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原口元気、持ち前の“鈍感力”にドイツで磨いた“敏感力”を融合

6/14(木) 16:56配信

夕刊フジ

 【ミラクルを呼ぶ男たち】原口元気(27)

 「W杯に出るだけじゃ、もう意味がない。勝つための時間が始まる」

 憧れてきた大舞台へ不退転の決意を秘めているのが、ハノーバーへの完全移籍が合意に達したばかりのMF原口元気だ。前回ブラジル大会出場を逃してから4年。ドイツで自らに足りないものを探してきた快足ドリブラーは、27歳にして初めてのW杯に臨む。

 4年前に立てた誓いを、まずは半分成就させた。ブラジル大会に臨むザックジャパンの選外となった原口は、日本中の注目がW杯に集まるのを横目に、ジュニアユースから10年半プレーしてきた浦和レッズからヘルタ・ベルリンへ移籍した。

 「次こそは絶対に自分が日本代表の中心となって、W杯に出るだけではなく勝つための選手になりたいと思いました」

 旅立ちの挨拶は今も有名だ。浦和での最終戦となった2014年6月1日の名古屋とのナビスコ杯予選リーグ。壮行セレモニーで原口が発した一言に、埼玉スタジアムがざわついた。感謝の思いをささげる人の中に、監督や仲間に加えて「恋人」を入れたからだ。

 「みんなから『日本人は普通、恋人のことは言わないぞ』とめちゃくちゃ突っ込まれました。僕はただ単に、感謝したい人を思い浮かべて言っただけなんですけど」

 浦和でチームメートだった槙野智章は思わず苦笑した。「あの場面であれ(恋人)を言える元気は、まさに海外向きですよね」

 “鈍感力”とでも呼ぶべきか。日本人の標準をいい意味で超越した思考回路に、ドイツでの4年間で“敏感力”をも組み込ませた。

 振り返れば、12年のロンドン五輪代表も逃した。何が足りないのか。小学生時代から埼玉県内で「怪童」と呼ばれ、ピッチ上の王様としてドリブルを駆使してきた原口がドイツの地で感じ取った答えが、労を惜しまない献身性を融合させることだった。

 「誰よりも多く走り、チームのために働くこと。4年前と今現在の自分を客観的に比較すれば、いろいろなことを経験してきた分、全てにおいて成長できたと思う。ロシアの地ではそれを表現したい」

 W杯アジア最終予選でマークした4試合連続ゴール。契約延長を巡り、ヘルタから実質的に干された昨季前半。今年1月に期限付き移籍した2部のデュッセルドルフで達成したリーグ優勝。全てが成長への糧となり、来季からのハノーバー移籍へとつながる。

 浦和の下部組織では、ピッチの内外で「やんちゃ坊主」として名をはせた。大人への階段を駆け上がってきた過程で迎える初めてのW杯で、4年前に立てた誓いの残り半分をかなえる。(スポーツジャーナリスト・藤江直人)

最終更新:6/14(木) 16:56
夕刊フジ