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“20日で1万本”のハゲ治療 革新技術をベンチャー社長に聞く

6/6(水) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 画期的なハゲ治療の実用化が近づいている。理化学研究所とベンチャー企業による研究グループが、毛髪を生み出す根元の器官「毛包」を体外で増やして移植する技術を開発した。20日間ほどで髪の毛1万本に相当する約5000の毛包を作り出せるという。

 4日会見した理研の辻孝チームリーダーらは、安全性を確認する動物実験を7月から行うと発表。年内に終え、問題がなければ男性型脱毛症(AGA)を対象とする毛髪再生技術の臨床研究を大学病院で行う方針だ。

■2020年に実用化?

 偉業に王手をかけたベンチャー企業は、2008年に設立された「オーガンテクノロジーズ」(神戸市)。資本金は約1.1億円で、従業員はわずか14人(17年5月末現在)だ。会見で「当面は(健康保険適用外の)自由診療で2020年以降の実用化を目指したい」と戦略を語った杉村泰宏社長(39)は京大経済学部卒で、外資系証券出身だという。日刊ゲンダイの取材にこう自信を見せた。

「これまでの技術と全く違うのは、毛髪の絶対数を増やすことです。従来は後頭部の毛髪を脱毛部分に移植しているだけでした。今回の技術では、まず患者の毛髪を採取して、それを培養し、数を増やして植毛することで、毛髪の絶対数を増やすことに成功しました。今回はマウスを用いた非臨床試験を開始しました。この試験で安全性や有効性が明らかになれば、19年にはヒトへの臨床試験を開始して、早ければ20年には一般の方々へサービスを提供できます」

 AGAで実用化できれば、女性型脱毛症や生まれつき毛髪が少ない病気の治療法開発に取り組む計画だ。

 現在、AGAは後頭部に残った毛包の細胞を頭頂部などに移植する治療が行われているが、元の毛の密度を復元できない。辻リーダーらは、毛包を構成する3種類の細胞を実験容器で培養して再生し、1個の毛包を100個に増やす技術を開発。京セラ(京都市)と再生毛包の規格化や、自動大量生産に向けた技術開発を進めている。

 矢野経済研究所によると、16年度の市場規模は毛髪業1369億円、植毛44億円、発毛・育毛剤675億円。市場も夢も膨らみそうだ。