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朝鮮半島の非核化合意、拉致問題にも言及 米朝会談

6/13(水) 9:59配信

日刊スポーツ

 【シンガポール=中山知子】トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は12日、シンガポールで史上初の米朝首脳会談に臨んだ。正恩氏は朝鮮半島の完全非核化、トランプ氏は北朝鮮の安全の保証を約束。敵対関係終結という「歴史的変換」に突き進むトランプ氏は、正恩氏をべた褒めし、「米朝雪解けショータイム」を演出した。現実的には問題解決に時間がかかり、正恩氏の収穫ばかりが目立つ結果は否めない。トランプ氏は安倍晋三首相と約束した日本人拉致問題を提起したが、共同声明には入らなかった。

【写真】金正恩朝鮮労働党委員長との会談で指を立てるトランプ米大統領

 セントーサ島のカペラホテルで開かれた史上初の米朝会談は、トランプ氏と正恩氏の10秒間の握手で、幕を開けた。「素晴らしい気分だ。我々は大成功を収める」と、冒頭からすでに前のめり気味のトランプ氏に、正恩氏は「大統領閣下」と呼び掛けた。「楽な道ではなかったが、すべてを克服してここまで来た」と、体制変化への意欲に言及。トランプ氏は、得意のサムアップで歓迎した。

 会談は通訳だけ交えた1時間弱の「ガチンコ会談」後、実務者入りで1時間半実施。トランプ氏は「誰もが予想したより、本当にいい会談だった」と自画自賛。正恩氏も「今日を機会に、これまで誰もしたことがない大きな事業をトランプ氏と始める決心ができている」と、踏み込んだ。

 その後、2人は共同声明の文書に調印。正恩氏は「朝鮮半島の完全非核化」を約束、「世界は今後、恐らく重大な変化を見る」と述べた。トランプ氏は、北朝鮮に安全の保証を約束。「北朝鮮、朝鮮半島との関係は、過去と全く異なる状況に向かう」と胸を張り、「我々は特別な絆を築いた」と友好関係を強調。正恩氏をホワイトハウスに招待すると明言し、自身の訪朝にも意欲を示した。

 かつて、ミサイル発射を繰り返す正恩氏を「リトルロケットマン」「病んだ子犬」と酷評したのに、「非常に賢い。交渉に値する」とべた褒め。「彼に何度も会うことになるだろう」と、再会談にも言及した。

 ただ、発表された共同声明には、ポンペオ米国務長官が「これしか受け入れない」と明言した「朝鮮半島の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」の文言はなく、トランプ氏自身が会見で、完全非核化には時間がかかることを認めた。60年以上休戦状態が続く朝鮮戦争についても、「間もなく終結すると期待している」と述べるにとどめた。

 具体的な進展となる合意は乏しいものの、米朝の関係改善はアピール。トランプ氏は大統領専用車「ビースト」の内装を正恩氏に見せ、2人でホテルの庭を仲良く散歩。この日も蒸し暑かったシンガポールで、米朝間の「雪解けショー」演出に腐心した。「ファンタスティック(素晴らしい)」「アブソルートリー(完全だ)」と繰り返したトランプ氏だが、非核化の具体的な行程や検証方法で合意しないまま、正恩氏が求めた「体制保証」を確約。北朝鮮には大きな収穫だ。

 トランプ政権には対北強硬派もおり、甘い対応に不満が出れば北朝鮮に足元をみられる恐れも残る。それでも「成功」を強調するトランプ氏。満足そうに、シンガポールを後にした。

最終更新:6/13(水) 10:37
日刊スポーツ