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金正恩はパンドラの箱を開けた?乖離が進む国民と中央の“希望”

6/7(木) 18:30配信

FNN PRIME

配給の噂が広がる北朝鮮

シンガポールでの米朝首脳会談の行方については楽観視を諌める論調が大方だが、北朝鮮国内では緊張緩和が生活改善につながることへの期待が盛り上がっているらしい。

【画像】北朝鮮の街中の様子。「自由」と「人権」は手に入るのか

北朝鮮の内部事情に特化したニュースサイト「デイリーNK」日本語版は4日、「6月に韓国から食料配給がある」という噂が北朝鮮国民の間で広まっていると伝えた。

それによると、噂は行商人などによって全国に広がり、地方機関や企業でも幹部が朝礼で「6月から配給が一部再開されるようだ」と話しているという。

その配給が国からではなく韓国からだというのは、過去に何度も当局の約束に裏切られた北朝鮮市民の不信感があるからで、今南北の緊張緩和の機運が高まってきている時には「韓国から」と言った方が現実味があるのだろう。

北朝鮮の市民たちは、南北の板門店会談や米朝会談、核実験場の廃棄などをめぐる公式発表の行間から何か大きな変化が起きることを感じとり、期待や希望が募っているのは間違いないようだ。

「敵の上辺だけの平和戦略に備え、徹底した対策を」

ただ、その期待が裏切られた時には市民の不信感が金正恩体制を揺るがすことにもなりかねないので、当局が国民の思想教育を強化しているという。

同じ「ディリーNK」電子版が6日に伝えているもので、同サイトの情報筋によると朝鮮労働党中央委員会から次のような内容の指示文が出されたという。

「幹部と住民の中に、今の情勢を見てすでに平和が訪れたかのように考えている人がいるが、このようなときこそ、敵の上辺だけの平和戦略に備えて、徹底した対策を立てよ」

また「われわれは、誰もうかつに手が出せない世界的な強国になるために、何十年間も苦しい思いをして血と汗を捧げて成し遂げた成果を、次の世代に受け継がなければならない」として、完全な核放棄はあり得ないということを主張しているという。

北朝鮮のパンドラの箱とは?

「ディリーNK」の情報筋は、ほとんどの国民は南北、米朝首脳会談、核実験場の廃棄を見て改革開放が現実になると見ているのに、中央の指示が国民の期待と正反対の方向に向いていることに不安を抱いているとして、この当局の思想教育が国民の動揺を招いているとも伝えている。

そこで考えたのが、金正恩委員長は「パンドラの箱」を開けてしまったのではないかということだ。

人類初の女性パンドラは、天界から地上に送られた時に禁断の箱を開けてしまい、中からあらゆる悪と災いが飛び出してしまうというギリシャ神話のように、金委員長は祖父や父が「悪」として閉じ込めておいた「自由」や「人権」などの考えを解き放ったのではなかったのか。

その結果、金王朝の将来を危うくすることにもなりかねないが、ギリシャ神話ではパンドラの箱から不幸が飛び去った後に残るとされる「希望」がそれなのだろうか。

木村太郎

最終更新:6/7(木) 18:30
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