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2年間で作り上げた成田美寿々のパッティング 世界1位と同じ動きに成長を感じた【辻にぃ見聞】

6/13(水) 14:25配信

ゴルフ情報ALBA.Net

今年の国内女子ツアー「宮里藍 サントリーレディス」は初日からビッグスコアが連発。ジョン・ジェウン(韓国)が「64」、2日目には比嘉真美子とアン・ソンジュ(韓国)が「63」を記録するなど、足踏みが許されない展開に。そんな中、トータル16アンダーまで伸ばした有村智恵と成田美寿々がプレーオフに進出。4ホールの死闘の末に成田の優勝で幕を閉じた。そんなバーディ合戦の深層を、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が語る。

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■チャンスが多いのは大前提 成長したパターが勝負を分けた
雨の日が多く柔らかく止まるグリーンに、例年よりも短いラフ。年間でも屈指の伸ばしあいとなり、カットライン2アンダーは2006年に六甲国際ゴルフ倶楽部となって以降、当然最少の数字。「長いクラブでも、ラフからでもピンをデッドに狙っていけるセッティング。チャンスにつけるのは大前提で、どれだけパターを決められるかが勝負を分けました」と辻村氏が語るように、今年行われた「ヤマハレディース」や「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」のようなロースコアの粘り合いとはまた別の能力が求められた。

栄冠を手にした成田は、17年に南秀樹氏とツアーでは異例のパッティングコーチ契約を締結。パターを二人三脚で成長させてきた。2年前と比べても、取り組んできたことが如実に動きに現れていると辻村氏。

「フィニッシュでパターがピタっと止まる。今までの成田さんはフィニッシュでヘッドがふらふらしている印象がありました。なぜカップインまで微動だにしなくなったかというと、手打ちではなく、しっかりと身体の中で打てているからです。手でフォローを出していない。だから転がりが良く、重たいグリーンでもボールが進んでくれる。これはインビー・パーク、リディア・コといった世界の名手と同じ。ボールを芯で叩く音が響いているのが何よりの証拠です」。

数字を見ても、コーチ契約を結ぶ前、16年の成田の平均パット数(パーオンホール)は17位。そこから17年は13位、そして現在は7位と確実に良くなっている。その成果が、好調のショットを助けてバーディ合戦での優勝につながった。

■有村智恵は体の“バラバラ感”が無くなった!
一方、その成田に敗れた有村は、最終日の優勝争いという意味でいうとプレーオフでイ・ボミ(韓国)に敗れた12年の「伊藤園レディス」以来。アメリカツアー撤退後では、初めてカップが見える位置での戦いだったといえる。辻村氏も有村のプレーを見ていて「ようやくいい時の感覚を取り戻しつつあるな」と感じた。

「アメリカから戻ってきたときに、球が弱く、飛ばなくなっていた印象を受けていました。2012年に日本女子プロ選手権を勝ったときは強く大きく滞空時間の長いボールを打つ印象でした。有村さんといえばピンをデッドに差すフェードが持ち味でしたが、フェードというよりはこすれたスライスになっていました。体が開いて、クラブが入ってこない。入ってこないから手でボールを掴まえようとしてしまう。だからスライスだけでなく、チーピンも出ていました。ポイントポイントをチェックするあまり、スイング全体の連動性が失われていた。ですがスイングに連動性が出てきて、一体感が生まれて滑らかになり、タイミングが良くなった印象を受けました」。

ショット以外での部分でも、強かった有村が戻ってきつつあると続ける。「有村さんは集中力というか、ゾーンに持っていきかたがすごく上手い選手。一度スイッチが入れば、バーディが止まらなくなるタイプ。ですが、アメリカに行って低い位置でゴルフすることが体に染み付いてしまい、その感覚を失いつつあったと思います。ですが今大会の初日に「65」を出したように、徐々に思い出しつつある。実際、今大会もどちらが勝ってもおかしくなかったですからね」。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、比嘉真美子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

(撮影:佐々木啓)<ゴルフ情報ALBA.Net>