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みやま市の三セク経営姿勢に疑義 みやまSEに市議会で集中砲火

6/15(金) 7:55配信

産経新聞

 福岡県みやま市が出資する第三セクターで電力小売業の「みやまスマートエネルギー」(みやまSE)について、開会中の同市議会で、問題点の指摘が相次いだ。同社が掲げる「エネルギーの地産地消」の行き詰まりが明確になったばかりか、経営姿勢への疑義が突きつけられる。出資者である市の責任も問われる事態となった。 (高瀬真由子)

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 「地産地消のコンセプトは立派だが、計画が甘い」

 14日の市議会一般質問で、末吉達二郎議員はこう訴えた。末吉氏は、みやまSEの電力販売契約の内情に疑問を呈した。

 みやまSEは、ホームページなどで「新たな財源を求める事なく、地域外に支払いをしていた電気料金を地域内に留め還流する仕組みを構築します。この電気に対する流れを変える事が、電気の地産地消なのです」と謳う。

 だが、4月末までの契約4535件のうち、1406件が新電力最大手、エネット(東京)の電力の取り次ぎ契約だ。エネットは、株主でもある大阪ガスのLNG(液化天然ガス)火力発電所を主要電源とする。

 端的に言えば、関西圏にある火力発電所の電気を買っていることになる。

 みやまSEは平成27、28年度決算で最終赤字を計上した。29年度決算でようやく106万円の黒字を出したが、累積赤字は3400万円に上る。

 そのみやまSEは、ドイツのBMWと、電気自動車のリース契約を結ぶ。電力事業のPR用だが、あまり稼働していないという。リース料は年約60万円支払っている。

 末吉氏は同社の問題を早くから指摘してきた。議会でも「電力事業は薄利多売であり、無駄な出費をいかに抑えるかが重要だ。電気自動車が債務超過の会社に必要なものか、経営者は考えるべきだ」と批判した。

 みやまSEの問題は、今市議会において、論戦の主要テーマの一つとなり、議員の集中砲火を浴びた。

 13日には中島一博議員が、市内1万4千世帯のうち、みやまSEとの契約が500件程度にとどまることや、同社が手掛ける市民サービスの利用者が少ないことを指摘した。

 当初みやまSEは、全世帯のうち、3年間で7割の切り替えを目標に掲げていた。中島氏は「地元で足元を固めてから、外部に出るべきだ。市も議員も、市民の代表として、健全経営しているのか監視する責任がある」と語った。

 ◆しばらく待って

 こうした指摘に対し、西原親市長は答弁で「もうしばらく待ってほしい」と繰り返した。

 こんな答弁もあった。

 「会社の内部事情に私たちがどうこう言うことはできない。議員から言ってください」「彼(みやまSE社長)に恨みか何かあるのか」「つぶれたら、みやま市の『地産地消エネルギー』が国からも笑われる」

 だが、市はみやまSEに1100万円を出資する筆頭株主であり、市長の西原氏は取締役を務める。

 市民の中には「市がやっているから」という信頼感で契約した人も多い。市に責任の一端があるのは明白だ。

 ◆社長の資質

 みやまSEは市が55%、民間企業の「みやまパワーHD」が40%、筑邦銀行(福岡県久留米市)が5%出資する。みやまSEは、みやまパワーHDに業務を委託している。

 この両社の社長を、磯部達氏が務める。

 磯部氏は4月、産経新聞の取材に「みやまパワーHDの経営状況はみやまSEの取締役会に報告し、透明化を図っている」と答えた。

 しかし14日の一般質問で、市側は「(みやまHDの)活動報告はあったが、詳しい経営状況の報告はなかった」と答弁した。

 議員からは、業務委託の費用などが適切かどうかチェックすべきだとの声も上がる。この点について、磯部氏は産経新聞の取材に「一企業なのであり得ない」と説明を拒んでいる。

 こうした不透明さに、市議会では、磯部氏の経営姿勢そのものを批判する声もあった。

 みやまSEは、再生可能エネルギーを使った自治体電力の草分けとして、多くのメディアで好意的に取り上げられている。磯部氏も国内各地で講演するなどしている。

 会社関係者によると、社内の従業員は、顧客獲得に懸命に汗を流す。

 一方、「会社は市民の方を向いていない」などの理由や、労働環境の厳しさから退職した人も少なくないという。

最終更新:6/15(金) 7:55
産経新聞