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『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』、『ポケモンGO』、そして2019年の最新作。石原社長に訊く、ポケモンの成長戦略

6/12(火) 22:02配信

ファミ通.com

 2018年5月30日に行われたポケモン新作発表会で、ニンテンドースイッチ向けのタイトルが2本同時に発表された。『ポケモン』ゲームの本格的なプラットフォーム移行が鮮明になったわけだが、そこにはどんな意図と戦略があるのか。今回、ポケモンの代表取締役社長であり、ポケモンブランドの全体を統括している石原恒和氏に話を聞いた。『ポケットモンスター』シリーズの展開を始め、ポケモンコンテンツの未来について語られたファン必読の内容だ!

※本記事は、2018年6月7日発売号の週刊ファミ通に掲載している内容です。
※本記事内では、動画をキャプチャーした画像を使用している場合があります。


ニンテンドースイッチのマーケット環境について

――『ポケモン』のゲームがニンテンドースイッチで本格的に展開されることには大きなインパクトがありますが、ニンテンドースイッチというプラットフォームの現状について、石原社長の見立てを教えていただけますか。


石原 1年前「ニンテンドースイッチは売れないのではないか?」と考えていた人間の言葉に説得力があるのかわかりませんが(笑)、ニンテンドースイッチという、ハンドヘルド(携帯機)とホームコンソール(据え置き機)の統合機は、得体の知れないものとして、当時どんな売れかたをするかよくわからなかったというのが正直なところです。売れ筋が見えなかった。ところが、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の圧倒的なおもしろさによっていい流れができて。あれが大きかったように思います。


――ローンチタイトルとしては、傑出したおもしろさでしたよね。いいゲームがプラットフォームの立ち上げを後押ししたと。


石原 そうですね。その後も『マリオカート8デラックス』や『スーパーマリオ オデッセイ』などがいいタイミングで発売されていて、ハードの普及が進んでいます。『Nintendo Labo』のような、ふだんゲームを遊ばない層までを巻き込む遊びも出てきましたし、プラットフォームとしては理想的な環境になりつつありますね。これは我々が新たなゲームを投入するうえでは絶好の機会で、ここでまた新しい体験を提供し、より多くのファンを獲得していこうと考えています。


――これまでの『ポケモン』のゲームも、ハードがある程度普及したタイミングで、それをさらに加速させるように新作を投入されることが多かった印象があります。いままさに、機が熟したということでしょうか。


石原 その通りです。ただ、このタイミングで『ポケモン』の新作を投入できるのは、ニンテンドースイッチの立ち上げ期から、すでに開発を始めていたからなのです。それこそ、私が「このハードは売れないのでは?」と考えていたころから、我々のゲームがプラットフォームをけん引するぞ、という気概を持っていました。その意味では、今回の2作品はニンテンドースイッチというハードに対して、我々が出せるひとつの答えでもあるのです。


――長年、携帯ゲーム機向けに展開してきた『ポケットモンスター』シリーズがニンテンドースイッチではどうなるのか、興味深いところです。遊びかたは変わるのでしょうか。


石原 おっしゃる通り、『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』(以下、『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』)は『ポケットモンスター』シリーズとしては初の据え置き機でのタイトルとなります。ニンテンドースイッチというハードは携帯ゲーム機的な側面もあるのですが、これまでとは異なる発想で開発に取り組む必要がありました。そこは、増田さん(増田順一氏)を始め、ゲームフリークの中でも試行錯誤があって。『ポケットモンスター』シリーズをニンテンドースイッチで展開するうえで挑戦すべき課題とは何なのか?そしてグラフィックやサウンドなどの面でゲーム体験をリッチにすることのほか、今回我々が挑戦したのが、スマートフォン向けゲームアプリ『ポケモンGO』との連携だったのです。


――驚きの発想ですが、それによって『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』の遊びの幅が大きく広がった、というわけですね。


石原 結果として今回ゲームフリークがもっとも苦労した要素となったのですが、ニンテンドースイッチとスマートフォンをつなげるということで、任天堂やNiantic,Incにもいろいろと技術的な挑戦をお願いし、無茶な要望もたくさん聞いていただきました。



『ポケモンGO』プレイヤーがつぎにプレイするタイトルへ

――非常に革新的で、発売後の動向が楽しみなタイトルです。ちなみに、どんなターゲット層を想定されているのでしょうか。


石原 もちろんすべてのゲームファンに遊んでいただきたいのですが、とくに考えているのは、『ポケモンGO』で初めて『ポケモン』ゲームに触れた方が、つぎに遊ぶ『ポケットモンスター』シリーズのタイトルになってほしい、ということです。


――なるほど。家庭用ゲームへの入り口というわけですね。それでポケモンの捕まえかたなどが、『ポケモンGO』プレイヤーに親しみやすい作りになっていると。


石原 そうですね。『ポケモンGO』では、ゲームの設計部分に増田さんが深く関わっていることもあって、「『ポケットモンスター』シリーズに『ポケモンGO』の遊びかたを取り入れたらどうなるの?」と考えました。ポケモンをゲットするときにバトルをして弱らせるわけではなく、収縮するリングに合わせ、直接モンスターボールを投げて捕まえる。それが『ポケモンGO』を遊んできた人にとって、もっとも自然なポケモンの捕まえかたですよね。しかし、当初は、「それはもう『ポケットモンスター』シリーズではない」と、各所から違和感が噴出していたようです(笑)。でも実際に、シンボルエンカウントでポケモンに出会い、モンスターボールを投げ、“Excellent!!!”という文字が出る様子を見ながら遊んでいると、「これはこれでアリだよね」となって。その後も、ポケモンを捕まえる難易度のバランスについての議論があったりしましたが、最終的には『ポケモンGO』のようなシステムを採用することに決まりました。



――『ポケットモンスター』シリーズとしては、劇的な変化を遂げているわけですが、挑戦的なタイトルをこの時期に作られることにはどのような意図があるのでしょうか。


石原 『ポケモンGO』によって、これまで『ポケモン』を遊んだことがない人々にまで、ポケモンの認知が広がりました。いまはそういった人々が世界中で、親と子、あるいは孫と子で『ポケモンGO』をプレイしてくれています。そのような人々にとっての『ポケモン』は、まだ入門的な段階にあると思っており、それをもう1段階踏み込んだステージに押し進めたいのです。ですが、いきなり『ポケモンGO』とはゲーム性が異なる『ポケットモンスター』シリーズで遊んでいただくことは、プレイヤーによってはハードルが高く感じられることもあるかもしれません。前述の話と重複しますが、まずは『ポケモンGO』の操作感に近い部分がある『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』に触れていただいて、さらにその先にある、本作とは別にニンテンドースイッチ向けに開発中の新作をプレイしていただきたいなと。我々としては、そうした想いがあります。


――そのための大胆な変革であると。


石原 そうですね。結果的には、いままでの『ポケットモンスター』シリーズとはまた違った感触のゲームになっています。


ポケモンたちをより身近に、据え置き機だから実現できる体験

――やや話が前後するのですが、コンソールの入り口となるゲームのベースとして、かつて発売された『ポケモン ピカチュウ』を選ばれたことにはどういう理由があるのでしょう。


石原 『ポケモンGO』には相棒のポケモンを連れ歩ける仕様がありますが、もとをたどれば『ポケモン ピカチュウ』に行き着きます。『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』では、さらにその要素を強化させたいと考えました。ピカチュウはテレビアニメでサトシといつもいっしょにいますし、イーブイも人気があり、そして多様な進化の可能性を持ち、その進化形の姿とともに、とても人気の高いポケモンでもあります。また、先ほども言ったように『ポケモンGO』を遊んだ人がそのつぎに遊んでほしいゲームということで、『ポケモンGO』ファンにもなじみの深い『ポケモン 赤・緑・青・ピカチュウ』のポケモンたちがたくさん出てきたほうがいいだろうと。そのあたりを踏まえると、『ポケモン ピカチュウ』がちょうどいいと判断しました。


――ちなみに、いま振り返って、本作のベースとなる『ポケモン ピカチュウ』とはどういうタイトルだったと考えていますか。


石原 1996年当時は、『ポケモン 赤・緑』をなんとか世に送り出し、『ポケモン 金・銀』の開発に着手していたのですが、これは並大抵の開発ではないと感じていました。そんな中で、ゲームフリークが取り組んでいたのが『ポケモン ピカチュウ』でした。あのころはテレビアニメが始まっていて、とにかくあらゆる人たちがテレビの前でサトシとピカチュウの冒険を見ていたのです。そうした人たちに向けてゲームを作るとすれば、ピカチュウにフォーカスしたものもあったほうがいいだろうと。ご存じの通り、テレビアニメのサトシと同じようにプレイヤーがピカチュウを連れ歩けるようになっており、『ポケモン』がアニメと融合した最初のタイトルでした。



――それから約20年となります。当然のこととは思いますが、今回の『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』は、『ポケモン ピカチュウ』をベースとしつつも、まったく異なるゲームとなるのでしょうか。


石原 ポケモンを捕まえるプロセスやゲームを進めるテンポが大きく変わっています。また、Joy-Conを片手に持って遊べるようになっており、Joy-Conを振るとモンスターボールを投げられるなど、操作感も違うものになりました。本体にもう1個あるJoy-Conを使ってふたりプレイができるようになっているのも、既存タイトルにはなかった試みです。


――本作におけるふたりプレイは、どんな遊びをイメージすればよいのでしょう?


石原 ふたり目がJoy-Conを使うと、ゲーム内にもうひとりのプレイヤーが出てきて、バトルやポケモンを捕まえる際の助けになります。うまく協力すれば『ポケットモンスター』シリーズに慣れていないプレイヤーでもメインストーリーをスムーズに進めやすくなるはず。また、これによって大きな目的である図鑑完成にもつながりやすくなっており、ポケモンを全種類集めるといったやり込み要素を、より楽しんでもらえるのではないかと。



――『ポケモンGO』との連携によって、ゲーム内のポケモン集めも変わりそうですね。


石原 そうですね。『ポケモンGO』では、何百、何千匹という数のポケモンを捕まえているプレイヤーが多いと思いますが、それらをどのくらい『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』に連れてこられるようにするのか、そもそもどうやって連れてくるかなど、考えるべき課題は山積みでしたが、皆さんにポケモン集めを楽しんでいただけるように工夫しています。そのほか、据え置き機向けということで、グラフィックも大画面に映し出せるものになっていますし、『ポケモン ピカチュウ』とはほとんど別のゲームと言えるでしょう。


――ゲーム体験としてはまったく別のものということですね。映像表現の面でもチャレンジすべき点が多かったのでは?


石原 ピカチュウとイーブイをタイトル名として挙げたこともあって、この2匹と“いっしょにいる感じ”を出すことにこだわり、生き物っぽさを可能な限り表現することに挑戦しています。たとえば、肩に乗ってくる仕草や、なでるとすり寄ってくるというような動きなど、本当にいっしょにいることを感じられるようなポケモンの存在感といいますか。この点は、大きなモニターに映像を映し出せる据え置き機の強みだと思いますし。もちろん、生き物っぽさといっても、『ポケモン バトルレボリューション』のような、ポケモンの迫力が伝わるリアリティではなく、テレビアニメに近い方向性ではありますが。これまでも『ピカチュウげんきでちゅう』や『名探偵ピカチュウ』など、ポケモンとの触れ合いに着目したゲームはありましたが、その中でも決定版と言える愛らしいピカチュウ、そしてイーブイであることが伝わってくるように、動きや声、かわいらしさの追及にこだわっています。


新たな挑戦の中にも伝統の味老舗が生み出す揺るぎなき魅力

――杞憂かもしれませんが、劇的にゲームデザインが変わることで、これまでの『ポケットモンスター』シリーズの魅力が損なわれてしまうことはないのでしょうか。


石原 プレイされる方の中には、「変わった」と感じる人もいるかもしれません。しかし、これまでも『ポケットモンスター』シリーズでは、大なり小なりゲームデザインを変えてきましたが、最終的にはユーザーの皆様にその変化を受け入れていただいてきたと思っています。今回もそうした意味での変化を感じることはあると思いますが、そこはゲームフリークという老舗が作る『ポケットモンスター』シリーズですから。根本的なところを踏み外すわけがないと、信じていてください。


――あくまでも『ポケットモンスター』シリーズの根幹を成すようなゲームの魅力は、そのまま受け継がれていると。


石原 はい。加えて『ポケモンGO』とのつながりなど、新しい広がりを持たせています。


――その『ポケモンGO』との連携なのですが、改めて実装が見えてくるまでの経緯を教えていただけますか。


石原 各デバイス間の通信や既存サービスとのつながりをどうするのか、解決すべき課題はたくさんありました。ニンテンドースイッチとスマートフォンはもちろん、『ポケモンGO』というアプリをどうつなげるのか。これらはそもそも、当初の設計段階では、たがいに通信ができるように作られていません。各所に提案しても当然「できません」と言われるのですが、「そこをなんとか!」とお願いするしかなくて(笑)。


――確かに、Niantic,Inc.としても想定外の提案だったかもしれませんね(笑)。


石原 ただ、今回の施策は、『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』と『ポケモンGO』の両方に大きなメリットのある話ですし、なんとか実現したかった。そういった部分での開発会社とのコミュニケーション、そしてハードウェアの技術的な問題をひとつずつ解消していくのは想像通り簡単ではありませんでした。つながるものが増えると、クロスチェックをしなければならない要素も増えていきますしね。しかもそこに、“モンスターボール Plus”という要素が加わってきまして(笑)。


――さらに想像を絶する課題が発生しそうですが(笑)、ユーザーとしては遊びの広がりに期待せざるをえません。“モンスターボール Plus”とは、どんなデバイスなのでしょう?


石原 ひと言で言うなら、“究極のモンスターボール”ですね。私が「“Pok?mon GO Plus”の進化形を作りたい」と言ったのがきっかけなのですが、任天堂のチームから「どうせ作るなら、これまでにない“究極のモンスターボール”を作りたい」という声が上がったのです。これまでもモンスターボールをもとに、いろいろなグッズが作られてきましたが、「本物のモンスターボールはこういうものだったのだ」とみんなが納得できるデバイスにしたいと。それを受けて、表面の手触りの感触やボタンを押し込んだときの感覚、振動とともにポケモンの鳴き声がする仕様、連れ歩いているとポケモンが反応してくれる要素など、あらゆる面でかつてないこだわりをもったモンスターボールの開発が始まりました。その中で、『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』を遊ぶときに、Joy-Conと同じように使えたほうがいいという話も出てきて。最終的には、中にポケモンを入れて持ち歩くことができるモンスターボールでありながらニンテンドースイッチのコントローラでもあり、さらにそれをスマートフォンとつなぐと“Pok?mon GO Plus”にもなるという具合に、機能がてんこ盛りのデバイスに。


――まさに“究極のモンスターボール”と言える、とんでもないデバイスですね……。


石原 このデバイスについて根本にあったのは、「『ポケモンGO』で捕まえたポケモンと、『ポケットモンスター』シリーズで捕まえたポケモンはどう違うのだろうか?」という問いだったのです。これまでは、プラットフォームごとの『ポケモン』ゲームで捕まえたポケモンは別のもの、と多くの人が思ってきたわけですが、果たして今後もそれでいいのか。タイトルに関係なく、捕まえたポケモンをみんな『ポケモンバンク』のようにクラウドに預けられて、好きに連れて来られるようになるとどうなるのか、と。“ポケモンの未来”とはそういうことではないかと思ったことが、“モンスターボール Plus”の開発に着手するきっかけでした。当初は、既存の機能を少し拡大しつつ、手のひらの中に持つ触覚技術がもっと反映されたデバイスを作りたいと考えていました。しかし、そのとき僕が考えていたものよりも、任天堂さんが提案してくれた“究極のモンスターボール”というコンセプトと、“Joy-Conにもなる”という部分がすばらしいと感じ、いまの形になりました。もしかすると、“Pok?mon GO Plus”をすでにお持ちの人には、機能が重複するものかもしれませんが、新たな体験を生み出すデバイスとして楽しんでいただければと思います。



懐かしの“カントー地方”でまったく新しいゲーム体験を

――ニンテンドースイッチとスマートフォンの連動を本格的にゲームとして取り入れるのは初めての試みだと思います。これは今後展開されるほかのIP(知的財産)の作品においても重要な取り組みだと思いますが、そうした可能性の広がりについてはどうお考えですか?


石原 ニンテンドースイッチとスマートフォンの連動は、現段階では『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』だけの特殊事例だと考えています。確かに技術的にはつなげられるようになりましたが、これが今後のスタンダードになるとは思っていません。


――別々のゲームの中にいても、それが等しく“ポケモン”であるとユーザーが認識できる『ポケモン』ならではということですね。


石原 そうですね。しかし『ポケモンGO』のように集めることがメインのゲームと、育成して戦わせるゲームでは目的が違いますので、ゲームバランスも大きく変わります。そこを踏まえ、どのレベルで互換性を担保するかというのは、ゲームフリークの課題としてかなり大きなものでした。これまでは、そこを閉ざすことによって『ポケットモンスター』シリーズはバランスを保ってきたのです。そこに風穴を開けたわけですので、彼らにとっては新しいトライアルになったと思います。


――11月16日の発売ということで、開発のまっ盛りだと思いますが、本作について、現時点で石原さんはどんな感触をお持ちなのでしょう。


石原 カントー地方で、再びポケモンたちに会って旅をしている感じですね。懐かしい想いもありますが、遊びかたとしては『ポケモンGO』のシステムが染み込んでいる部分があったり、登場人物たちの表情やフィールドの作り込みなど、表現されている世界がリッチになっていて新しさもある。懐かしさと新鮮さがうまく共存した感じですね。


――ひとつ気になっているのですが、まったく新しいポケモンは出るのでしょうか……?


石原 出そうと思っています。舞台もカントー地方ということで、見かたによっては『ポケモン ピカチュウ』のリメイクというとらえかたをされる方もいらっしゃるのかなと考えており……。なので、ゲームのプレイスタイルや表現の面だけではなく、初めて見るポケモンといった、新たな要素を加えるつもりです。


――さて、2018年5月30日の発表会では、ほかにも『ポケモンクエスト』の発表がありました。とにかく四角いビジュアルが目を惹く作品だと思うのですが、石原さんが最初にご覧になった際の印象としてはいかがでしたか?


石原 ゲームフリークは、『ポケモン』ゲームとしては『ポケットモンスター』シリーズのみを作るという話だったのに、ついに派生タイトルを作ったのかと(笑)。


――(笑)。


石原 実際にでき上がったゲームを触ってみると、おもしろかったんですよ。『ポケモン 赤・緑・青・ピカチュウ』を開発していた彼らが、その中に出現するポケモンをデザインした際に込めた想いを、すべて真四角にしてしまったわけではありますが(笑)。ですが、ポクセルのピカチュウのデザインには妙な説得力があって、「これもピカチュウなのかもしれない」というふうに思わせてくれます。



――『ポケモンクエスト』のポケモンの中で、とくにデザインが気に入っているポケモンはどれでしょう?


石原 ピカチュウ以外だとギャラドスですね。ただ、どのポケモンも特徴的で、最初の3匹(フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ)は上から見ていると色でしか区別が付かなかったりするのですが、技を出して動くとちゃんと認識できますし、大胆なデフォルメしても許されるのは、皆さんにもなじみ深い最初の『ポケモン 赤・緑』のポケモンだからこそですね。ネクロズマやアクジキングを同じようにデフォルメしようとすると、なかなか難しいかもしれない。このスーパーデフォルメ感は純粋に見ていて楽しいですし、これまでとはまったく異なる育成方法も楽しんでいただけると思います。『ポケモンGO』を遊んだ方も、『ポケモンクエスト』に登場する『ポケモン 赤・緑』のポケモンに関してはよく知っていると思うので、遊びやすいのではないでしょうか。



――確かに『ポケモンGO』のプレイヤーにとっては遊びやすそうです。スマートフォンという同じプラットフォームでもプレイできるのも、大きいですね。


石原 スマホゲームアプリとしてどのくらい遊んでもらえるかも楽しみですし、ニンテンドースイッチ版を遊ばれる方には、従来のコンソールにはあまりなかった感触のゲームを楽しんでもらえるのかなと。そういった部分が広く受け入れられるとおもしろいですね。


――E32017では、ビデオメッセージで「2018年以降に『ポケットモンスター』シリーズ最新作をニンテンドースイッチで作ります」と発表されていました。これに関して、現段階で、お話しいただけることはありますか。


石原 誤解のないようにご説明しておくと、2019年後半発売に向けて開発している新作は『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』とは別軸のタイトル。現在、ゲームフリークの開発チームは、『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』とは別ラインで、開発に取り組んでいます。先ほど、『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』は『ポケモンGO』から『ポケモン』ゲームを始めた人にとくに遊んでほしいとお話ししましたが、2019年後半に発売予定の新作は、入門的な位置づけの内容ではなく、従来の『ポケットモンスター』シリーズをたっぷり遊んでいただいたようなファンの方々にこそ、大いに期待いただきたいタイトルとなります。


――ゲーム内容について、何かヒントをいただけますか。


石原 『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』と同じくニンテンドースイッチでの発売となりますが、大きな違いは、ニンテンドースイッチ向けではありながらも、従来作のようにハンズオンを意識した作りになっていることでしょうか。その意味では、ホームコンソールとしての答えを出してみた『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』とは遊びかたの面で違うアプローチを考えています。もちろん、ニンテンドースイッチはホームコンソールでもありますので、映像クオリティなどは磨き上げます。しかし、遊びの形としては、これまで『ポケットモンスター』シリーズが培ってきたハンズオンの遊びをニンテンドースイッチでもお届けできればなと。


――同じニンテンドースイッチ向けの『ポケットモンスター』シリーズでも、コンセプトにはかなり違いがあるのですね。


石原 くり返しになりますが、『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』においては、自分たちの過去のものづくりを大きく変革し、よりたくさんの人に遊んでもらえるものを目指しています。できれば、今年に限らず来年再来年と、つねに『ポケットモンスター』シリーズの“入門編”として長く売れ続けてほしいなと。一方の2019年後半発売に向けて開発中の新作は、ゲームフリークがいままで伝統を継いできた『ポケットモンスター』シリーズが進化した形とはこんなゲームなのだ、ということが伝わりやすい作品になるでしょう。多くのポケモンファンに「これを待っていた」と言ってもらえるような遊びの要素をしっかりと入れ、新しいポケモンにもたくさん出会えるような、いわゆる“完全新作”を提供したいと思っています。


今後のブランド展開はどうなる? 石原氏が語るポケモンの今後

――せっかくの機会なので、お聞きしたい事柄をトピックスでお聞きしていきたいと思います。『ポケモンGO』はこの夏、2周年を迎えるということもあって、サマーツアーなどの大きなイベントがありますよね。『ポケモンGO』の現状についてはどのようにお考えですか。


石原 昨年シカゴでイベントを開催した際には大規模な通信障害が発生してしまい、とても成功とは言い難い結果に終わってしまいました。そんなことがあって、Niantic,Inc.はもう2度とシカゴでイベントはやりたくない、と言うのかと思いきや、「今年はもっとすごいことをやりたい」と(笑)。彼らとしては、昨年の雪辱を果たしたいという想いがあるので、とても気合が入っています。もともとGoogleマップを開発していたチームなので、コンテンツをどんどんアップデートすることに長けているのですが、『ポケモンGO』に関しても2年前のサービス開始時とは比較にならないほど進化しました。要素によっては、ほとんど跡形もなくなるくらい変わっていますよね。彼らのモノづくりというのは、そういうことなのです。より良質なサービスとおもしろさ、便利さを実現するために、コンテンツをどんどんアップデートしていく。そのマインドをとても信頼しています。いまでこそ『ポケモンGO』を見て「今日は雨が降っているな」などとわかりますが、最初はそのような機能はなかったわけですから。そう考えると、ずいぶん進化しました。


――レイドバトルや、コミュニティ・デイなど、集まって遊べる要素も増えていきましたよね。


石原 最初は手探りだったのですが、かなり開発に慣れてきたなと。開発チームの規模自体も拡大し、質・量ともにいいものをユーザーに提供できるようになっています。ただ、あらゆることが大きく変わっていく中でも、ゲームデザインの根本で守らなければならない部分、たとえばモンスターボールが飛んでいく放物線や、捕まえるときのボールの動き、“これがあれば『ポケモン』のゲームである”という特徴は、大事にしていることにも注目していただければと思います。今後も、守るべき部分は守りつつ、ブラッシュアップをしていきたいと思います。


――今年4月には、ポケモンセンターが開店20周年を迎えました。ポケモン関連グッズや販売店の成熟については、どのような所感をお持ちでしょうか。


石原 初の常設型飲食店であるポケモンカフェなどの新たな取り組みもあり、とても好調に推移しています。もともとは八重洲のポケモンセンタートウキョー1号店から始まり、そこからいくつもの店舗ができて、拡大していきました。今回、新しくできたポケモンセンタートウキョーDXは、1号店と同じ日本橋に作りました。創業の地である日本橋でしっかりとした店舗で作り直したいという想いはかねてからありまして、この新店舗は1号店のリファインのような意味を兼ねています。また、ここ数年は海外からのお客様の比率も上がっており、日本だけの展開のみならず、さらなる海外出店の可能性も含めて、いろいろと検討しているところではありますね。


――ポケモンストアも含めると日本のほぼ全エリアをカバーされていますし、今後の動向が気になります。


石原 今後の展望としていま言えることのひとつに、自動販売機の施策があります。たとえば伊藤園やソフトバンクなど、『ポケモンGO』のパートナーがいくつかあります。伊藤園の自動販売機はポケストップ、あるいはジムになっていますが、こうした取り組みとは別に、ポケモンらしい自動販売機を展開するのも、おもしろいのではないかと。



――あらゆる領域で活動の広がりを見せているポケモンですが、今後のポケモンIPの成長戦略の構想について、何かヒントをお聞かせいただけないでしょうか。


石原 すでに発表もされていますが、ハリウッド映画の制作などの計画も動いています。こうして考えると、作ろうとしているもののスケールが大きくなりましたね。その影響も今後期待できると思います。また、社内に中国事業部も作りましたので、中国市場のこれからにも期待しています。


――今後はさらにワールドワイドでの展開を見据えているということですね。


石原 『ポケモンGO』ひとつ取ってみても、配信している国や地域、プレイヤーの数はものすごく増えたのですが、それでもまだサービスが届けられていない場所はあります。可能な限り、そうした地域にもコンテンツを広げていければと考えています。


――それでは最後に、新作を楽しみにしている読者の皆さんにメッセージをお願いします。


石原 『ポケモンクエスト』は、ゲームフリークの新しい取り組みです。まずは試しにダウンロードしてみてください。ニンテンドースイッチとスマートフォンでも近しい時期に配信するタイトルとして、野心的かなと思いますし、ハードによる体験の違いも楽しんでみてください。『ポケモン Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ』は、新しく『ポケモン』を始めた人にとって遊びやすいものに仕上げています。『ポケモンGO』から入るプレイヤーはもちろん、多くのポケモンファンにも楽しんでいただける内容となっています。『ポケモンGO』との連携やモンスターボール Plusという新しいデバイスも含めて、相当高度に練られた遊びになっていると思うので、ぜひお楽しみに。そして最後に、2019年後半に向けた新作も着々と作っていますので、今後の発表にご期待ください。




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※画面は開発中のものです。

最終更新:6/12(火) 22:02
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