ここから本文です

観光都市の異様な光景、元通りに 障害物撤去の通路に市民「こんなに広かったんや」

6/13(水) 9:32配信

神戸新聞NEXT

 観光都市・姫路の玄関口での異様な光景が、元の空間に戻った。兵庫県警姫路署は12日、JR西日本に対する名誉毀損の疑いで、姫路市南駅前町の不動産会社「とく也不動産」を捜索し、過激な文言が書かれた看板やパイロンなどを押収した。日を追ってエスカレートする状況に戸惑っていた地元住民や商店主らは「観光客へのイメージも改善されるのでは」と話した。

【動画】多量の看板掲げ、JR西を誹謗中傷 不動産会社を捜索

 捜索が始まったのは、午後0時36分。同社前に集合した約20人の捜査員が、歩道と自由通路を管理する姫路市の職員に捜索差し押さえ許可状を示した。社内に従業員らの姿は見えない。

 捜査員らは「○Rはドロボー」「ウソ800・デッチ上げ」などと書かれた証拠品の看板やパイロンなどに、番号を付けて写真に収めると、次々と押収。約3メートルの高さに設置された看板は、脚立を使い、一つ残らず差し押さえた。

 同1時50分ごろには、同社社長の男性が姿を見せた。ブロックを投げ、高く積み重ねたパイロンの重りを蹴飛ばすなどの行動を取った後、記者に「JR西がうちを追い出そうとしている」と主張した。

 姫路市職員も、通行の安全のため、以前から設置していた土のうとバリケードの撤去を開始。約40人体制でトラックに積み込んだ。同4時半ごろ、全ての作業が終了。約4時間で、広々とした空間が戻った。

 学校帰りの高校生らは「こんなに広かったんや」などと驚いていた。買い物でよく通行するという主婦(42)は「看板が落ちてきそうで怖かった。これで安心して通れそう」と話した。


■通行妨げていた障害物 「まるでバリケード」

 兵庫県姫路市によると、とく也不動産が通行を妨げる物を置き始めたのは昨秋から。同社はJR西日本の関連会社から建物の明け渡しを求める訴訟を大阪地裁に起こされ、昨年12月に敗訴。その後、障害物は増大した。店の周囲に置かれるようになった黄色いパイロンや水の入ったバケツ、一升瓶などが夜間、通行人などに倒され、破片が散乱した。

 市民から「歩道が通れない」などの苦情が寄せられ、市は今年2月、姫路署員とともに店を訪れ、「片付けてほしい」と求めた。社長の男性は「(周辺の通路や歩道を)自由にやってもらっていい、と契約時に言われている」と主張し、3月以降は近隣の店周辺まで障害物が広がった。

 近くに店を構える60代男性は「4月以降は特にひどく、バリケードのようだった」。駅前の専門学校に通う男子学生(19)は「なぜ放置されていたのか不思議」と振り返る。

 市は一升瓶などが倒れないよう土のうを積むなどしたが、この日まで撤去に乗り出せなかった。市の担当者は「市有地ではないので、動きたくても動けなかった」とする。JR西は「お客さまやご通行の方々が長期間にわたり、不安な気持ちになられておられた現状を遺憾に感じております」とコメントした。

最終更新:6/13(水) 9:41
神戸新聞NEXT