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在日1世「差別いつまで続くのか」ヘイト集会で市指針運用の見直し要望

6/13(水) 17:04配信

カナロコ by 神奈川新聞

【時代の正体取材班=石橋 学】人種差別扇動家によるヘイト集会に川崎市が市教育文化会館(川崎区)の使用を許可した問題で、市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は12日、公的施設でのヘイトスピーチを防ぐガイドラインの運用見直しなどを求める要望書を福田紀彦市長と市議会各会派に提出した。市議と面会した在日コリアン1世のハルモニ(おばあさん)たちは「いつまで差別されなければならないのか」と訴えた。

 集会当日の3日、会場の参加者から「ウジ虫、ゴキブリ、日本から出て行け」とヘイトスピーチが叫ばれたことに、金(キム)芳子(パンジャ)さん(87)は「日本へ来て81年になるが、あんまりだ」と涙ぐんだ。差別と貧困から学校に通えなかった人生を振り返り「私はもう年だが、孫やひ孫がかわいそう。どうぞ守ってください」と声を詰まらせた。

 手元には手書きの「要請書」があった。

 〈いつまでさべつされつづければいいのでしょう。いっしょうけんめいこつこつくらしてきたのに、なぜいまさら出ていけというのでしょう〉

 〈私たちはもうしかたがないけれど、まごやひまごまで差別されなきゃいけないのでしょうか。力をかしてください〉

 読み書きができず、清掃や皿洗いなど体を使う仕事で働きづめに働き、老後になって識字学校に通って覚えた文字がつづられていた。

 ヘイトデモの抗議の現場に立ち、国会議員や福田市長にその被害を訴えてきた趙(チョウ)良葉(ヤンヨプ)さん(80)も「国籍が違うだけで差別を受ける。子どもたちの絶望を思うと言葉がない。差別がなくなるよう力を発揮してほしい」と訴えた。

 地元川崎区選出の市議らは「市として何ができるか考えたい」などと対策の再考などを約束。自民党の坂本茂氏は「不許可にして訴えられ、負けたとしても、市民は市長の判断を評価する。それが政治判断だし、自治体の長としての責任の果たし方だ。同様に議員一人一人も覚悟を求められている」と応じた。

 市民ネットワークのメンバーは市人権・男女共同参画室も訪問し、ヘイト集会で実際にヘイトスピーチが行われたこと、その後に差別落書きが市内各地で見つかっていることに「市長の判断に市内部からも疑問が出ている。外国人市民のために現場で頑張っている職員は相当悔しい思いをしている」「不許可にしなかったのは正しい判断だったと胸を張って言えるのか。市長を守るのではなく、市民を守る地平になぜ立てなかったのか」と批判した。