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名作「東京物語」秘話… 香川京子「当時は憧れの原節子さんとの共演の方がうれしかった」 『小津4K巨匠が見つめた7つの家族』16日から新宿ピカデリー

6/14(木) 16:56配信

夕刊フジ

 巨匠、小津安二郎(1903~63年)の残した7作を4Kデジタル修復版で一挙上映する「小津4K 巨匠が見つめた7つの家族」が16日から、新宿ピカデリー(東京都新宿区)で始まる。名作「東京物語」(53年)に出演した女優、香川京子(86)が小津監督との秘話を明かした。

 「東京物語」は尾道から子供たちに会うために上京した老夫婦と子供らの姿から、家族の絆、老いと死といった問題を浮き彫りにする作品だ。原節子、笠智衆、杉村春子らが出演している。

 香川は老夫婦の末娘を演じる。「当時は現場で一番年下で、緊張しましたよ。今思うと、すばらしい作品に出演できてありがたいと思いますが、当時は憧れの原さんとご一緒できることのほうが、うれしかったんですよ。監督には申し訳ありませんが…」

 京子役については「自分の年齢にも近く、真面目な役で無理なく演じることができました。監督からも特に厳しく言われることはありませんでしたね」と明かす。

 まさに香川のために書かれたような役だが、小津監督との出会いは意外な形だった。

 「デビュー間もないころ、私の義理の叔父(映画プロデューサーの永島一朗氏)と銀座東興園という中華料理店に行ったんです。小津監督は常連で、そこでお会いしたんです。その時はごあいさつしただけでしたが、ご記憶に残っていたんでしょうね」

 小津との仕事は「東京物語」1本だけだが、忘れられない言葉がある。オーディションのときのことだ。

 「監督は、私の写真を見ながら『笑った写真ばかりでダメだ』と。私は、笑ってくれと言われたから…と内心思っていましたが、監督はこうおっしゃったんです。『人間は悲しいから泣くんじゃない。うれしくて泣くこともあるし、悲しくて笑うこともある。人生には複雑な感情があるんだよ』と」。その言葉は、今でも香川の演技の指針になっている。

 憧れの原節子との共演は劇中終盤に訪れる。

 「静かで美しい人のイメージですが、本当はすごく元気で明るい方で、太陽みたいな人でした。何でも受け止めてくれるので、私も思ったことを口にするような演技ができたんだと思います」

 「小津4K」は23日からは「角川シネマ新宿」(東京都新宿区)で開催。7月7日まで。

最終更新:6/14(木) 16:56
夕刊フジ