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求職者、知らないうちにブラックリスト入り 中国の一部業界

6/10(日) 10:15配信

東方新報

【東方新報】中国の一部の企業が、人材募集の「ブラックリスト」を作り、業界内で共有することで、求職者たちの就活が行き詰まるケースが出ている。

 ■静かにブラックリストを作る業界

 北京(Beijing)のある大学を卒業した李さん(仮名)は、たった1回の就活でブラックリストに入れられ、排除されるとは思ってもみなかっただろう。

「こんなにいい加減な応募者がいるとは!」

 最近、李さんと面接したある企業の人事担当者は、同じ広告業界の人事担当者500人が参加する微信(ウィーチャット、WeChat)グループに、李さんの履歴書とその問題点をアップした。「面接に遅刻するわ、態度がいい加減で、苦労をして給与条件に合意したのにその後は音沙汰なし…」

 これを見たグループの人事担当者たちは、ブラックリストに入れてはどうかと発言をした。いったんブラックリストに入れられてしまえば、李さんの求職データは今後、グループ内の広告企業からは弾かれてしまう。

 ■随時更新

 ある有名企業の人事担当者の王さん(仮名)にとっての日課は、ウィーチャットグループで求職者の履歴書をチェックすることだ。王さんの携帯には、約40業界のグループが登録され、絶えず求職者の情報が入ってくる。

「ここに入ってくる情報は、フィルターを通っているので価値がある。自分でインターネットを検索するより効率がよく、優秀な人材を容易に選ぶことができ、何よりも不良求職者のために時間を無駄にせずに済む」と王さんは言う。

「仮に面接で合格になったとしても、その後の調査で問題が発見されれば、随時ブラックリストに反映され、欠点のある求職者は調査から逃れられない」

 ■正当な権利の主張、「汚点」になる恐れ

 北京中銀法律事務所の楊保全(Yang Baoquan)弁護士は、「小売、旅行、IT業などの労働力の流動性が高い業界は、ブラックリストを使うことは珍しくない」と話す。これらの職業の人たちは他業界に行くことは多くはないためだ。

 楊弁護士は、「ブラックリストを設けることには一定の合理性があるが、設定基準や状況については、業界基準と統一性のある規範が必要だ」と話す。

「企業が雇い入れる際に、重大な規律・法律違反や、会社の利益に対してリスクのある人に対しては、会社の利益を守るために雇用しないことは許容される。だが、前職の会社と労働訴訟の履歴があった、もしくは、労働者が正当な権利行使をした場合は、『ブラックリスト』に入れるべきではない。もし業務と関連のない基準で求職者にレッテルを貼るのであれば、特定の人々が労働市場で競争に参加する機会を剥奪することであり、就業差別の疑いがあり、厳しく禁止されるべきものだ」

 楊弁護士は、「『ブラックリスト』を作る上での、不良記録を審査する方法がない。各企業や個人が提供する証明だけでは、データの公平さと公正さを保証することは難しい。ルールを作る過程で、業界団体が総合的に調整し、政府の監督の下で実施することが望ましい」と呼びかけている。

 労働組合などの関係機関が監督を行い、求職者を企業の「ブラックリスト」に入れる際の条件や基準などを規範化すべきであろう。(c)東方新報/AFPBB News

※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。

最終更新:6/10(日) 10:15
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