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娘を失った悲しみから救ってくれた猫 「この命は守りたい」

6/10(日) 10:01配信

sippo

 家族は5年前、突然の事故で小学生の末娘を失った。悲しみの中、動物が好きだった娘を思い、保護猫を迎え入れることにした。譲渡会で出会った幼い猫に、娘の面影を見たという。そして、そんな猫たちが家族に明るさをもたらした。

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 東京都内の住宅。案内された洋間には仏壇が置かれていた。灯されたロウソクの向こうに、愛くるしい笑顔の写真が飾られている。

「うちの三女です。小学5年生で、旅立ってしまいました」

 母の竹中裕子さんが穏やかに話す。三女は5年前に思わぬ事故に遭い、そのまま帰らぬ人となった。

 そんな説明を聞いていると、2匹の猫がどこからかスーッと現われた。1匹は話に加わるように床に寝そべり、もう1匹は、仏壇の前の座布団に前足をちょこんとのせて横たわった。

「可愛いでしょ? 寝ている牛柄の猫が『サボ』、座布団にいるキジ柄の猫が『ワッポ』。私たち家族は、この子たちに心底助けられました。猫に不思議な縁を感じています」

 竹中家では、それまで動物を飼ったことがなかった。しかし、よく家に遊びに来る近所の猫がいたという。

「亡くなった三女がお隣の家の猫と気が合って可愛がっていて、猫が居間まで上がって、宿題をしているそばに座っていました」

 三女が急逝した日には、仲良しだった猫が、まっさきに“お見舞い”に来たそうだ。

「ミャーッと急に窓から入ってきて、娘をじっと見て、寝かせた布団の周りをぐるりと回って、そのまま出ていったんです。後から飼い主さんが、『すみません、猫より遅れまして』と弔問に来てくださり、部屋が温かなムードに包まれたものでした」

四十九日前に迎えた猫

 深い悲しみの中で、誰からともなく、「猫飼おうよ」「猫いたらいいよね」と言いだし、「飼うなら保護猫だね」と、四十九日の法要前に意見がまとまったという。

 サボとワッポは、保護団体「ミグノン」(東京都渋谷区)から迎えた。きっかけは竹中さんがよくチェックするインスタグラムだった。

「音楽的な関心から、坂本美雨さんのインスタをフォローしていて、飼い猫の“サバ美ちゃん”を三女とよく見ていたんです。そのインスタに、ミグノンが出ていたのを思い出して譲渡会に参加して……。そこでサボと目が合ったとたん、娘の姿とだぶり、『ああ、この子を引き取りたい』と思ったんです」

 サボは福島で被災した猫が生んだ3姉妹の1匹。最初はサボだけ迎えるつもりだったが、一緒にいたワッポも気にかかり、2匹とも迎えることにした。この2匹は“尾曲がり”で、そこにも家族は魅力を感じた。

「ボランティアさんに『シッポが曲がった猫は、幸せをひっかけて連れてくる』と教わり、それはいいなと、背中を押されたんですよ。幸せを運ぶなんて素敵だなと思って」

 その言葉通り、姉妹猫はその愛くるしさや面白さで、娘が亡くなって間もない家の雰囲気を明るくした。

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最終更新:6/10(日) 10:01
sippo