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夫婦の会話は「糸でんわ」で 病床で話せない夫、紙コップで呼びかける妻の思い 『半分、青い。』見て再開

6/14(木) 7:00配信

withnews

 「蝶々が飛んでるよ」「明日また来るからね」。言葉のやりとりが出来なくなった夫に、手作りの糸でんわで毎日呼びかける妻がいます。彼女が新聞に投稿した文章が、第三者のツイッターを通じて多くの人に届き、「すてきなご夫婦」「涙が止まりません」と話題になっています。半世紀以上連れ添っている夫婦の話を聞きました。

【画像】新聞投稿の全文はこちら。手作りの糸でんわで、病床の節夫さんに話しかけるくみ子さんの写真なども

ツイッターで拡散

 今月6日にツイッター投稿された画像。

 写っているのは朝日新聞の投稿欄「ひととき」のページで、宅配便の中に緩衝材代わりに入っていた新聞だそうです。

 投稿には、こんな内容がつづられています。

 新婚時代、月末にお金がなくて魚1匹のおかずを伝えるために糸でんわを使ったこと。

 子どもを身ごもったことを伝える時にも使ったこと。

 現在、夫は介護施設にいて歩くことも会話することも出来ないこと。

 テレビドラマに登場した糸でんわを見て思い出し、手作りして毎日語りかけるようになったこと。

 そして、こう結ばれています。

 「『もしもし』と言ったら唇を動かして下さい。『明日また来るからね』と言ったらうなずいて下さい。『じゃあね』と言ったら少しでいいから手を振って下さい。でも……と、私は思った。ことばが出るようになったら、夫は最初に『おれのこと、随分子ども扱いしていたね』と笑うだろう。そうしたら、私は糸でんわの紙コップが破れるくらいの大声で、笑い返そう」

 この投稿に対して、「情景が目に浮かんで涙があふれてきました」「なんて優しくてせつないんだろう」といったコメントが寄せられ、リツイートは3万、いいねは8万を超えています。

始まりは新婚時代

 この文章を書いたのは、神奈川県葉山町在住の山田くみ子さん(79)です。

 「毎朝楽しみにしているNHKの『半分、青い。』に糸でんわが登場したんです。それを見て『そうだ、また作ってみよう』と思ったんです」

 夫の節夫さん(83)と連れ添って半世紀以上。結婚のきっかけは、一緒に聴いたシューベルトの曲でした。

 「聴き終えた時に『すごくきれいな曲』と、二人とも涙を流していたんです。その時に『この人と結婚したい』と思いました」

 初めて糸でんわを作ったのは新婚時代。月末に100円玉数枚しか残っていない時でした。

 「私、やりくりが下手で、なかなか夫に言い出せなかったんです。そんな時に、小さい頃に母と糸でんわで話をしたことを思い出したんです」

 手元にあった小さい紙コップに糸を通し、つまようじを使って外れないように固定。「お金がないので今夜のおかずは魚1匹です」と伝えました。

 糸の先に見えた節夫さんの横顔。一気に表情がゆるみ、「やった、うまくいった」と、くみ子さんも笑顔になりました。

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最終更新:6/14(木) 15:07
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