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TOTOの『TOTO IV ~聖なる剣』が、その後のAORとメローハードロックの指針となった

6/10(日) 18:00配信

OKMusic

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はTOTOの傑作『TOTO IV ~聖なる剣』!  メンバーの死や闘病で一時は解散を余儀なくされたが、そのたびに甦ってきたTOTO。その全盛期と言えば、デビューした78年から82年にかけてであることは誰しもが認めるところだろう。中でも、4枚目の『TOTO IV(邦題:TOTO IV ~聖なる剣)』はビルボードチャートで全米4位を獲得しただけでなく、グラミー賞の「アルバム・オブ・ザ・イヤー」他、数々の受賞を果たした名作である。40歳以上の人なら、このアルバムに収録された「Rosanna」(全米2位。グラミー賞、レコード・オブ・ザ・イヤー受賞)や「Africa」(彼ら初の全米1位)といったシングル曲は、ファンならずとも必ず耳にしたことがあると思う。
※本稿は2014年に掲載

かつてのロック少年が成長し、ロック青年となった時に生まれたAOR

70年代中期からロックの世界ではリスナーの成熟に伴って、AORとパンクの2極化が進んでいた。若者たちは登場したばかりのパンクやハードロックを聴いていたが、既に社会人となったロック青年にとっては、大人が聴ける新しい音楽を求めていた頃である。レコード会社は大きな利益が見込める大人のリスナーに対して、新たなスタイルを提示するために模索していた。そんな時代の要請に応えたのが、ボズ・スキャッグスの『シルク・ディグリーズ』(’76)であり、デュアン・オールマンの再来と言われたレス・デューデックの1st『Les Dudek』(’76)や2nd『Say No More』(’77)、そして商業的には失敗したがフールズ・ゴールドの2nd『Mr. Lucky』(’77)などのアルバムであった。その特徴はと言えば、都会的なサウンド、巧みで落ち着いたヴォーカル、耳の肥えたリスナーを満足させるだけの演奏技術などが挙げられるだろう。いつしか、こういった特徴を持つ作品を“AOR”と呼ぶようになった。

これら多くの新時代のアルバムにおいて、バックミュージシャンとして参加していたのが、ドラマーのジェフ・ポーカロ(1992年逝去)、キーボードのデビッド・ペイチ、ベースのデビッド・ハンゲイトらTOTOの主要メンバーである。特に、ボズの『シルク・ディグリーズ』は時代の先端を行くサウンドで、多くの音楽ファンが注目したし、商業的にも大成功した。日本でもレコード(今はCD)を買う際に参加ミュージシャンをチェックする人が増えるなど、スタジオミュージシャンは大きな注目を集めることになった。日本でAORやフュージョンが流行したのも、彼らスタジオミュージシャンの優れた仕事にあったことは間違いない。

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最終更新:6/10(日) 18:00
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