ここから本文です

「産まない」けれど、母になる。産婦人科医が語る「妊娠はゴールではない」

6/14(木) 15:10配信

telling,

元宝塚歌劇団月組トップスターで女優の瀬奈じゅんさんが、特別養子縁組により子どもを迎えたことを公表しました。瀬奈さんは、不妊治療を受けている途中で夫から特別養子縁組を提案され、自身でも制度について理解を深めてから「母親」になったのです。「産めない」または「産まない」けれど、子育てをすることは、できます。養親や里親になるという道です。産婦人科医の種部恭子先生も、これらの制度を「もっと知ってほしい」と願う一人です。

【写真】90歳の自撮りおばあちゃんの自然体に元気をもらえる!

「産まない」けれど、母になる。

 瀬奈さんはインタビューで、特別養子縁組の事実だけでなく、不妊治療の大変さについても、告白しています。「妊娠さえすれば……」と追い込まれていた心境がよく分かります。

 「妊娠することがゴールみたいになってきちゃって、本当は妊娠して子どもが生まれて子育てをすることがスタートじゃないですか。だけど、そこがゴールになってきてしまっているような気がして、私自身、精神的にも肉体的にも限界でした」

 不妊治療が大変なのは、本人の「子どもが欲しい」という思いだけではなく、周りから追い詰められていることも大きいと思います。治療が長引けば、経済的にも苦しくなります。「産んで当たり前」という考え方が、不妊治療をより苦しいものにしています。

 卵子を凍結保存しておこうと考える人も、精子をネットで購入したいと思っている人も、「いつか産まねばならない」「自分の遺伝子を残さなければいけない」と、漠然と考え、結果的に追い詰められているのかもしれません。「母親になるなら、自分で産むしかない」。そんな思いで、結婚や出産を焦ってしまう人も多いように思うのです。

「産めないけれど、育ててみたい」

 「産めないけれど、育ててみたいです」。こんな夫婦には、里親研修を提案しています。子育てへの前向きな思いがあれば、「遺伝子にこだわらなくてもいいのではないですか?」「血がつながっていなくても親になれますよ。自信を持ってください」と背中を押します。

 うちのクリニックで不妊治療を卒業した後、特別養子縁組や里親の形で「おとうさん」「おかあさん」になったカップルが何組かいます。長い不妊治療を卒業し、子育てを楽しんでいます。

1/3ページ

最終更新:6/14(木) 15:10
telling,