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世界最大規模のコンピューター見本市COMPUTEXから読み解く最新PCゲーミング事情

6/11(月) 12:00配信

Impress Watch

 6月5日~9日にかけて台湾で開催されたCOMPUTEX TAIPEI(以降、COMPUTEX)というコンピュータ見本市をご存知だろうか。

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 COMPUTEXとは、GAME Watch読者に向けてわかりやすくお伝えすると、世界最大規模のゲーム関連の展示会「E3」や9月にある「TOKYO GAME SHOW」(以降、TGS)のPC版ともいえるイベントで、その年に登場する製品・コンセプト品が多数展示されているPC・IT関連総合トレードショーだ。PC Watch/AKIBA PC Hotline!では連日台湾より最新の情報を届けした。

 近年では、「ファイナルファンタジーXV」(スクウェア・エニックス)のように、コンソール向けの大型タイトルがPCに登場するようになっており、ゲーマーから見ても、PCパーツベンダーから見てもゲームとPCは切っても切れない関係となっている。今回はCOMPUTEXのメイン会場である南港展覧館で見た各社様々な形で自社のブランド/製品をゲーマーにアピールするコンテンツを紹介していこう。

■イベント編:COMPUTEXでまさかのeスポーツトーナメント開催

 様々なゲーマーへのアプローチがあるCOMPUTEX会場の中でひときわ異色を放ち、話題を集めたのがeスポーツトーナメントだ。

 先にも説明したとおり、世界中のバイヤーが最新PCやパーツを視察・購入の交渉をするCOMPUTEXにおいて香港の完成品PC・ビデオカードベンダーであるZOTACは昨年より「ZOTAC CUP MASTERS」と名付けたeスポーツトーナメントを開催している。

 ゲームタイトルに「Counter-Strike: Global Offensive」(CS:GO)を採用し、COMPUTEXでの大会は8月に香港で開催される決勝リーグへ出場するためのアジア決勝という位置づけで行なわれている。日本(SCARZ Absolute)を含む各アジアエリアの代表が世界大会出場の切符をかけた戦いを繰り広げた。

 コンセプトは世界大会であるZOTAC CUP MASTERSによる賞金総額3,000万円を超えた世界で活躍する場の提供、2週~4週ごとに開催される各地域版のZOTAC CUPでゲーマーに腕試し・交流の場としても世界中で活用されていることをアピールしていた。

 本会場ではPCをGeForce GTX 1070 Tiを搭載する自社製品「MEK1 GAMING PC」で統一、eスポーツ大会においても安定した動作と高い性能をPRしていた。

■ディスプレイ編:両極端化する液晶ディスプレイ事情は双方完成度が極まる

 続いてゲーマーにとって欠かせない周辺機器としてここ数年各社がしのぎを削るディスプレイを見ていこう。

 近年ディスプレイは2種類存在しており、フルHDで高いリフレッシュレート/応答速度を追求した製品、そして21:9や4Kといった高解像度化を進め、没入感を優先する製品が主流だ。

 前者の製品としてMSIが展示していたのは「Optix MAG491C」だ。スペックは25インチフルHD(1,920×1,080ドット)、240Hz、応答速度は0.5ms、さらにNVIDIA Gsyncと、FPSやMOBA、格闘ゲームといった勝つために必要な情報を高速にかつ快適に届けられることに振り切った製品だ。

 後者の製品の代表格が、ASUSのコンシューマ向けを強く意識した31.5インチディスプレイ「CG32」だ。PS4 Proでの使用を強く意識した製品で4K解像度、60Hz、HDRに対応している。スペック自体は最新のトレンドではあるが目新しくない。しかし本製品はディスプレイスタンドにちょうどコントローラーが2つ置ける作りとなっており、USB 3.0ポートを2ポート装備しているため、コントローラーの充電を容易に行なえるのが特徴だ。

 リモコンもついているのでPCと併用する場合などわざわざディスプレイに手を伸ばさなくても切り替えるのは便利。ゲームプレイ時には環境映像などから判断し、ディスプレイ側面から背面にかけて搭載されたLEDが発光し、ムードを盛り上げられるのも特徴とのことだった。

 なお、ディスプレイの背後にLEDが搭載されたモデルはASUS以外にMSIにも存在し、今後のトレンドの可能性を見せている。

 ワイドディスプレイでも新しい動きが見られた。約2年前に21:9ディスプレイ(主な解像度は2,560×1,080ドット)が各社から登場したが、よりゲーマーに特化したディスプレイをASUSならびにMSIが参考展示していた。すでに先行して発表されているサムスンの「C49HG90」と同一パネルを使っているものと思われるが、3,840×1080ドットというフルHD(1,920×1,080ドット)2枚分の49インチディスプレイだ。

 ASUSは「VG49V」、MSIは「Optix MAG491C」と名付けておりいずれも3,840x1,080ドット/144HzそしてAMDのFreeSyncに対応している。MSIのブースではさらに応答速度4ms、HDR400対応を謳っていた。

 これらの製品の最大の特徴はフルHD2枚分ということだろう。21:9対応の従来の製品は特殊な解像度ということがあり、ゲームの対応がまちまちであった。また、ゲームにおけるマルチディスプレイは2画面だと表示範囲は広がるがちょうどプレーヤーの視点の中央の位置にディスプレイのフレームが存在し、没入感が損なわれていた。3画面であればフレームが中央に来ないため、没入感は確保されるものの、ゲームを快適に遊ぶためのパソコンの性能が必要であり、ユーザーはさらなるパソコンにディスプレイにと高い投資が必要であった。

 本製品はデュアルディスプレイを1枚のディスプレイで再現しているため性能は据え置きでありながた高い没入感が得られるだろう。また、ゲームの対応状況についての説明はなかったものの、21:9のディスプレイと比べても特殊な解像度ではないため、対応するゲームが多数存在することが期待できるのも魅力のひとつだ。

 似た製品としてCOLORFULが液晶ディスプレイ一体型の完成品PCとして同一解像度の製品「S49」を展示。製品スペックでは「R1800」との記載があるが、実際には湾曲を確認できなかった。記載されているスペックはCPUはCore i7-7700、メモリ16GB、GPUはGeForce GTX 1060となり、ある程度のゲームも快適に動く仕様に仕上がっている。ただし、フルHD2枚分の解像度となる3,840×1,080ドットは4Kにこそ劣るものの、この解像度をGeForce GTX 1060でプレイするにはゲーム側の設定を調整する必要があると思われ、実際製品を触れるタイミングになった際にはゲームの動作周りを確認してみたいところだ。

■ゲーミングギア編:発光の完成度が大きく高まる

 ゲーミングギアは台湾を中心としたパーツメーカーが展開する製品群が中心に見られた。これもディスプレイに続き、ASUSやMSIが完成度を高め、徹底的にイルミネーションにこだわり所有欲を煽る訴求を行なっていた。

 両社は従来までは自社製マザーボード、ビデオカード、そして互換性のあるケースでイルミネーションが連動していたが、今後はさらに幅を広げてマウス、キーボード、ヘッドセットといったゲーミングギアまで連動を目指すという。

■PC・パーツ編:完成品PCをはじめ、マザーボード、ビデオカードといった基幹パーツはおとなしめの展開

 各社とも完成品に至ってはCPUならびにGPUの更新が今回のCOMPUTEXではなかったため、製品展開は各社積極的な展示は少なかった。

 新製品の展示は少ないものの既存製品の展示は昨年から動きがあり、AMD Ryzenの登場でPC業界の勢力図は大きく変わっている。

 Ryzen登場直後は注目のCPUだけど結局はIntel CPUが勝つからIntel製品を見てくれといったメーカーも多かったのだが、今年は両方に注力しているからどちらも見てくれといった感じだった。

 Intelは今年の発表会では会社創立50周年を記念した「Core i7-8086K」を発表。また発売にあわせて世界で8086個限定(日本では500個)のプレゼントキャンペーンが行なわれるという。8086とはIntelが40年前に発売した8086プロセッサ(周波数は5~10MHz)だ。既存の製品の上位グレードという位置づけでこれに関連する新製品のマザーボード発表などはなかった。

 対するAMDは次世代EPYCならびにRyzen Threadripperを発表。直接は関係ないものの、既存の第2世代Ryzenに対応すると思われるB450マザーボードを各社展示していた。
INTEL CPUならびにAMD CPUの詳しい解説についてはPC Watch記事を参照いただきたい(参考記事その1、その2。

 目新しい情報では、冒頭にも登場したビデオカードベンダーであるZOTACは次世代と銘打った発光機能SPECTRAを展示。技術としてはAddressable RGBと呼ばれている技術で先行してPCケースファンなどに採用されているので見たことがある読者もいるだろう。従来のLEDはRGBで様々な色を表示できる反面、表示面ごとの色は赤色から緑色、緑色から青色といった形で固定であった。

 これがLEDを1つ1つ制御することで同時に様々な色を発光制御することができ、オーディオにあわせたインジゲーターのような表示やカラフルな表示が行なえる。今回ZOTACが先行して発表したが、次世代のビデオカードや製品が出るタイミングでは各社が展開してきそうな機能と思われる。

 完成品デスクトップPCは各社小型化を注力しており、MSIは「Trident A」を展示、CPUはCore i-8700、GPUにはGeForce GTX 1080 Tiと最上位クラスのアイテムを搭載。電源は従来のTridentシリーズと異なり内蔵することで移動時の利便性を向上させた。ZOTACはMEKシリーズのラインナップを強化、MEK MINIとMEK ULTRAを展示し、特にMEK MINIはTrident Aにスペックは劣るものの、一回り以上の小型化を果たしている。ホワイトボックスメーカーを含め、各社が小型かつ高性能なPCに注力しておりユーザーとしては今後も目が離せない分野のひとつだ。

■その他PCパーツ・周辺機器関連編:PC・ゲームを楽しむアイテムが多数登場

 ASUSはブランド力強化を徹底的に進めており、PCに関係するほぼすべてといえるほどの製品群を展示。先に述べたゲーミングギアもあるが、PCケースや電源、簡易水冷クーラー、ゲーミングアパレルグッズなどをあわせて展示。

 これで現行製品以外も含めるとCPUとメモリ以外のすべての製品がこれで揃うこととなり、ASUSファンにとっては自信の好みでほぼすべてのASUSパーツを使ってオリジナルASUS PCを組み上げ、ASUSのゲーミングギアで遊べるようになるファンにとってはたまらない環境が実現する。

 MSIはAndroidアプリをPCで楽しめるというBlueStacksの有償版同等品をMSI向けにカスタマイズしたアプリ「MSI APP PLAYER」を展示。2018年末に展開予定でMSI製品に対して無償ダウンロード提供ができるよう調整しているという。

 有償アプリをただ提供するのではなくMSIノートPCでは対応製品しだいとなるが、ゲームで利用するためのキーのみを発光させる機能などいくつかのMSIならではの仕様で登場予定とのことだ。

 PCケースや電源、ゲーミングデバイスを展開するCooler Masterは「Gaming Pad」を展示。ゲーミングチェア・デスク・モニターアームともいうべき本製品は過去ドスパラが販売していた「エンペラー1510」という製品と同系統にあたる。スタッフによると製品化は予定していないものの「CES 2018」で展示したところ思った以上の反応が返ってきたため、COMPUTEXでも展示が決定したらしい。

 本製品は継続して改良が予定されており、今年の「TGS 2018」でもCooler Masterとしてブース出展が決定し、本製品を展示するとのことだ。改良が間に合うかどうかは不明とのことだが、展示は決定しているとのことなのでしばらく先の話になるが気になる読者はTGSの際にはぜひ見に行って欲しい。

 Lian LiはPC用の内部電源ケーブル向けに光る延長ケーブル「Strimer 」を展示。電源ケーブル自体が発光しているわけではなく、LEDケーブルを1番前面に設置した製品だ。PCケース内において電源ケーブルが露出される箇所は多く、光らせたいマニアにはたまらない一品だろう。

 以上、「COMPUTEX」でみたゲーミングに関する事情をご紹介した。従来はただ光るだけで下品さもあったLEDだが、現在は洗練され見た目として綺麗であると言えることも多くなってきており、今後もこのLED化、表現の進化が進むものと思われる。

 周辺機器は登場が待ち遠しい製品もあるが、ことPCに至っては今回直近で登場する大きな最新製品の発表もなかったのでこの夏ゲームを遊びたい読者は安心して買えると言えるだろう。このあとE3の情報を続々とお届けする予定なのでどのゲームをどのデバイスで遊ぶかを考えながら製品・ゲームの登場を楽しみにこの夏に向けて過ごしていただきたい

GAME Watch,GAME Watch編集部

最終更新:6/14(木) 16:22
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