滅させよ」「敵を人間であると思うな」などの言葉が、すべての中学校「社会主義道徳」の教科書に登場する。

資本主義思想を警戒すべきものとする内容は、金正恩政権になってより強化された。一例として、高級中学一年生の教科書を紹介しよう。この教科書の第四章には、「敵の思想文化的浸透策動を徹底的に打ち破ろう」という項目がある。

冒頭部分で「思想文化的な浸透は、帝国主義者たちの常套手段」と強調し、社会主義圏の国家の崩壊原因の一つが帝国主義による思想攻勢にあったとして、思想文化の浸透を警戒せよとしている。

北朝鮮当局が、人民班や職場などで、住民の思想統制のために政治学習や講演会を通じて、資本主義の思想文化への警戒を住民に呼びかけていることはよく知られている。だが、義務教育の段階からこのような内容を教えているということは、あまり知られていない。
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