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8Kは放送以外にも。VRや医療へ拡大目指すアストロデザイン。初の顕微鏡も

6/14(木) 0:00配信

Impress Watch

 アストロデザインは、放送事業者やメーカーなどに向けて、新製品やソリューションを紹介する「PRIVATE SHOW 2018」を6月14日と15日に東京の本社で開催。その展示内容を、一部の関係者や報道関係者向けに先行公開した。なお、大阪ではグランフロント大阪で、7月12日~13日に開催される。

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 8K/240pの4時間連続ループ収録に対応したビデオサーバーや、最大8系統の文字スーパーを合成できる4Kインサータ「HD-1679」など、8Kや4Kの新しいハードウェアを出展するだけでなく、8Kプロジェクタ2台を使った8K 3D上映や、VR映像といった、放送以外への8K活用の展示が顕著なのも今年の特徴。今年は12月1日からは新4K8K衛星放送がスタートするが、昨年の時点で既に製品群として環境を整えていた同社は、産業や医療などの分野にも、本格的に取り組む姿勢を見せている。

■8Kを12bit非圧縮再生、VRなど放送以外の8K活用も

 8Kビデオサーバー「SR-8428」は8K/240p映像の4時間連続ループ収録と同時再生、「SR-8438」は8K/60pの8時間連続ループ収録/同時再生に対応。Grass Valley HQXコーデックを搭載し、高画質で長時間の収録を実現する。

 技術展示として、非圧縮の8K/60p映像再生装置を初披露。M.2 SSD×12枚から並列で読み出し、RGB 12bitの非圧縮動画再生が可能。U-SDI出力に対応し、ケーブル1本で伝送できる。放送とは異なり、主に研究用途などを見込んでいる。

 8Kカメラは、小型システムの「CM-9010-A」を使って、高解像度なVR撮影を紹介。VR向け魚眼レンズで知られるインタニヤが開発したマイクロフォーサーズマウントの「HAL 250 4.3 MFT」を同カメラに装着し、アストロデザインがVR撮影を実施。東京・文京区のホテル椿山荘東京の庭園を撮影し、VRゴーグルの「HTC VIVE Pro」で体験可能。レンズの画角は220度で、視界を覆う没入感の高い映像を楽しめた。VIVE Proは現行のHMDとしては高解像度だが、両眼で2,880×1,600ドットのため8Kの全ては再現できない。もっと高解像度なHMDの製品化が待たれる。

 8Kカメラの小型化を進める一例として、映像処理やインターフェイスの部分をヘッドから分離した「CM-9010-B」を展示。空撮での利用例を紹介している。発売については現時点では未定。そのほか、医療分野でも、顕微鏡などの映像向けに8Kカメラヘッドを活用。こちらは年内の販売開始を見込んでいるという。

 開発中の超高速マルチフレーミングカメラ「HC-4502」は、時間分解能1億枚/秒(10ナノ秒)で連続10枚撮影できるカメラ。シングルイメージセンサー型で世界最高の撮影速度としている。1画素内にある6フレーム分の電荷収集ゲート(1つは排出用)と画素メモリを持ち、撮影用パルスを順次与えることで撮影を行なう。高エネルギー研究分野などの利用を想定しており、3月には近畿大学との公開実験も行なった。

 4Kインサータ「HD-1679」は、4K 2系統のライン入力に対応し、最大8系統のスーパーを合成して出力可能。スーパー同士を合成して出力することも可能。専用リモコンや、Webブラウザから操作可能。

■8Kプロジェクタで3Dシアター

 台湾デルタ電子と、同社グループ傘下の英Digital Projectionと共同で開発した25,000ルーメンのレーザー搭載8K DLPプロジェクタ「INSIGHT LASER 8K」のシアターも用意。アストロデザインが制作した8K/120pコンテンツの上映や、NHKメディアテクノロジーとNHKエンタープライズによるプロジェクト「8K:VR」の3D映像を上映している。

 同社は、8K/60pの4:4:4 72Gbps映像を「プレミアム8K」、8K/120p 4:2:0を「スーパープレミアム8K」と呼び、通常の8Kよりも動きを自然に表現できる映像として訴求する

■ディープラーニング活用で8Kアプコン

 将来的な需要を見込んで、ディープラーニング(深層学習)の方法を用いたHDから8Kへのアップコンバートの研究も進められている。

 ある画像を1/16サイズ(256×256ドット)にダウンコンバートし、そこから1,024×1,024ドットに戻した時の差分を調べることで、それを元に他の低画質な画像のアップコンバートに活用するというもので、今回はこの学習を2,000枚の静止画で実践。学習を10回繰り返したものと50回繰り返したもの、元の画像を比較。10回では色ずれがあったが、50回学習すると結果が収束していたという。

 画像処理には、最大3画2枚のGPUで計算できるMicrosoftとNVIDIAのハイパースケールGPUアクセラレータ「HGX-1」を使用。「時代物や、演出の派手なライブビデオなどでは学習させる画像を変えることで、効果的なアップコンが実現できる可能性がある」としている。

■“歴史を変える”初の顕微鏡も製品化

 “顕微鏡の歴史に新たなページを加える”というレーザー走査型顕微鏡「LaSCOPE LM-9001」を発表した。同社は、前述のように医療分野に活用できる映像機器も手掛けているが、顕微鏡そのものを製品化したのは同社にとっても初となる。7月より受注開始、予定価格は2,000万円から。

 独自の開口拡張技術と高速デジタル信号処理技術を採用し、従来の光学顕微鏡では不可能だった、複数の顕微手法による同時同一ポイント観察を1台で可能にした。毎秒15フレームで観察できる。

 NA1.2(対物レンズの性能を示す指数で数字が大きいほど高性能)程度の水浸対物レンズと等価とする、解像度NA0.95をドライ対物レンズで実現。再生医療分野では、観察のために細胞を染色するとその細胞はもう使えなくなるが、今回の顕微鏡は無染色で観察でき、サンプルを汚染しないのも特徴としている。

 鈴木茂昭社長は、「8K専門、映像専門の会社と思われているかもしれないが、当社のキーワードは「他社がやっていないことをやる」。レーザー顕微鏡の大ヒット製品の設計者に来てもらい、約10年かけて発表できることになった。これからももっと進化していく」とした。

AV Watch,中林暁

最終更新:6/14(木) 0:00
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