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保護された元繁殖犬 やさしい家族と先住犬に出会い、新しい一歩

6/9(土) 9:50配信

sippo

 純血種の犬を産み増やすための繁殖犬。劣悪な環境で、繁殖をさせられている犬たちもいる。ブリーダーのもとから保護され、繁殖場の外の世界を知ったバーニーズ・マウンテンを取材した。

【写真特集】やさしい家族に引き取られた元繁殖犬ジンくん

 その繁殖場は、兵庫県朝来市(あさごし)の車ではたどり着けない山の中にあった。繁殖犬の保護のため、保護団体Ley-Line(レイライン)の一行は、途中で車を降り、徒歩で向かった。

 そこにあったのは、暗く、汚く、陽の光が届かない倉庫のような建物。床はコンクリートで、柵で区切られた場所に、何頭もの犬たちが入れられていたという。

 繁殖場を仕切る高齢の男性と従業員だという女性に、犬たちを手放すように幾度となく説得を試みたが、引き出せたのは、繁殖をやめるという大型犬のバーニーズ・マウンテン3頭だけだった。

「現行の法律では、犬は財産にあたるため、解放を強要することはできないのです。小型犬も多くいましたが、断念せざるを得ませんでした」とLey-Lineの代表、金本さんは説明する。

染みついた悲しい記憶

 山の繁殖場で保護されたバーニーズのうちの1頭は、2017年12月に奈良県内のドッグランで開かれた譲渡会に出された。

 一時預かりボランティアから「ジン」と名付けられたバーニーズは、そこで河井さんと出会った。河井さんは連れていた先住のバーニーズ「マージくん」のお尻の匂いをかぎにジンくんが寄って来たのを見て、「この子なら大丈夫」と思ったという。

 実は河井さんは、犬を譲り受けるつもりではなく、同時開催されていたバザーに来ていたのだ。しかし、「あれこれ考えるより、まず行動」という河合さんに迷いはなかった。

 こうして、ジンくんは、河井家の家族の一員になった。推定4歳だったが、保護された当時、ガリガリにやせ細り、歯に歯石がこびりついていたという。それは、栄養状態の管理や歯のケアが行われていなかったことを意味する。

 しかし、それだけではなかった。ジンくんは、お父さんが立ち上がるだけで、固く身を縮こまらせて伏せるのだった。

「繁殖場では、犬を移動させる時に地面を引きずったり、怒鳴ったりして、言うことを聞かせるので、犬は『人間はわけもなく突然怒り出す』と思っていることが多いのです」と金本さんはいう。

ジンくんがいた繁殖場でも、おそらくそんなことが日常茶飯事のように繰り返されていたのだろう。

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最終更新:6/9(土) 9:50
sippo