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「可変絞り」の効果はいかほど? 進化した「Galaxy S9+」のカメラを試す

6/13(水) 10:05配信

ITmedia Mobile

 スマートフォンのカメラのレベルは年々上がっていて、「デュアルカメラ+背景ぼかし+ビューティー機能」はとうとう当たり前になった。

Galaxy S9+で撮った人物の作例

 そんな昨今、じゃあ次に何をしてくるか。サムスン電子の新スマホ「Galaxy S9+」は、「感じたままを伝えるカメラ」を目指したそうである。

 抽象的でよくわからないけれども、そのようなキャッチコピーはさておき、具体的に何がどう変わったのかをチェックしていくのがこの記事の仕事。

 アウトカメラのセンサーは、画素数こそ「Galaxy Note8」から据え置きの約1220万画素(12Mピクセル)だけれど、実はセンサーもレンズも新しくなっているのである。

●Note8より進化したレンズとイメージセンサー

 「Galaxy Note8」から引き続き、Galaxy S9+もアウトカメラはデュアル。Note8は横に2つ並んでたが、S9+は縦に2つ並べてきた。まあ、これはどっちでも使い勝手に影響はない。

 片方は広角のメインカメラでもう片方は望遠カメラ。

 望遠カメラのスペックはNote8と同じで、1/3.6型の1220万画素センサーで52mm相当のF2.4レンズを搭載している。光学式手ブレ補正に対応しているのも同様だ。

 広角カメラもスペックはNote8と同じで、1/2.55型の1220万画素センサーに光学手ブレ補正機能を備えて……と思いきや、先にチラッと言った通り、センサーもレンズも一新されている。

 広角カメラの新センサーは「スーパースピードデュアルピクセルセンサー」という。名前がややこしいけれど、従来のオートフォーカス(AF)が高速になる「デュアルピクセルセンサー」の中にメモリを搭載して画像の「高速読み出しが可能になった」のだ。

 高速読み出しを生かした機能の1つが、「スーパースローモーション」。スローモーション機能自体は珍しくなくなったけれど、秒間960コマという動きの細かさと、シンプルな使い勝手が良いのだ。これ、面白い機能なので後で紹介。

 レンズに関しては「F1.7」から「F1.5」とさらに明るくなった。それだけではなく、さらに絞りを動かすことで「F2.4」に変えられる「デュアルアパチャー(絞り)機能」も搭載した。

 普通、デジタルカメラのレンズには「絞り」機構が組み込まれていて、これでイメージセンサーに当たる光量を調整するのだが、スマホのカメラにはこれがない。言い換えるとスマホカメラは「固定絞り」なのだ。

 そういう機構を入れるスペースがないとか(薄く作らなきゃいけないとか)、コストがかかるとかあるけれども、ムリして入れなくても困らないといえば困らないのである(なぜ困らないのかは、カメラの構造の話になるので割愛する)。

 「F1.5」「F2.4」の2段階だけとはいえ、それを入れてきたのだ。これが実際の写りにどう影響があるのか、なぜそれが必要だったのか。後で見ることにしよう。

 ひとまず、まずは広角と望遠でいつものガスタンクを撮影してみた。

●スーパースローモーションで遊ぼう!

 で、いきなりスーパースローモーションで遊んでみよう!

 いやこれが面白かったので、普通の撮影機能の前にサッと紹介しちゃう。

 スーパースローモーションは「高速度撮影を動画を通常速度で再生することで、超スローモーションを楽しめる」という機能。

 これの難しい所は、スローモーションにするタイミングと長さ。

 S9+の場合、「動画の中の0.2秒間だけ」スーパースローモーションとなる仕様。これを6秒かけて再生するのだけれど、この6秒というのは「長いなぁ」と飽き感じるかどうかの微妙な時間(たぶんセンサー上のメモリサイズによる制限によると思われる)。

 難しいのはその“0.2秒”をどう指定するか。0.2秒なんて一瞬だから、アッと思ったら撮り逃してしまう。

 そこでS9+は「肝心なところを自動的にスローにする」という機能を付けた。そこがえらい。

 スーパースローモーション撮影時、時は画面に四角い枠が出る。ここがミソ。この枠内で動きが検出されると、そこだけが自動的に0.2秒間だけスーパースローモーションで撮影されるのだ。

 彼女が手に持っているオモチャ。引き金を引くと、先端の円盤が回転しながら飛ぶ。それを自動検知してスローモーションになるかどうか。

 なったのである(何回か失敗したけど)。13秒(うち6秒がスーパースローモーション)の動画をどうぞ。

 引き金を引いた瞬間にスローになったのがわかったかと思う。

 もちろん、スローモーションのタイミングを手動で指定することもできる。噴水をスローモーションで撮ってみたのでどうぞ。

 スーパースローモーション撮影した動画の解像度は720p(1280×720ピクセル)となる。フルHD(1920×1080ピクセル)じゃないのが残念だけれど、楽しみやすさ重視なら分かる。

●「自動」モードで広角と望遠を使い分けるべし

 では、普通に写真を撮ってみる。

 撮影モードはいろいろ用意されているが、普段の撮影は「自動」で十分。F1.5と2.4の切り替えはもちろん、HDR(高ダイナミックレンジ)のオン・オフの切り替えも自動で行ってくれる。

 まずは風景を広角と望遠で撮ってみる。

 特に広角の方は、びっくりするほどシャープに撮れている。これは気持ち良い。

 撮った後、「自動」だとどのあたりで広角カメラの絞りを切り替えるのか気になってチェックしたのだが、かなりF2.4で粘る感じ。

 目安として、下の作例くらい暗くなるとF1.5に切り替わる。

 HDRをオートにしておくと、多くのシーンでHDRが有効になる。下の作例は「さすがHDR」という写り。

 オートだとHDRオンになる環境で、HDRオンとオフの撮り比べもしてみた。

 続いて、近距離の作例ってことであじさい。

 見てのとおり、写りはとても良好。

 では暗所へと行ってみよう。

 S9+(とS9)のカメラは、「暗いところでも被写体をくっきり鮮明に写しだす」そうなので。

 カメラの撮影モードには「夜景」といったそれっぽいものはないので、自動のままカメラを向けると、とても暗い場所(住宅街の公園の片隅で灯りは街灯くらいしかない場所)なのに画面を見るとすごく明るく見える。言い方を選ばなければ「ウソくさい」ほどに明るく見える。

 実のところ、Galaxyシリーズのカメラ機能の気持ちよさに大きく寄与しているのは、ディスプレイじゃないかと思うのである。昼でも夜でもくっきりキレイに最適な明るさで見せてくれるのだ。

 モニタ表示がきれいだと撮ってて楽しい。これ大事。

 で、深夜のアジサイを撮ってみた。

 キレイ。ISO1250まで感度が上がっているのに、ノイズも目立っていないし。

 GalaxyのWebサイトには、S9+(とS9)は「マルチフレームノイズリダクション」機能というものに対応していると書いてある。ネーミング的に、センサーの高速さを生かしてさりげなく連写して、その画像を合成(あるいは比較)してノイズを減らしているんだと思う。

 風景、花、夜ときたので、お次は「人」だ。

 自動モードで人にカメラを向けると、顔を検出して黄色い丸で囲んでくれる。

 では撮影。

 日傘を差しているので顔が暗くなっているはずなのだけれど、ちゃんと顔を認識してキレイに撮れているのはさすが。日傘の色がちょっと肌色に影響しちゃってるけれど、それはしょうがない。

●ライブフォーカスモードも試してみる

 せっかく女子を撮ったので、今度は「ライブフォーカス」モードに突入しよう。

 ライブフォーカスは人を撮るためにあるのだ。ライブフォーカスにすると、ぼかし具合とフェイストーン(顔の色調)を調整できる。

 ライブフォーカスモードでは両方のカメラを使う。そのため、画角は望遠側に寄せられるため、ちょっと望遠気味の写真になる。

 背景がきれいにボケて、美肌処理もかかった。

 思ったより肌のツヤ感が出ている。この辺は、好みに応じてフェイストーンの強さで調整しよう。

●インカメラで撮ったり「AR絵文字」を作ってみたりする

 インカメラは800万画素(8Mピクセル)センサーと、F1.7レンズの組みあわせ。スペック的にはNote8と同様だ。

 自撮りをする時は「自分撮りフォーカス」「自分撮り」「AR絵文字」「ワイド自撮り」を選べる。自分撮りフォーカスを選ぶと、自分以外をボカしてくれる。

 通常の「自分撮り」で撮った写真がこちら。

 で、自撮りならビューティーだ、っていうことで「ベーシック」「スイート」「フレッシュ」などなど、効果をいろいろ選べる。

 ……のだが、これらの効果を掛けて撮ると、画像サイズが「1440×1080ピクセル」に固定されてしまうのがちょっと謎である。もうちょっと大きくできなかったのかと思う。

 もう1つ、自撮り関連で「AR絵文字」ネタも試してみた。

 実際はインカメラでもアウトカメラでも使えるのだが、自分の顔を元にした「マイ絵文字」を作れる機能機能が、AR絵文字。

 まず、指示に従って顔をセットしてシャッターを切る。ちょっと待つと顔ができるので、目の大きさや肌のトーン、髪型、メガネなどを選んで完成させる。

 すると、自動的に18パターンの「マイ絵文字」が出来上がり。完成品がこれ! 下にある白髪のやつは、わたしが自分で試しに作ったヤツですはい。

 作ったマイ絵文字はGIFアニメとしてSNSやメールでシェアできる。

 ということでツイートしてみた。

●料理は「料理」モードで撮ると吉

 Galaxyシリーズのカメラは基本的に「自動」と「ライブフォーカス」でだいたい済むのだけれど、「料理」モードだけは独立して存在しているって所が面白い。

 料理モードにすると、料理の強調したいところを指定できるし(その分遠くがちょっとボケる)、色も調整できる。

 料理の色は店の照明によって違って見えるけれど、料理モードを使えば手動でフォローできるのだ。

 このモードで撮影すると、こんな感じになる。

 通常モードとも撮り比べてみたけど、料理モードで撮った方がつややかで色も鮮やかで美味しそうに撮れる。これは使うべし。

 料理は料理モードでぜひ。

●プロモードでF1.5とF2.4の違いを調べる

 さて、カメラ好きが気になるのは、S9+(S9)の絞りの話だろう。

 そこで、最後に「F1.5と2.4の違いってあるの?」という所を検証してみた。

 まず本当に「絞り機構」は付いているのかどうか。

 付いていました。カメラを「プロ」モードにして、手動で絞りを変えると確認できます。

 では、アジサイをF1.5とF2.4の両方で撮影して比べる。

 ちょっと分かりづらいと思うので、拡大図を。

 良く見ると、両者には2つの違いがある。

 1つはディテールの描写力。もう1つはボケ具合だ。

 近距離のものを撮ったときの背景のボケはF1.5の方が大きいが、写真としてディテールがしっかり写るのはF2.4の方なのだ。

 だからこそ、明るい場所ではできるだけF2.4を使う仕様になっているのだろう。

 そんなわけで、いろいろと見えてきた。

 使い始めた当初、「なぜスマホにデュアルアパチャーが必要なの?」と思ったのだが、あれこれ使って見た限り、確かに意味はある。

 レンズをF1.5とすごく明るくして暗所への対応を強化しつつ、明るい場所ではディテールの描写力が高いF2.4の絞りを用意。明暗両方に対応したのではないかと思う。

 なるほどなあ。

 もともとGalaxyのカメラ機能は画質に定評があったわけで、無理に画素数を上げたり奇をてらった機能を入れるよりも、より撮影の幅を広げ、画質を上げるように注力したと考えると、納得できる。

 で、相変わらずいろんなシチュエーションで安定した画質を見せてくれるし、遊べる機能も付いたしで、なかなか良いカメラ機能でありましたよ。さすがGalaxy。

最終更新:6/14(木) 12:21
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