ここから本文です

「もうPTAやめたい」一人の母親の声がヒントに “目的と意味”から考える改革

6/11(月) 10:57配信

西日本新聞

 「もうPTAをやめたい」。福岡県内にある小学校のPTA副会長だった紀子さん(44)=仮名=のもとに昨年2月、学校を通じて一人の母親の声が届いた。「自分の学校でPTAの非加入問題が起きるなんて」。4月から新会長になることが決まっていた紀子さんは、突然の出来事に戸惑いながらも、母親に直接会って話をしたいと申し出た。

⇒【画像】熊本市のある小学校で配られた文書 PTA非加入世帯への「ペナルティー」が記載されていた

 1対1での話し合いは4時間に及んだ。最初は紀子さんが何を言っても「とにかくやめたい」の一点張りだったが、やがて母親は「役員決め」での苦い記憶を語り始めた。

 フルタイム勤務の夫婦共働き。仕事が忙しく、家庭の事情もあって「今年の役員はできない」と訴えると、別の母親から厳しい声が投げかけられたという。「みんな仕事はしている。そんな事を言ったら、ここにはもう住めませんよ」

「なぜ、そこまで言われなければいけないの」

 「なぜ、そこまで言われなければいけないの」。泣きながら訴える母親に、紀子さんは間違った対応だったと謝罪。「本来のPTAの姿を見てほしい」と、PTA会費の使い道や活動について丁寧に説明した。すると、母親はこう言った。

 「私はお金を払うことが嫌なんじゃない。PTAの活動自体には賛同しています。でも…」

どれも耳が痛い話で一理

 母親は、当時のPTAに関する疑問や不満を話し始めた。

 「PTA新聞はただの学校活動報告になっている」「PTA開催の講演会に、なぜ動員をかけるのか。本当に必要な講演会なら、動員はいらない」「登校時の保護者の旗振り(見守り)は、なぜ月2回だけの決まった日なのか」

 どれも耳が痛い話で一理あった。「おかしいと思うことをもっと聞かせて」。紀子さんは懸命にメモを取った。「言われたことは必ず変えます。だから1年間、会員のまま、PTA活動を見守ってもらえますか」。母親は渋りながらもうなずいた。

「会長になれば変えられるかも」

 紀子さん自身も、希望してPTA役員になったわけではなかった。

 友人の推薦で最初は書記に。4年間本部役員を務め、5年目に会長に就任。行事の度の飲み会や膨大な業務に何度もやめたいと思ったが、「会長になれば変えられるかも」という思いもあった。

 目指したのは「業務のスリム化」。とにかく仕事を減らそうとの思いだったが、母親の話を聞いて、考え方が少し変わった。

1/2ページ

最終更新:6/11(月) 15:14
西日本新聞