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日本ワイン ワイナリーと連携、行政が学校や研究所 酒も振興機運も醸成着々

6/13(水) 7:06配信

日本農業新聞

 日本ワイン人気が高まる中、主産地以外でも、行政機関が民間のワイナリーなどと連携し、ワイン振興に力を入れる動きが出てきた。福井県は5月、醸造用ブドウの栽培や醸造技術などを学ぶ「ふくいワインカレッジ」を開校。県産ワインの担い手を育成する。100年以上のワイン醸造の歴史のある大阪府では今春、西日本初の公設のワイン専門研究施設がオープン。“古豪”産地の巻き返しを狙う。(斯波希)

研修で“人材”育成 「特区」申請めざす 福井

 ワイナリーを中山間地農業の起爆剤にしようと、新興産地の福井県は、初の「ふくいワインカレッジ」を越前市に設置した。ワイナリーや農家レストランなどを組み合わせ、付加価値の高い中山間地農業の確立につなげる狙いだ。

 カレッジは、受講料3万円で醸造用ブドウの栽培から醸造方法、ブランド戦略などを2年間学べ、3年目には就業体験でワイナリーの実務経験を積める「ワイナリー開業コース」と、醸造用ブドウの栽培希望者向けに1年間座学で学ぶ「ワインぶどう栽培コース」の2コースから成る。栽培コースの受講料は無料。

 国の構造改革特区の「ワイン特区」への申請も視野に環境を整備し、ワイナリー開業を後押しする方針。特区に指定されれば、製造免許取得の条件となる醸造量の下限が6000リットル以上から2000リットル以上に下がるため、小規模でも開業しやすくなる。

 県によると、県内で稼働するワイナリーは1カ所、醸造用ブドウの栽培面積は1ヘクタール未満とまだ少ない。一方、北陸地域では2016年に、「北陸ワイナリー協会」が発足するなど、ワイン振興の機運が高まっているという。県は「中山間地の果樹振興の一環。受講生それぞれの進むステージに合わせて支援していきたい」(地域農業課)と話す。

温暖化対応へ試験過去の知見生かす 大阪

 100年以上のワイン醸造の歴史を誇り、昭和初期には全国一のブドウ産地だった大阪府。ブドウの収穫量は「デラウェア」を中心に5000トンと全国7位(2017年)だ。府立環境農林水産総合研究所が「ぶどう・ワインラボ」を設置し、古豪復活へ動きだした。育種や栽培技術を研究してきた知見を生かし、醸造用ブドウの生産からワインの醸造まで幅広く研究。府内のワイナリーと連携し、品質向上を目指す。

 「大阪ワイン」の振興に向け、醸造用ブドウの増産にも力を入れる。醸造用は、ジベレリン処理や出荷時の細かな規格が必要なく、高齢農家でも取り組みやすいとみる。府は、省力栽培のためのマニュアル作りも進める。同研究所食と農の研究部の谷本秀夫総括研究員は「日本ワインブームを追い風に、府内のブドウ産地全体を盛り上げていきたい」と力を込める。

 大阪ワイナリー協会の会長を務めるカタシモワインフードの高井利洋代表は「温暖化で適地が北上し、西日本ではブドウが作りにくくなっている」と指摘する。一方、日本ワインの表示ルールができることもあり、地元産の醸造用ブドウの需要は高まっているという。ぶどう・ワインラボについて「温暖化に対応した品種や栽培技術の開発、人材育成など、大阪だけでなく、西日本全体のワイン振興の拠点を目指す」としている。

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最終更新:6/13(水) 7:06
日本農業新聞