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保育事故、誰が責任を取るのか?安全基準を満たさない施設も無償化の対象に

6/14(木) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

安倍政権が2017年の衆院選で「目玉政策」として掲げた「幼児教育の無償化」。このほどまとまった具体策に「質の担保がされていない」として、批判の声が専門家や自民党内から上がっている。

【画像あり】安全基準を満たさない施設も無償化の対象に

認可保育園や幼稚園に加え、ベビーシッターや預かり保育などの認可外サービスや施設も無償化の対象に含まれたことに一定の評価はある一方、指導監督基準を満たしていない施設でも、無償化の対象にしたからだ。

果たして安全より、無償化を優先すべきなのか?

指導監督基準を満たしていない施設に5年の猶予

5月31日にまとめられた報告書によると、認可外施設については、親が働いているなど「保育の必要性」がある場合に限り認めるが、料金設定が自由で高額なところもあるため、上限額を設けるとしている。

また、指導監督基準を満たしていない施設でも、5年間は経過措置として無償化の対象に含まれる。

指導監督基準とは、子どもの数に対して、最低限必要な保育士の数や施設の広さなどを定めたもの。劣悪な施設を、あらかじめ排除することが目的だ。

しかし、現状は全ての認可外保育施設を十分に監督できているとは言えず、2016年に東京都が実施した立入調査結果によると、1017の認可外保育施設のうち、立入調査が実施されたのは180施設のみで、わずか17.7%しか調査が行われていない。

調査が行われた180施設のうち、132施設(73.3%)が「指摘あり」と、安全面に関しても懸念が大きい。指摘された内容では、保育士の人員不足や非常口が適切に設置されていない点が挙げられている。

こうした指導監督基準を満たしていない「劣悪な施設」を無償化の対象に含め、実質的に5年間も公費で延命させるのが今回政府がまとめた具体策だ。

保育事故に詳しく、『子どもがすくすく育つ幼稚園・保育園』著者である寺町東子弁護士は、「指導監督基準は、これを守らなければ乳幼児が亡くなってしまう、という最低限の基準。実際、保育事故が起きた施設に情報公開請求をすると、基準を満たしていないことが多い。本来は、指導監督基準を満たしていない施設は事業を続けるべきではない」と指摘する。

さらに、こうつけ加える。

「現在各自治体は指導監督を強化しようと、抜き打ち調査を増やしたり、人員を増やしている。今回の政府の決定はこうした流れを止めてしまう。仮に基準を満たしていない施設に公費を出してしまったら、頑張って基準を満たすモチベーションがなくなってしまう」

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