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米朝首脳会談の合意文書で触れられなかった、北朝鮮の人権問題とは

6/13(水) 6:10配信

BuzzFeed Japan

米朝首脳会談は6月12日、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長とアメリカのドナルド・トランプ大統領による13秒の笑顔の握手で始まった。【BuzzFeed Japan / 山光瑛美、Matthew Champion】

北朝鮮の「きょう」を写した27枚の写真

金氏は会談の前夜に、突然ホテルから外出しシンガポールの観光名所を訪れてはシンガポール外相と自撮りをしていた。

会談を目の前に、シンガポールを満喫していた金氏、そして自身の誕生日を事前に祝っていたトランプ氏。

お互いを罵倒し合っていた過去を乗り越え、非核化や経済制裁などを中心に行われた会談だが、合意文書では、深刻な北朝鮮の人権問題について触れなかった。

北朝鮮は、どんな人権問題をかかえているのか。

1. 国家による大規模な人権弾圧の疑い

国連の特別委員会は2014年、金氏による北朝鮮での人権侵害が「人道に対する罪」に値する十分な疑いがあると報告を発表した。

北朝鮮の人権状況を約1年間にわたって調査した特別委員会のマイケル・カービー氏は、「第2次世界大戦末期に起きた出来事を想起せずにはいられない」と述べていた。

国連によると現在、北朝鮮では20万人近くが政治犯の疑いや宗教的な理由で強制収容所に収容されていると見られている。北朝鮮各地に設置されている収容所は、国際的に見て劣悪な環境だ。

アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチが公開した強制収容所の生存者による証言では、食糧不足だけではなく意図的な飢餓、公開処刑、妊婦の子宮にモーター油を注入し中絶させるなどの残虐行為が挙げられている。

そして、北朝鮮では、「政治犯」としてマークされた人々だけでなく、その子どもを含む家族全員も犯罪者として扱われ人権を奪われることが、これまでなんども報じられてきた。

脱北者のパク・ヨンミさんは、2014年アイルランド・ダブリンで開かれた国際会議で北朝鮮の実態について、こう訴えた。

「私が9歳の頃、友人の母親が公開処刑されるところを見ました。彼女の罪はハリウッド映画をみたことだったのです。

政治体制への疑いを口にすると、三世代の家族全員が投獄されたり処刑されます。

私が4歳の頃、母からささやきもしてはいけない、と注意されました。鳥やネズミが聞いているから。私は、それを受け入れていました。北朝鮮の独裁者たちは私の心を読めていると思っていたからです。

私たちが北朝鮮から逃げてから、父は中国で亡くなりました。私は、午前3時に密かに父を埋めました。私は14歳でした。泣くこともできませんでした。北朝鮮に送り返されるのが怖かったので。

北朝鮮を逃げた日、母がレイプされるのを目にしました。強姦したのは、中国人のブローカーでした。彼は、最初私を襲おうとしていたのです。私は13歳でした。

北朝鮮には、このような言葉があります。『女性は弱い。しかし、母親は強い』。私の母は、私を守るために、レイプさせたのです」

北朝鮮から亡命する脱北者は近年でも数百人規模でいるが、中国などに移り住んでも本国送還や性的虐待やレイプ、性的搾取、人身売買の被害に遭う人は子どもも含めて少なくない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、北朝鮮は70年前に廃止したと主張している児童労働を、生徒たちに国家のための強制労働として義務付けているという。

また、表現の自由が制限されており、北朝鮮には政治から独立したメディアや市民団体は存在しない。

2018年6月6日、世界300以上のNGOが金氏宛てに、人権状況の改革を実行すべきだと書簡で呼びかけている。

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最終更新:6/13(水) 13:02
BuzzFeed Japan