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ごみ袋に名前、なぜ必要?戸惑う住民 マナー違反対策、自治体は苦慮

6/5(火) 9:56配信

西日本新聞

 「私が暮らす自治体の指定ごみ袋は、名前を書かなければいけないんです」。福岡県うきは市に住む女性(61)から、西日本新聞の特命取材班に戸惑う声が寄せられた。さまざまな個人情報を含む家庭ごみ。誰に見られるか分からず、記名に抵抗があるという。確かに、ストーカーがごみを持ち去る例もある。わざわざ書くなんて…。取材を進めると、マナー違反に苦慮する自治体の姿が見えてきた。

⇒【画像】燃えるごみ袋に混入していた金属の塊

 うきは市役所で指定ごみ袋を見せてもらった。家庭用の燃えるごみ袋は半透明の青色。中央に大きく記名欄があり「お名前は必ずご記入ください」の文字がある。「記名は強制ではなく、あくまでお願いですよ」。市民生活課の寺嶋克史係長が説明する。

「分別のルールを守っていれば回収します」

 市は2005年3月、旧吉井、浮羽両町が合併して発足。詳しい時期は不明だが、浮羽町は以前から記名式のごみ袋を使っていたという。合併前の04年9月、燃えるごみを固形燃料材(RDF)に変える施設「耳納クリーンステーション」が吉井町で稼働。これを機に、吉井町域も含む新市全域を記名式にした。

 収集場所に無記名のごみ袋があっても「分別のルールを守っていれば回収します」。作業員が袋の重さや手触りから判断し、適正なら記名の有無にかかわらず回収する。一方、燃えるごみ袋に不燃物が入っていれば「×」印のシールを貼って収集場所に残し、分別を徹底するよう注意する。無記名なら職員がごみ袋を開ける「開封調査」を実施。郵便物などから特定し、手紙を送って分別の徹底をお願いする、という。

金属の塊が混入、破砕機が破損する事故も

 「記名式でごみ出しに責任を持ってもらえば違反の抑止にもなる」。そう寺嶋係長は強調する。背景には度重なる苦い経験がある。

 クリーンステーションではRDFを成型する過程で可燃物のごみを破砕する。この破砕機に金属の塊が混入し刃が破損する事故が過去12回発生。刃の交換など毎回約50万円の費用がかかり、そのたびに稼働停止を余儀なくされた。「破砕機は一系統だけ。金属の混入は致命的です」と職員の安元貴昭さん(42)は語る。

 記名式や開封調査を採用する自治体は全国で増えている。佐賀県武雄市、熊本県長洲町、福岡県大野城市の一部地区なども記名式。開封調査は熊本市や北九州市が導入している。

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最終更新:6/5(火) 12:22
西日本新聞