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「先行き不透明」厳しい論調目立つ米メディア--米朝首脳会談で

6/13(水) 12:11配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

史上初となった米朝首脳会談だが、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の合意に対する米メディアの評価は、「先行きが不透明だ」と否定的なものが目立った。

【画像あり】米朝首脳会談

「大統領が今日会った金正恩という人は、複数の家族を殺害し、自国民を飢餓に晒した。あなたはなぜ、彼を才能ある人物だと呼ぶことができるのか」

シンガポールで2018年6月12日午後4時から始まった記者会見で、女性記者が発した最初の質問がこれだった。

トランプが、「合意は包括的なもので、金委員長は才能ある人物。感謝したい」と述べたからだ。質問の背景には、合意内容が総花的な目標を箇条書きにした内容の薄いもので、その実行に対する疑念がある。

1時間以上続いた会見で、その後も批判的な質問が集中した。

「北朝鮮の非核化のプロセスには、何年ほどかかるのか」

「合意には、具体的な非核化プロセスが書かれていないし、北朝鮮は過去に合意を反故にしている。今後履行の保証はあるのか」

「北朝鮮国内の人権問題には会談で触れたのか」

トランプ大統領は、「非核化のプロセスは、メディアによるとかなりの時間を要する」としながらも、「極めて迅速に」非核化のプロセスが始まるとの見方を示した。非核化の検証方法については、北朝鮮が協議に応じる姿勢をみせたという。北朝鮮が過去に合意を反故にしたのは、「今とは異なるリーダーがいたからだ」とした。

「北朝鮮との合意はたったの2ページか」

会見に続いて、米東部時間12日早朝のニュース番組でも疑問が続いた。

「イラン核合意は、100ページあった。その合意から離脱したのに、北朝鮮との合意は、たったの2ページか」(MSNBCコメンテーター)

「期待が高まっていたし、確かに歴史的だったが、何年までになどという具体的な数字も盛り込まれていない」(CNN)

トランプ大統領は2018年5月、オバマ前大統領が主導したイラン核合意を離脱した。「合意は不完全だ」というのが理由だが、狙いは合意に反対していたイスラエルへの配慮とみられる。合意は、経済制裁の解除を理由に、イランが核開発の大幅な制限を受け入れたもの。合意に署名した英国やフランスなど各国は、イランが合意内容を履行していると反発している。

もちろん、背景や経過が全く異なるものだが、今回の米朝合意で「非核化」についての項目は、1項目に過ぎない。

NBCのベテランアンカー、アンドレア・ミッチェルは「(合意内容は)自慢できるものではない。何のコミットメントもない。意義づけもない。会談したのはよかったが、突破口ではない」とツイートした。

ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長も、政治ニュースサイトAxiosに対し、「会談は、米国ではなく北朝鮮に利があった。非核化についての内容は、韓国と北朝鮮の首脳会談の際に示された曖昧な形式でしかない」とコメントしている。

「驚いたことにトランプは、金が国民を思いやっている、彼らのために正しいことをしようとしている、とまで言った。私は1980年代から北朝鮮に取材に行っているが、米大統領が、北朝鮮の独裁者のスポークスマンのように話しているのは、奇妙で仕方ない」(ニューヨーク・タイムズの国際ジャーナリスト、ニコラス・クリストフのニューズレターより)

一方で、トランプ大統領が会見で、1.朝鮮戦争は終わるという見通しを示したこと、2.在韓米軍を将来縮小するか、撤収したいという意向を示したことは、「ヘッドラインだ」(MSNBC)と評価された。

かつては、北朝鮮に対して「世界が見たこともない炎と怒りに遭遇するだろう」と対立姿勢を見せていたトランプ大統領だが、今回の会談に臨み、「ウォーゲームは終わる」という見通しを述べたことで、朝鮮半島の緊張は一挙に低下した。

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最終更新:6/13(水) 12:11
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